『幕が上がる』を読み聞かせる。
当時Facebookに書いた文章をnoteに載せてみたくなりました。
※シュンヤ9才(小学4年生)のころのお話
=2015.11.27の投稿=
「『幕が上がる』を読み聞かせる。」
シュンヤ、平田オリザの『幕が上がる』読了。
というか私が読み聞かせしたのですが(^^;)
◇
高校演劇の話であり、小学4年生のシュンヤにはあきらかに早い内容だけど、きっとこの小説の素晴らしさは分かってもらえるはず!と読み進めてきました。面白いものは誰が読んだって面白いんだ!
とはいえその背景が分からないと興味も湧かないので、今回は途中で調べ学習みたいなこともしました。まずは作品自体に興味を持ってもらうため全体像をつかみやすい映画版を観るところから始めました。映像の力はやっぱり大きい!どんな話なのかあらかじめ分かっていれば、読み聞かせにも耳を傾けてくれます。
この物語を読み進める上でぜひとも知っておきたいのが、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』。作品中でこれを舞台化して大会に臨むわけなので、知ってるのと知らないのでは読後感に大きな差が出てきてしまいます。そこでアニメ映画の『銀河鉄道の夜』の出番です。美しい映像と音楽。これもまた名作ですね。ここで頭に入れておくことで、小説の世界にすっと入っていけました。
シュンヤは自分で漫画版の『銀河鉄道の夜』も借りて読んでました。絵と文字で読むことで理解も深まったみたいです。
◇
そんなわけで『幕が上がる』の世界を親子で堪能しました。
弱小演劇部が、元 学生演劇の女王だった新米教師が副顧問になることで、一人一人の才能が開花してぐんぐん成長する物語。ここには青春のすべてが詰まっています。今年読んだ本の中で私のベスト1です。演劇にひたすら打ち込む青春。出会いと別れ、そして友情と成長。二度と訪れないあの愛おしい時間がここに描かれています。
◇
今回読み聞かせをして気がついたことがあります。
※ここから先ネタバレあります。注意。
最初に読んだ時は気がつかなかったこと。ネタバレになりますが、元学生演劇の女王だった吉岡先生は途中でこの物語から退場してしまいます。それをバネに演劇部員たちは一段と成長することになるのですが、これが最初読んだ時はちょっと引っかかってしまいました。
ふつうなら吉岡先生がぐいぐい部員を引っ張っていき大会を勝ち進んでいくのが王道の展開ですが、この物語ではそうはならない。なぜだろうと思いながら、もう一度読み聞かせをしてる途中で気づきました。
そうか、吉岡先生はこの物語におけるカンパネルラなんだと。ずっとどこまでもどこまでも一緒に行けると信じていたのに、カンパネルラはジョバンニの元を離れてしまう。それとそっくりなことに気がつきました。だから作者の平田オリザは吉岡先生を退場させたのか。
そう思うといろいろ合点がいきました。なるほどそのほうが物語として深くなる。これが『銀河鉄道の夜』の舞台で見せたラストのあの感動に繋がっていくんだと。
最後にこれもまたネタバレになってしまうけど、演劇部部長であり演出家の主人公が、舞台の『銀河鉄道の夜』で書き加えたジョバンニの台詞をここに残しておきます。※これから小説を読む人はまだ読まないほうがいいです。
◇ ネタバレでも ここから先に進みたい方は… ◇
続きはこちら ←ジョバンニの台詞を掲載してます
(記事本編終わり)
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