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カウンセラーのカウンセリング(スーパービジョン)について

これまでに、傾聴・カウンセリングの紙上講座として、傾聴のポイントである「黙って聴くこと」「あいづち・うなずき」について書きました。それから、カウンセラーとしてできないことを認識し外部の資源を使う「リファー」について書きました。また、傾聴者・カウンセラーとしての心構えのようなものもいくつか書いてまいりました。

詳しくはこちらのマガジンをご覧いただければと思います。現在12本。

今回は、カウンセラーのカウンセリングである「スーパービジョン」についてお話しします。

傾聴やカウンセリングの役目として、コップのたとえが使われることがあります。

相談者さんの心のコップの中に、様々な感情がある状態で、外からの意見、アドバイスが流れ込み、あふれてしまっている状態。それを受け止めるのがカウンセラーの役目の1つであるという話です。

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このたとえが正しいものとして、カウンセラーや傾聴者は、相談者さんのあふれる思いを受け止め続けることになります。

カウンセラーは「黙って」「相手の価値観を否定せずに」話を聴き続け、受け止め続けることになります。

共感できる話であれば、そのまま受け止め続けることもできるでしょうが、場合によっては反社会的な考えを持たれている方のお話しや、一般の方がお聴きになれば眉をひそめてしまうような話、あるいは、「死にたい」「あいつが憎い」といったお話しも聴かせていただきます。

そのような話を聴き続け、基本的には意見をすることもせず、言いたいことも言わない。そうすると、カウンセラー自身も苦しくなってきます。人間ですから、当然のことだと思います。

そんな時に、カウンセラーは、自分が信頼できるカウンセラーや上司などにスーパービジョンを求めます。あるいは、組織の上司であれば、部下のカウンセラーの状態を見て、スーパービジョンを受けることを促します。

スーパーバイズ(supervise)とは、一般の視点よりも高いところから俯瞰すること、コンビニチェーンなどでも、店舗運営のことで、現場ではなかなかわからないことなどを地域のマネージャーなどが管理監督する意味で使われることがあります。

心理学におけるスーパーバイズ(スーパービジョン)は、純粋な、管理監督という意味よりは、カウンセラーのカウンセラーであるがゆえの苦しさを聴き、カウンセラー自身の心のコップの水位を下げるのが主な目的です。

たとえば、相談者さんがなかなか気づいてくれないとか、思ったように動いてくれない、という愚痴に近いものがあったとして、「そのような考え方ではいけない」と指導するのではなく、「そんなことがあったんですね、それは大変でしたね」という感じで寄り添います。(もちろん、カウンセラーには守秘義務があるので、スーパービジョンを行う際にしか、このような話をすることはありません。)

カウンセラーにも、なかなかうまくいかない焦りがあったり、様々な事情により落ち着いて状況を見ることができていないかもしれない。

そのようなカウンセラーに対して、指導を行うことは得策ではありません。カウンセラーに対してカウンセリングを行う気持ちで、上手くいかない気持ちに寄り添い、カウンセラーの心のコップの水位を下げることで、自分でそのような状態にあることに気がついてもらうこと、これがスーパービジョンの目的です。

できないことを責めるのではなく、できないでいる気持ちに寄り添い、ではどうしたらできるようになるのかを一緒に考える、これがNPO法人ルネスかごしまのスーパービジョンです。

お読みくださりありがとうございます。 いただいたサポートは、NPO法人ルネスかごしまが行う「生活困窮家庭・ひとり親家庭支援」に全額使わせていただきます。