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熱波の中のいないいないばぁ~大阪梅田「サウナ&カプセル大東洋」~

大阪、梅田にやってきた。
ビジネスマッチングアプリで営業をしてやろうと出会ったライフプランナーなる人に返り討ちに合い、逆に私のライフプランを相談するという関係性に発展。その相談が梅田で開催されるためだ。

私の数奇な思考回路にマッチするライフプランを立てられるのか?と試してやっている最中だ。
「死ぬまでにやりたいことリスト」に刻まれている「カヌレを焼く」「犬ぞりで暴走する」「イルカに鼻で押されてT字で水面を切り裂く」などのイベントをいつ実行するのか思い悩んでいる。ベストな時期の提案を頼みたいものだ。

もはやその相談は形骸化し、梅田という地に降り立ち、飲食を嗜むための口実と化しているのはデブをよく知る方なら容易に想像がつくだろう。

さらに相談の開始時刻は19時、そして今私が住む田舎への終電は21時台だ。
この時間の妙を活かし、宿泊を伴わせることにまで成功している。

もはや常宿と化した「サウナ&カプセル大東洋」。
この大海に点在している岩のひとつが私だ。日常では外れ値のような扱いを受けるが太い人は自分を甘やかすため、サウナに集う。ここでは私は数ある巨岩のひとつでしかないのだ。

16時よりサウナを満喫。整い出す巨体。

相談は19時からの予定だが、直前に行くなど言語道断だ。
入れれるだけメシを入れ込むために3時間前行動をベースとしている。

16時前にはチェックインを済ませる。
宿泊するのはカプセルだが、肩が密着するような狭さではない。この私でも広々過ごすことができるので、泊まるだけなら必要十分だ。

出典:大東洋公式HP

そそくさと浴場へ。
白湯で少し体を温め、フィンランドサウナへ向かう。
70℃と温度も私にはちょうどよく、セルフロウリュのアロマ的な良い香りがする。早々に癒され始める。

出典:大東洋公式HP

鬱を患った時に体得した「ヴィパッサナー瞑想」の中で紹介されてた手を組み、親指と親指が触れ合うか触れ合わないかを保ち、そこに意識を集中するという瞑想法を応用し、頭を空にする努力をする。

しかし努力は虚しくその指の隙間に浮かび上がるのは油淋鶏やプロシュート、ホルモン焼き。鶴太郎への道は遠い。

そして8分ほどで退出し、水風呂にザブン。オーバーフローする水に自分の体積を実感する。水風呂と冷水風呂の2種用意されており、温度の高い水風呂からはじめて、馴染んだところでそろりと冷水風呂に移る。

出典:大東洋公式HP

そしてベッドや椅子に座って外気浴。インフィニティチェアも用意されているのでゆったりとくつろぐことができる。

出典:大東洋公式HP

コールマンの品だったので、おそらくこれだと推察される。
耐荷重は100kgなので、2、3kgの遊びは確保できている。100を超越するとこの癒しを奪われるので、そこのリスクヘッジのみしっかり行う必要がある。

このローテーションを3セット行った。
2セット目、3セット目は約90℃にキープされている温度の高いロッキーサウナへ。

出典:大東洋公式HP

汗だくの有象無象に対し、快活に自己紹介を行なっている見慣れたクリーチャーがTVに映し出されている。年齢や性別に差をつけず、気の抜ける独特の音階で「いないいないばぁ」と健気に仕掛けてくれる。

出典:講談社HP

わけあってEテレとは距離ができていた私は久々の再会が汗だるまが集う亜空間でとは思ってもみなかった。しかもクリーチャーの20周年かつ勇退が近いようだ。熱波師もタオルを振り回して、祝いの舞を踊っていた。

さて、そろそろ腹に諸々放り込んでいこう。

サウナ内でしっかり飲食。ただそれで終わるはずはない。

サウナを堪能して17時過ぎ。
あと1時間ちょっとはゆっくり時間を使える。

となればサ飯といこう。
おしゃれな店も好きで食べログの点数が高い店にしか興味がない時期もあったが、いまとなってはファーストフードやSAの店などにもむしろ奇を衒わないありがたみを感じるようになってきた。

サウナ内の食堂なんて、なぜか郷愁を感じ、どうしようもなくつい足が向いてしまう。

ビールとカツオたたき、名物のどて焼きで幕を開ける。

カツオたたきとどて焼き。はじまった。

これがかなり良い。
カツオたたきは臭みなく、普通にうまい。上々のすべり出しである。

どて焼きはオーブンで焼き上げたような熱々のココットで提供される。
濃厚でおっさんの味がする。昭和に開発された食べ物であることがビンビン伝わってくる。

どて焼きの汁を掬い上げるスプーン的なものがなく、仕方なくその受け皿として頼みたくもない白飯を頼む。

そして頼んだ覚えのない唐揚げも運ばれてきた。どうやら店員さんのコイツはどうせ唐揚げを頼むだろうという期待に知らぬ間に応えてしまったらしい。太い人の悲しき性である。

唐揚げ。自動的に運ばれてきたようだ。

予定していた以上の量を食してしまった。
相談のあと外で飲みに行くつもりなのに困った。

問題なく腹に収まる天ぷらとワイン。

さて、19時からの相談に向かう。
その道中ももちろん目を光らせる。目ん玉を前後左右にぎょろぎょろと動かし、漏れないようにこの後訪問する店候補のリストを頭の中のエクセルにまとめていく。

相談はまぁよかった。
人に話すことで自分の頭の中が整理されるというやつだ。うまく活用させてもらおう。

ついでに腹も整理された。気づけば普通に腹が空いている。
相談をした事務所の横に天ぷらとワインの店があり、するすると吸い込まれていった。

カウンターに腰掛け、シャルドネとセロリの浅漬けからスタート。
菜の花や鰆など旬の天ぷらをチョイスしていく。カウンターに置かれた長方形皿にひとつずつ提供されるスタイルだ。いつしかこんな店にふらっと入れる大人になっている。

口に入れると、ふわっと春の匂いが広がる。鰆がほろほろと解けていく。

残念ながら写真はない。なぜなら極度の人見知りであり、「写真撮って良いですか?」など聞くことができないからだ。この難関を突破した時、私のエッセイの幅も広がっていくはずだ。

追加でかしわとしいたけゴルゴン。
私はゴルゴンがかなり好きなんだなと再確認する。

出典:食べログ

信楽で訪れた「TORASARU」で食べたゴルゴンゾーラチーズケーキが現在の私のうまいスイーツランキングで1位に輝いていることを思い出す。

我ながら思うが、注文のチョイスが太い人のそれじゃない。肉肉しくもなく、ボリューミーなものばかり求めている風でもない。旬を重んじ、創作系も挟んでいく。

太い人からのバランスの良い注文にマスターもなにか物足りないような、そんなはずはないのにというような不服顔をしている。すまない。

サウナの真横にラーメン。さすがにもう入店しないはずだが・・・

ワインと天ぷらを堪能し、サウナに向かってとぼとぼ歩き出す。人混みが苦手かつ散歩が好きなので、できる限り人通りの少ない路地を繋いでいく。

シャルドネとロゼスパークリングの2杯でちょうどよく心地よい。旨いメシと酒があればそれで良いと感じさせてくれる。

今日も良い1日だった。あとはカプセルにこもってゆっくりしようと思った刹那、何かを訴えるように腹が疼き始める。

もしかしてラーメンを食えと言っているのか。
自分の腹に背中を押され、順当に入店を果たす。

味噌だ。さすがに何もトッピングせず、シンプルラーメンで耐える。

味噌ラーメン。〆には味噌が一番旨いかも。

旨かった。これで安心して眠れる。

宿へ戻り、シャワーだけ浴びてカプセルに向かう。
幅が少し狭くなった気がするが、ただの気のせいでもないのだろう。

また、食いに行く。メシが呼んでいる。

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