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「理想の老後」結婚以来13年間模索しているその事と、やっと出会えた実例

結婚して名字が変わり、印鑑などなど持って金融機関へ変更手続きへ。
一通りの手続きが終わると、担当してくれた窓口の方は金融商品のパンフレット片手に、こうのたまう。

「ご結婚、おめでとうございます。お二人の未来の為に、老後資金を今からコツコツ貯めていきましょう。」

それはイヤだ。今からコツコツなら、”お金”じゃなくて”お金を稼ぐ方法”がイイ。

反射的にそう思った私の「理想の老後を探す旅」(と言ってもほぼネット徘徊ですが)が始まった。
そしてつい先日、「理想の老後」の”実例”に初めて行き当たり、十年超の長い旅にひと段落ついた感じがして、ここに纏めようと思う。

***
まず最初に行ったことは、ひたすら「老後世代の家計診断」を見まくる事。
すると、だんだんある事に気づく。

現役世代の家計診断と、えらく基準が違わないか?

例えば前提として、現役世代は妻は働いているが、老後世代は専業主婦。
現役世代は「収入の範囲内で生活!ココもソコもムダカット!!」なのが
老後世代は「足りないものは仕方ない。貯金を崩すよね~♪」とユルユル。

理由は簡単明瞭、冒頭の名字変更手続きの時と一緒。
「ピッタリの金融商品のPR」がすぐそこに控えているから、だ。

何となくサイトの構成なんかで気づいていたけれど…はっきりこう言われ、やはりそうなんだと思うことしきり(この方たち大丈夫ですか同業者に刺されやしませんか)。

それじゃあ、と現在進行中の老後家計の「実例」を見たけれど、好き好んでそういう情報をネットでさらしている方たちは大多数が裕福、で正直参考にならない。

ただ、この段階まである程度数を見て分かったのは、そこそこ健康で持ち家であれば、世帯当たりの月々の赤字額(年金では足りない分)は3万~8万円位ということ。

ということは、ダンナと2人で週に何回か、パート・アルバイトでいいんじゃないか。2人とも働くの、嫌いじゃないし。
と、思っていたところ、「モスジーバー」の言葉と共に、高校生時代にバイトしていた懐かしの職場の名前が(2014年)。

あー、こういう感じかも。現実に居るじゃん、もっと出てこないかな、と思ったけれど、あと1つ2つ位で、そんなには出てこなかった気がする。

その後、こちらの本が2017年に出版。
ネット含め様々なメディアで取り上げられていたので、ご存知の方も多いかも。

「理論」としては納得出来る部分が多く、自分が考えてきたことはそんなにおかしいことではなかったんだ、と思えた。
ただ、「実例」としては…「男子」「女子」と親しみやすい言葉と、ちょっとデフォルメされたイラストの表紙。でもそんなもので誤魔化しきれない錚々たる経歴のお二人の現実は、やっぱりちょっと参考にはできない感じ。

もうちょっと庶民的な・・市井の人って感じ、いないかなぁ。
そしてついに昨年2018年末に、こちらを発見!

そう、これこれ!!探し求めていたのは、こういう事よ。
ヤッター、見つけた!ふんふん♪と楽しく読み進めていた私はしかし、最後の見出しに息を呑む。

体が動かなくなってどこへも行けなくなったら、それまでに楽しんだことを思い出したい


***

わかっているんですよ。こんな楽しい暮らしって、そう長くは続かないって。

この言葉から始まる、夫の直樹さんの言葉を、私はどうしても涙なしに読むことが出来ない。今だってそうだ。このnoteを書くために、もう5回は読んでいる、それでも。

自分もしくは連れ合いの、体が動かなくなる日を「すぐそこ」に感じながらの生活。それが古希を過ぎた日常だということを、私は分かってはいなかった。

もちろん全く想像がつかなかった訳ではなく、むしろそういう「現実」を知りたかったからこそ、「理論」ではなく「実例」を探し求め続けていたのだと思う。

一つ前の章の直樹さんの言葉、

自分の介護にかかるかもしれないお金のために働くなんて、嫌だなぁ。

と合わせて考えると、この生き方相当に刹那的な選択なんだなとつくづく感じる。

それでも、

短い間でも、思いっきり楽しんだ思い出があれば、その後の人生幸せだと思うね。

と言い切って、引き受けられる強さ。
やっぱり私もこの選択がしたい。


十年超探し続けて、四十四歳の今、やっと出逢えて、本当によかった。心からそう思う。

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