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人材を見抜く採用面接の質問とは?~離職率0%・自己実現・企業成長を実現する新卒採用②~

自社に合った人材を見抜くためには、4つの質問を使い分ける必要があります。

と言うのも、適切な質問をしないと、思い込みや感覚での判断になってしまうからです。

例えば、自分の知りたいことだけを聞いていたり、就活生の言葉を面接官の解釈で決めつけてしまったりなどです。

感覚や決めつけにならずに自社に合う人材を見抜く、良い質問とは何か。また、逆にしてはいけない質問とは何か。新卒採用面接での質問に関する話です。

1.採用面接の目的は「見極め」と「惹きつけ」

面接の場とは、企業が就活生を評価し、同時に就活生も企業を評価する場です。そのため、面接の目的は「見極め」と「惹きつけ」の2つとなります。

①見極め
就活生が自社に合う人材かどうかを見抜くことが、1つ目の目的です。

自社に合う人材とは、入社後も定着し、活躍する人材を指します。

そのため、企業理念や社風といった企業文化面(カルチャーマッチ)と、現時点での能力や今後の伸びしろといったスキル面(スキルマッチ)を見極めます。

企業が就活生を評価し、入社後に定着・活躍する人材を見抜くことが大きな目的の1つになります。

②惹きつけ
企業の顔として就活生の入社意欲を高めることも重要な目的です。

就活生は、HPだけでは判断できない会社のイメージを、面接官などの出会った人と、面接中の逆質問で膨らませます。

例えば、内定受諾の一押しが、採用担当の親身さや、役員面接の和やかな雰囲気などになることはよくあることです。
また、会社説明は就活生共通のパッケージのため、就活生は逆質問をすることで、自分の欲しい情報を入手できます

今回は採用面接の質問にフォーカスを当てますので、この後の内容では触れませんが、就活生の入社意欲を高め、選んでもらうために惹きつけることも大切なことです。

2.採用面接で使い分けたい4つの質問

自社に合った人材を見抜くためには、「一貫性」「再現性」「自社独自性」を確認することが必要となります。

しかし、採用面接の時間は30分~1時間程度ですので、そんなに多くの質問はできません。

そのため、限られた時間で、感覚的にならずに見極めるために使い分けたいのが「基本質問」「深堀質問」「展開質問」「独自質問」の4つです。

良い質問とは、基本質問・独自質問→深堀質問→展開質問を繰り返すことであり、そうすることで自社に合う人材を見抜くことがしやすくなります。

それぞれの要点は以下の通りです。

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2-1.基本質問

履歴書やES・その他選考にあたっての提出書類に記載されている事項を聞く質問です。志望動機やガクチカ(学生時代に力を入れたこと)などが挙げられます。
他にも、HP・会社説明会などの公開情報に関する質問やアイスブレイクも含まれます。

就活生にとっては事前準備ができており、答えやすいのが特徴です。面接の始まりや、質問を切り替えるときによく使われます。

一方で、基本質問ばかりの1問1答形式の質問はよくありません。就活生の1つの回答だけを頼りにするため、思い込みや感覚での判断に陥りがちです。

そのため、必ず深堀質問と展開質問も活用しましょう。

2-2.深堀質問

基本質問で出た回答に対して「なぜ」を聞く質問です。これを聞くのは、採用後の定着や活躍を判断する上で、重要な質問になるからです。

例えば、定着を考えるなら企業文化に関する回答に納得感が必要ですし、活躍を考えるなら素養や気質に関する回答への納得感が必要です。

深堀質問は、その納得感や論理性を生み出してくれます

特に、納得感や論理性を生み出すのは時間軸の一貫性です。過去の実体験をもとにしているかどうかを知ることで、就活生の回答に対する納得感が高まります。

<一貫性がある例>
面接官「なぜモノづくりをしたいと考えるのでしょうか?」
就活生「文化祭で作品を展示した際、来場されたお客様にとても喜んでもらいました。それがとても嬉しかったです。その時の経験から、モノづくりをすることで、より多くの人に喜びを届けたいと思うようになりました。」

この例の場合は、就活生自身の過去の実体験であり、やりがいの源になっていることが分かります。過去の体験から、今考えていることへの一貫性があるため、納得感が高い回答と言えます。

<一貫性がない例>
面接官「なぜモノづくりをしたいと考えるのでしょうか?」
就活生「IT業界で働く先輩から、これからモノづくりの産業が伸びていくと聞きました。伸びしろがある業界であれば自分も成長できると考えて、モノづくりができる企業を志望しています。」

この例の場合は、あくまで伝聞になっています。過去に聞いたことから、現在の考えには繋がっていますが、実体験でないため一貫性に疑問が残ります

そのため、伝聞や一般論が出てきたときは、さらに深堀することが大切です。

面接官「どうして伸びしろのある業界なら自分も成長できると考えたのでしょうか?」
就活生「大学1年の時に、学内にはなかった●●サークルを立ち上げました。0から新しいものを作るのは大変でしたが、自分自身の成長に繋がるものと考えているからです。」

この回答でしたらどうでしょうか。伸びしろがある=0から新しいものを作ること、となっている点は気になりますが、就活生の成長体験が実体験として出てきたため、納得感は高くなります

このように、深堀質問では、過去の実体験が現在の考えや将来の希望に繋がっている一貫性を確認できます

志望動機に一貫性があり納得できると、企業文化のマッチング度合いが上がります。また、本人のこれまでの経験から今後の伸びしろが論理的に期待できると、スキルのマッチング度合いが上がります。

定着と活躍を考えると、深堀質問をすることはとても有効です。

2-3.展開質問

深堀質問したあとに「他にも同じ経験はありますか」と聞くのが展開質問です。これを聞くのは、納得感をさらに高めるためです。

例えば、「チームで力を発揮した出来事」が1つだけよりも、複数あった方が納得感に繋がりますよね。そして、複数あると自社でも発揮されるだろうという気持ちになります。

展開質問は、このような自社での再現性を生み出してくれます。

<再現性のある例①>
面接官「大学のサークルでチームワークを発揮していた体験はよくわかりました。他にもチームワークを発揮した体験はありますか?」
就活生「他には3人1組で取り組んだゼミの研究があります。あとは、友人と遊びに行くときも複数人で遊ぶことが多く、その中でもサポートすることが多かったですね。」

このように、1つの実体験だけでなく複数の実体験が出てくると、就活生の話の納得感が強くなります。もう一方踏み込むなら、次のような質問も有効です。

<再現性のある例②>
面接官「当社で、どのようにチームワークを発揮できると思いますか?もしくはどのような環境があれば発揮できるでしょうか。」
就活生「御社ではプロジェクト単位で業務を行うとお聞きしました。そうした環境であればチームワークを発揮できると思っています。」

このように、展開質問をすることで、就活生が話してくれたことが自社でも起きるだろうという再現性を感じることができ、納得感が高まります。

再現性があるということは、自社への定着と活躍の可能性がグッと上がりますので、見極めのためには展開質問も忘れてはいけません。

2-4.独自質問

自社に合う人材を見抜くためには、お決まりの質問だけでは見極めができません。そのため、求める人物像に即した独自の質問をする必要があります。

自社独自性を確認するものが、独自質問です。

この質問は企業によって異なりますが、ポイントは事前に求める人物像を明らかにしておくことです。それに基づいて独自の質問を考えましょう。

私の前職はIT企業なのですが、求める人物像の1つが「ITに対する好奇心」でした。
そのため、日ごろ使っているPCのスペックを質問したり、面白いと感じたアプリケーションやプラットフォームなどを聞いていました。

事前に質問を準備しておき、抜けもれなく質問できるよう備えましょう。

3.採用面接で使ってはいけないNG質問

ここまで採用面接で使うべき質問を紹介しました。一方で使ってはいけないNG質問も存在します。それは厚生労働省が以下のように定めています。

公正な採用選考を行うことは、家族状況や生活環境といった、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないということです。
そのため、応募者の適性・能力に関係のない事柄について、応募用紙に記入させたり、面接で質問することなどによって把握しないようにすることが重要です。これらの事項は採用基準としないつもりでも、把握すれば結果としてどうしても採否決定に影響を与えることになってしまい、就職差別につながるおそれがあります。
出典:公正な採用選考の基本 厚生労働省

例えば、家族情報や生活環境は本人とは関係ありませんし、宗教や尊敬する人物などは思想信条に該当しますから自由であって良いものです。

他意はなくても就活生の受け取りによっては尊厳を傷つける可能性がありますので注意しましょう。

4.採用のゴールは内定ではなく定着し活躍すること

自社に合った人材を見抜く採用面接の質問というテーマでお届けしてきましたが、そもそもなぜ人材を見抜く必要があるのでしょうか。

それは、もし自社に合わなかった場合、企業も就活生も、お互いに不幸な結果になるからです。

企業目線では、コストをかけたにも関わらずすぐに辞めてしまう。定着はしたものの力を発揮できていない。そうしたことが起きると企業成長が難しくなります。

就活生目線では、せっかく内定を取って入社したのに居心地がよくない。また大変な思いをして転職活動をする必要が出る。もしくは定着しているけど自分のやりたいことができず成長実感が持てない。

採用のゴールは、内定ではなく、定着し、活躍し、企業が成長することにあります。そのためにも、感覚や思い込みにならない、自社に合った人材を見抜く面接が必要です。

企業と就活生の両方が幸せになるためにも、4つの質問を活用して、良い面接をしてほしいと思います。

※別の記事で「採用とは何か?」をお伝えしています。
https://note.com/tanaka10825/n/nfafc939bed6c

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