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組織と従業員の約束が試される「真実の瞬間」

こんにちは。とあるベンチャー企業でひとり人事をしている朱夏です。

この4連休、皆さんはどのようにお過ごしでしょうか?
私は家の掃除をしつつ、読むと決めた本や観ると決めていたアニメと映画を鑑賞し、最終日の今日はこうしてnoteを書いております(・ω・)

アニメは後輩ちゃんから勧められていた「オッドタクシー」を観たのですが、これめーっちゃ面白いのでオススメです!
あんまり喋っちゃうと初見の面白さがなくなってしまうので言及しませんが、映像の妙を使って視聴者をいい意味で騙してくれる、とても惹き込まれる作品でした。

映画は旦那に勧められた「パディントン2」を観ました。
こちらもストーリーラインがシンプルで追っかけやすいことを土台として、パディントンとブラウン一家の魅力が余すことなく発揮された作品でした( ˘ω˘)
「オッドタクシー」も「パディントン2」もAmazon Primeで観られるのでぜひ!


で、この4連休はもう一つノルマを自分に課しておりまして。
こちらの本を読んでおりました。
今回のメインはこちらのお話。

◾️Employee Experience

「Employee Experience」は日本語にすると「従業員体験」と訳されることが多いのですが、組織において従業員が仕事や会社に付随する活動の中で見聞き感じることの一つひとつを指しています。

コーポレートサイトのメッセージ、口コミサイトの評判、同僚との雑談、上司との1on1、顧客との商談、会社の飲み会etc…
それらひとつ一つの情報によって組織への期待を作り上げたり幻滅したりしていると言えば、皆さんも心当たりがあるのではないでしょうか。

顧客体験(Customer Experience=CX)という言葉はマーケティング業界においてはもはや聞き馴染みのあるところかと思いますが、優れたCXのためには優れたEXを実現することが必要であるというメインメッセージのもと、EXの中身を詳しく書いたのがこの本です。

本の中ではエンゲージメントの5つの要素「MAGIC」といったいくつかのフレームが紹介されているのですが、今回特に印象深かったのは「真実の瞬間」というものでした。

◾️「真実の瞬間」とは

ざっくり説明すると、組織が掲げているミッション、ビジョン、バリューなどの思想やブランドメッセージやその他の約束事が本当に私たちの期待通りのものなのか?が一番問われる瞬間のことを「真実の瞬間」とこの本では呼んでいます。

・採用されて入社するときには「うちの会社は育休産休の制度が整っていてちゃんと活用できるようになっている」と言われていた人がいざ育休を取ろうと上司に相談するとき

・多額の投資をした期待の事業が大失敗し、大きな負債を抱えてしまい組織が存亡の危機に陥ったとき

こういった、ある程度予測可能なものも予測不可能なものも含めた事象において、組織とそのリーダーはこれまで掲げていた約束事を本当に全うしてくれる存在なのかが従業員に試されるのです。
このとき、約束を出来うる限り全うできれば従業員との絆と信頼は強化され、裏切れば従業員は組織を見限ってしまうわけです。

これを読んで、ちょうど数日前にとあるメンバーから「真実の瞬間」についてのメッセージを受け取ったことと重なりました。

ここからお話することは良い話ではないし恥ずかしいですが、自分の気づきを書き留める意味も込めて、、

◾️Sさんが語ってくれた弊社の「真実の瞬間」

そのメンバー(仮でSさんとします)は昨年から半年ほどメンタルダウンで休職し、現在は復職して少し落ち着いてきたところです。
この落ち着いたタイミングでということで、Sさんは私にメンタルダウンの原因になった事象を話してくれました。

Sさんがメンタルダウンになる少し前、Sさんの後輩のTさんがメンタルダウンで休職することになりました。
Tさんは休職する直前、自分のメンタルダウンの原因になったのはSさんを含む先輩たちの対応が悪かったからだと感情的になり、Sさんは一方的に言葉をぶつけられるという場面がありました。
(誤解なきように補足すると、Sさんだけが悪いわけでもないし、Tさんの感情的なまくし立てを非難するわけでもありません)

この一件でSさんは自分の後輩育成に自信をなくし、どうすればいいのか途方に暮れていたのですが、マネジャー陣はSさんに対してフィードバックやフォローをすることなく、次の新人のOJTを任せることにしました。

これによって、Sさんはますます自分に対する期待やどうすればいいのかがわからなくなり、Tさんとの一件が自分の中で昇華できないまま新人のOJTを任され、自分の中で折り合いがつかないままご家族の介護などその他の事情も重なって心のバランスが取れなくなってしまったということでした。

心身が回復し当時を振り返ったときに湧いてきたのは「組織に対する疑念と不信感」だったと、Sさんは話してくれました。

◾️「真実の瞬間」は全てのメンバーに影響を与える

これに関する反省、内省、ネクストアクションはまた折を見てお話するとして、、

このSさんとTさんの一件とその後のOJT配属は、まさに当事者含むメンバー全員にとっての「真実の瞬間」になっていて、会社が掲げるメッセージや思想を全うするのかを試されていたのです。
そして、残念ながら私たちは約束を完璧に全うすることはできず、メンバーに少なからず疑念と不信を抱かせてしまったわけです。
それはSさんTさんなどの当事者だけではなく、その周囲にいた同期メンバー、他部署のメンバーにも起きていたのかもしれません。

この話を聞いた直後も申し訳ない気持ちでしたが、その数日後にこの本を読んで申し訳なさの中身を構造的に理解したことでさらに深く自責の念を抱きました。

SさんとTさんが無事に復職してくれたこと、そしてSさんが当時の気持ちを率直に話してくれたことに感謝しつつ、この件を次に活かすことが自分の役割だと再認識しました。


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私は本や映像作品などに触れるとき、「手に取ったその時が自分にとってのベストタイミング」と考えています。
実はこの「Employee Experience」は1年前から手元にあったものの、ずっと積読していたんですね(・н・;) というか、これまではいざ読み始めても全然頭に入ってこなくて…

今回、読み始めたらするするーっと数時間で一気読みしました。
これはきっと今がそのタイミングだったんだなと、仕事で起きた数々の出来事がベストタイミングを引き寄せたんだなと感じました。

「Employee Experience」は国内ではあまり議論のトピックに上がらないのでなかなか調べても出てこないのですが、本を読んでみてとても奥が深いと感じたので、今後も積極的に探しつつ社内でディスカッションできたらなと思います。

それでは今日はこの辺で( ˘ω˘)

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