見出し画像

列に並ぶ【ディズニーランドのフォーマット】#1

「カリフォルニアの金鉱山」「イギリス生まれの温かな御伽話」「未来の国の宇宙船発着場」「南欧のワイナリー」「世紀末、大富豪が牛耳っていた摩天楼」……すべては全く異なる舞台、雰囲気、色を伴った作品であるが、手がけているのはたった一つの企業であり、すべては一つの場所で体験できる──それが、東京ディズニーリゾートである。
では、逆に問おう、「中央アメリカの発掘サイト」「おもちゃの世界のカーニバルゲーム」「南太平洋の火山島」、これらが同一の場所に包摂されるためには、どのような方法が必要だろうか?

この記事では、東京ディズニーリゾートの各施設に見られる共通性、そして相違について、比較をしながら鑑賞していきたい。

ホームドア(外観)

カリブの海賊
イッツ・ア・スモールワールド
プーさんのハニーハント
スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー
スペース・マウンテン
モンスターズ・インク“ライド&ゴーシーク!”
インディ・ジョーンズ・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮
シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ
海底2万マイル

ホームドア(ヘッド)

カリブの海賊
ビッグサンダー・マウンテン
インディ・ジョーンズ・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮
シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ
海底2万マイル

待機列

カリブの海賊
美女と野獣“魔法のものがたり”
ピーターパン空の旅
プーさんのハニーハント
ホーンテッドマンション
スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー
モンスターズ・インク“ライド&ゴーシーク!”
ディズニーシー・トランジットスチーマーライン
ソアリン:ファンタスティック・フライト
タワー・オブ・テラー
ディズニーシー・エレクトリックレールウェイ
アクアトピア
インディ・ジョーンズ・アドベンチャー:クリスタルスカルの魔宮
レイジングスピリッツ
フランダーのフライングフィッシュコースター
海底2万マイル
センター・オブ・ジ・アース

奇妙な着せ替え

アトラクションのホームドアや待機列を機能的に見れば、舞台がどこであれ共通した情報のポケットをもたせていることがわかる。
ホームドアや待機列は厳密な規定のもとに作られている代わりに、それぞれの現場でどのようなデザインにするかは一任されている。これにより、遊園地の遊具として受ける技術的・法律的制限に対応し、同時にディズニーの物語の世界の一部として描かれるのだ。

これは言わば「着せ替え機能」である。LINEやニンテンドー3DS、iPhoneのロック画面のようなものだ。機能A、機能B、機能C……それぞれの機能そのものは変わらないが、「どのように見せかけるか」は変えることができるのだ。
しかし、そこで発生するのは、大量生産時代以前のものであれ、未来の国であれ、全く異なる国が同様のフォーマットを用いることによる「奇妙な着せ替え」である。この奇妙さを楽しめるようになると、東京ディズニーリゾートはまた新たな顔を見せると思う。

「らしくない」こそそれ「らしい」

なお、こうしたフォーマットが存在することで、ディズニーパークの施設が得ている二つの「邪道」がある。
ひとつは、フォーマットに反することで「ディズニーパークらしくない」雰囲気を演出することである。

ロジャーラビットのカートゥーンスピン(こわい)

そしてもうひとつは、フォーマットを拡大解釈することで、ゲストの注意をさまざまな方向に惹きつけることである。

スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー(入れるところ)
スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー(入れないが入れるように見える)

いずれにせよ、設定され、共通して用いられているフォーマットが、世界各地の全く別々の場所を東京ディズニーリゾートに集結させているのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?