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内部通報制度とは何か?

内部通報制度とは?
 

2018年11月に日産の代表取締役会長カルロス・ゴーン容疑者が逮捕されました。有価証券報告者への報酬の過少申告記載の疑いがもたれており、内部通報によって事態が発覚いたしました。日産、ルノー、三菱自動車の要職を務め、絶対的な権力者であったゴーン氏を内部通報制度によって結果的に失脚させた、内部通報制度についての内容を考察していきます。

 内部通報制度とは、勤務先で生じている問題について、役職員等が勤務先に設けられた社内窓口や勤務先が委託した社外窓口などに対して通報できるよう、「相談窓口」を設けます。

内部制度を利用する理由
 不平不満、職場環境、SOS等

内部通報制度のメリット
① 自浄作用、未然防止
組織内の一部関係者のみが情報を持っているような違法行為などは、なかなか発見しにくく、多くはそうした行為に疑問を持つ関係者からの通報により発覚します。問題が大きくなる前に発見・解決して、組織の自浄作用を高めることができます。違法行為の発見が遅れると、事業者の処罰や行政措置などによる損失のほかに、拡大した被害の補償コスト、消費者や取引先からの信頼の低下や従業員の士気へのダメージなどが加わります。
リスクを最小限に抑えるためには、もし違法行為があれば、事業者自らが速やかに発見し自浄作用を発揮していくための仕組みが必要です。内部通報制度を整備し運用することで、事業者のリスクを減らすことができます。
また、そうして経営上のリスクを抑えることで、消費者、取引先、株主、投資家などからの信頼を高め、企業価値の向上につなげることができます。

② 早期発見
早期発見により2次不祥事を未然に防止できる。
制度事態が事件発生の抑止力になる。
③ 内部告発


日産自動車における事例(日産自動車 IR情報より)

 ゴーン容疑者の一連の事件に関しまして、日産自動車のIRより状況の確認を致します。

2018年11月19日 

「当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について」

要約)代表取締役会長カルロス・ゴーン、代表取締役グレッグ・ケリーは、開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり実際額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明しました。カルロス・ゴーンについては資金の私的流用する等の不正行為も発覚しております。当該案件については善管注意義務違反に該当し、職を解くことを取締役会に提案する。


2018年11月22日 「日産自動車 取締役会の決議事項について」

要約)カルロス・ゴーン、グレッグ・ケリーの職を解き、委員会設置を検討する。

2019年1月11日 「本日の起訴について」
要約)ガバナンス改善特別委員会設置する。

公益通報者保護法とは

労働者が「不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的」、「労務提供先」または「当該労務提供先の事業に従事する場合におけるその役員、従業員、代理人その他の者」について、「通報対象事実」が「生じ、またはまさに生じようとしている旨」を、勤務先等に設けられた窓口や通報対象事実について処分、勧告等をする権限を有する行政機関等の外部の第三者に対して行う通報をいいます。

公益通報者保護法推移
2006年4月 公益通報者保護法
2016年12月 消費者庁「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」公表

リニエンシー制度
法律違反等の不正行為を自主的に申告し、事実関係の調査に協力した通報者等に対して、懲戒処分の減免を認める制度です。リニエンシー制度ができたことによりまして、

海外での法律

米国連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)
1990年代末から、OECDの「国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関する条約」に基づき、米国の主導下で、その加盟国において海外腐敗行為防止法制が立法化に向けて動き始めました。日本も1998年12月に同条約に署名し、1999年には不正競争防止法18条に外国公務員への贈賄に対する処罰規定がおかれました。

英国腐敗防止
  2010年4月8日、英国で贈収賄防止法(Bribery Act 、 以下「UKBA」という。)が成立し、2011年7月1日より施行されています。その経緯は以下のとおりです。
 1972年、米国で、ウォーターゲート事件の調査をきっかけに、多数の米国企業が外国公務員に多額の贈賄をしていたことが判明し、1977年、海外腐敗行為防止法(Foreign Corruption Practices Act、 以下「FCPA」という。)が制定されました。
 その後、1997年2月、OECDで、国際商取引での外国公務員に対する贈賄の防止(Combating Bribery) に関する条約が発効し、日本を含む41か国が批准しています。それを受けて、日本では、1998年、不正競争防止法に、外国公務員に対する不正の利益の供与等の罪が新設されました(18条)。
 更に、2003年、国連において、腐敗の防止(against Corruption)に関する国連条約が採択され、2015年12月14日に発効し、2016年2月時点現在の締約国は170カ国を超えます。日本は2003年に署名し、2006年に国会の承認を得ましたが、実施のための国内法が未成立のため、批准は未了です。

ファシリテーション・ペイメント
多くの新興国で見られるもので、定型的な行政行為を促進(スピードアップ)する対価として、現地公務員が法令上の根拠なく支払いを求める比較的少額の金銭を意味します。

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