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2024年5月の記事一覧

One Love / Bob Marley

One Love / Bob Marley

彼の初来日を観れなかった後悔は今でも続きますが、近所のシネコンで上映していたので朝9時から行って来ました。
席に座ると予告編が流れており、ビルは崩れ、車は衝突、目の前を飛行機は通り過ぎ、衝突の都度,竜巻でも起こるのかというほど大きな音がなり、これも映画かと朝からちょっと疲れましたが、今日は音楽映画なので、音響が良い方が良いと気を取り直して。
はじめに息子さんのジギー(長男)が挨拶に出て来ます。

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システム・クラッシャー/ノラ・フィングシャイト監督作品(2019)

システム・クラッシャー/ノラ・フィングシャイト監督作品(2019)

 怒りの感情に一旦火がつくとあたり構わず暴力を振るい手を付けられられなくなる主人公の9歳の少女ペニーが映画が始まると同時大暴れします。もちろんそれは幼少の頃に受けた幼児虐待のトラウマであり、いつまで経っても引き取ってくれない最愛の母への希求の表現であり、周りの養護施設の職員たちは、何とか彼女を更生させようとするがどうにもならないというシリアスな状況な訳ですが、そんな彼女の大暴れがそのテンポの良さと

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フーリガン(Hoologans Stand Your Ground)/レクシー・アレキサンダー(Lexi Alexander)(2005)

フーリガン(Hoologans Stand Your Ground)/レクシー・アレキサンダー(Lexi Alexander)(2005)

ロンドンを舞台にフットボール(サッカーではない)の熱狂的で時には暴徒と化すファン フーリガンを描いた映画。
と言っても、イギリスのローワー・クラスのドキュメンタリーからキャリアをスタートして、ケン・ローチや「This is England」で自らが属した集団、スキンヘッズを描いたショーン・メドウスのように、話す言葉も態度もそして身なりも徹底して、そして自然にローワー・クラスのリアリティが出ていると

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夜空に星のあるように(Poor Cow)/ケン・ローチ(Ken Loach)(1967)

夜空に星のあるように(Poor Cow)/ケン・ローチ(Ken Loach)(1967)

オックスフォード大学卒業後、BBCで演出家として、社会問題を扱い注目された彼の映画監督デビュー作。この映画が公開されたのは、1967年 つまりピーコック革命のカラフルで華やかかりしスウィギング・ロンドン真っただ中の時期。
ロンドン南西部と中心部に近い地域フラム(フルハム)で撮影されたこの映画に写るファッションはアメリカ的なテイストやビビットな色目はあるもの概して締めで、当時の庶民のファッションと言

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エリックを探して(Looking For Eric)/ケン・ローチ(Ken Loach)(2009)

エリックを探して(Looking For Eric)/ケン・ローチ(Ken Loach)(2009)

サッカー界のレジェンドの一人、エリック・カントナが直接、ケン・ローチに持ち込んだ企画からこの映画が始まったとか。
エリック・カントナと言えば、フランス出身で若くして頭角を表すも、その”悪童“ぶりから、フランスでは居場所を無くし、イギリスのプレミア・リーグで流れてきて、その後、サーの称号をもらうことになるアレックス・ファーガソンの元マンチャスター・ユナイテッドの黄金時代を築くとともに、外国人に関わら

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ハズバンズ(Husbands)/ジョン・カサヴェテス(John Cassavetes)1970

ハズバンズ(Husbands)/ジョン・カサヴェテス(John Cassavetes)1970

 昨年、日本で現在見ることのできるカサヴェテスの作品を見なおした後に、イメージ・フォーラムで「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティブ リプリーズ」が開催されましたが、一つの会社が版権のある作品だけを集めたためか、残念ながらすべて観たことがあり映画がでしたが、

それから、少し経ってからStranger映画館でThe Other Side of John Cassavetes『カサヴェテス特集』は

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ファスビンダーのケレル/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(1982)

ファスビンダーのケレル/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(1982)

ファスビンダーの遺作。
70年代後半にヴェルナー・ヘルツォーク、ヴィム・ヴェンダースとともにジャーマン・ニューシネマの旗手として日本に紹介されました時には、人間を超えたディモニッシュなものを描いたヘルツォーク、ロードムービーのイメージのヴェンダースに比べファスビンダーをいまいち掴めなかったのですが、少なくとももっとアンダーグランドでロックな感触を感じていました。
この映画を観たのは新宿歌舞伎町に会

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「マイネーム・イズ・ジョー」/ケン・ローチ(1998)

「マイネーム・イズ・ジョー」/ケン・ローチ(1998)

アルコール依存症だった男が断酒会で自分の体験を話すシーンから始まる映画。
主人公は37歳で失業中。回復して今は飲酒していないといえども、若くして無職であることの恥辱や不安、まだ完治していないのではないかと思われる落ち着きのなさ、そしてそもそもの気質としての直情性、世間知らず、過剰なまでの面倒見の良さというローワークラス的なキャラクターを主演のピーター・ミュランが演じます。
音楽の扱いもポイン

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ハッピー・アワー/濱口竜介(2015)

ハッピー・アワー/濱口竜介(2015)

 世界三大映画祭受賞は黒澤明監督以来と騒がれていますが、まだ一般的に彼の名前がメデイアによく出るようになったのは、アカデミー賞受賞の「ドライブ・マイ・カー」からですが、現在公開中の「悪は存在しない」の美しさと凄みを考えるとどうしても観たかったのが、演技未経験の4人の女性遠主役に据えた5時間17分の長尺作品「ハッピー・アワー」
 映画が始まると突然、ゴダールの映画に出て来そうな抜けた青空、リヴェット

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