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下剋上の勇者たち

嬉しいことに忘年会が連日続いている。

じっくりひとりと会うプライベートな会から、20人規模の会まで。いろんな人たちと、いろんなテーマで。

ひとりで自分に向き合う時間も大切だけど、誰かと会って理解しあう時間もやはり十分大切で、会った後のひとりの時間のありかたも、より良いものになる気がする。

年末、僕の故郷である北九州。
東筑高校の同期たちとの時間も特別だった。

僕ら団塊ジュニア世代、ひと学年450人もいたから、顔も名前もほとんど知らない、あるいは、顔はなんとなく覚えているけど、そんな同級生も相当いる。ちなみに僕の場合「名前は学年全体に知られていて、話したことはない」という層が結構多くて、それは、ひとえにもふたえにも「名字が珍しいから」である。そんな状況だから「ほとんど初めて話す同級生の自己紹介ストーリー」がなんか心に優しく響いてくる。

家族がクリーニング屋さん営んでいた同期Aくんの話。

彼にとってファミコンは「自宅でやるもの」ではなく、「友達の家に遊びに行った時に一緒にやるもの」だった。かれは子供心に「うちにはお金がないんだ」と気づいたそうだ。

そんな彼には、同じ中学に「あんな風になりたい」と思わせてくれるリーダー的な男子生徒がいて、その人のおかげで覚醒したそうだ。母校を志望したのも、「憧れの人と同じ高校に進学したい」の想いが原点であり、エネルギーだった。

母校は県立であり、かかるコストも平均的だ。受験という名の「ふるい落としの真剣勝負」に勝ち抜くことができれば、家計的にも助かるし、本人的にも経済的ビハインドから抜けだすきっかけにもなる。何より結果を出せば人生が変わることを10代で経験できる。制度として様々な問題はあるものの、僕らの時代、進学こそは現代の下剋上だった。

別の同期Bくんは、高校時代の化学の先生に憧れ、いつも質問したり、相談したりしていたそうだ。化学、そして教育に興味をもったBくんは、化学の先生に進路の相談をしたところ、先生が研究にいそしんだ大学をすすめてくれた。Bくんは化学の恩師の導きに従い、学問の道に進み、今は広島大学で准教授をやっている。日本ではまだ立ち遅れている「教育者教育」の分野を切り拓いている。

Aくん、Bくんの、憧れに憧れる力に憧れたよ、僕は。

50代に突入した同期たちも、結局10代の頃の「憧れ」や「想い」、そして「衝動」を大切にしながら、失敗や挫折をしりながらも「結果」に向かっている。みんなそれぞれに、それぞれの立場で前進している。同期たちの輝かしい表情をみて、僕も言葉にならないパワーをいただいた。

おかげさまで、僕は同期たちから、

「二重作は楽しそうに生きてるね」

と言ってもらえる。有り難いことだ。もちろん、みんなと同じで、生きてればいろいろあるけれど(僕だけ避けてくれるわけじゃないけど)、いろいろの中に希望も、感動も、達成も、感触も、つながりも、拡がりもあるから、僕のスタイルでやっていけるんだと思う。

その人だけのリアルストーリーに直接触れる。
これこそいま、ここでしか得られないレア体験。
そのおかげで、これからの時間は「次に向かう時間」に変わる。
場と機会の創設に感謝しかない。

嬉しいことに忘年会が連日続いた2022年末。未来を邪魔するような記憶だけはワンクリックでDeleteして、あとは「忘れられない年会」と呼ぶことにしよう。

PS. 最新刊『強さの磨き方』、下剋上のヒントも散りばめています。










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