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モノ作りは顧客の近くで

 スタートアップが革新的なハードウェアのアイデアを創造し、製品開発を進める事例は珍しくない。けれども、そのアイデアの最初の顧客が海外にいる場合、挑戦の難易度は飛躍的に上がる。なぜ、アイデアをカタチにする初期で国境を超えるべきではないのか、その背景をメモしておこうと思う。

 まず一つ目の背景は法規制。海外市場に新しい製品を投入する際、最初の大きなハードルは法律の壁になる。ソフトウェア以上にハードウェアは要件が厳しく、安全性や環境規制など多様な要件を満たす必要が出てくる。それらの諸事情を全て鑑みて、立ち上がったばかりのスタートアップが試作設計を進められるかというと、人的リソース、物資、資金が十分でなく難易度が高い。

 例えば、海外向けに日本製のドローンを届けようと思った場合、海外の技術要件をどう満たすべきか、どう販売許可を取るべきか、それらを最初から全て考慮するのは骨が折れる。

 二つ目の背景は保守体制。海外で製品を販売するということは、何かあった時に保守(アフターサービス)をしなければならず、売り切りというわけにはいかない。ソフトウェアと異なりオンラインで相談に乗り遠隔で改修ができないので、現地で拠点を設けるか信頼できるパートナーを見つけて委託する必要が出てきてしまう。これはスタートアップにとって高いハードル。

 例えば、海外向けに日本製のドローンを届けようと思った際、売り切ってしまって「楽しく遊んで使ってね!何かあればHPのQAマニュアル読んでね!」と言い放つことはできないもの。もちろんそんな売り方もできるけれども、トラブルが起こった際にはその製品に対する信頼は失墜してしまう。

 三つ目の背景は仮説検証。アイデアの価値は検証によって明らかになるもの。しかしながら国境を超えた場合、遠隔地にいる顧客とのコミュニケーションやフィードバックの取得は、時差や言語の壁、そして移動コストがあるため困難が伴う。

 例えば、海外向けの日本製のドローンを届ける際、現地でリアルタイムに顧客の声を収集し続ける体制が必要を築けなければ、具体的かつ迅速なフィードバックを得られず、アイデアの改善は果たせない。けれども、そう簡単いそれは手掛けられないもの。

 アイデアは顧客の近くで形にすることが不可欠。もし仮にハードウェアに取り組み、その顧客が国境を超えると、法規制、保守体制、仮説検証といった様々な壁が立ちはだかってしまう。だからこそ、まずは国内で、そしてできる限り近くの顧客から始めていこう。そしてその先に、国境を超えたグローバルなアイデアを世に届けることを目指していこう。

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