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社会の新陳代謝を導く地域課題解決型の創業支援

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は和歌山県にて産業振興財団で創業支援を手掛けられている岡 京子さん。地域課題解決型の人材育成や地域活性化に対する想いについて伺いました。


── 岡さんの現在の取り組みについてお聞かせください。

公益財団法人わかやま産業振興財団で創業支援を手掛けています。特に今、力を入れて取り組んでいるのは補助金の運営とその周辺の学びの提供です。


── わかやま地域課題解決型起業支援補助金とは?

和歌山で創業する方を増やすために導入された制度です。ただ事業を作るだけではなくて、地域の課題を解決する事業である場合に補助を受けられる仕組みになっています。和歌山に移住される方の場合は更に補助金の額が増える優遇もあります。

わかやま地域課題解決型起業支援補助金の相談に乗る岡さん


── 和歌山にやってきて地域課題を解決するような事業を作るといいことあるよー!という仕組みなんですね。

そんなイメージですね(笑)令和元年からスタートしていて今年で五年目になります。採択者は130名ほどいらっしゃって、同じ釜の飯を食った仲間同士でコミュニティが出来てきているところも嬉しいですね。


── 今年で五年目とのことですが、何か傾向はありますか?

実は、だんだん女性のお申込みが増えてきているんです。令和元年は女性は三割だったものが、今となっては女性が五割!またコロナが流行ってからはオンラインを活用した事業の申請が増えたり、屋外の事業が増えたり、また、副業で事業を作られる方が増えてきているんです。


── 女性が五割は全国で中々聞かないので圧倒されますね。具体的に取り組みはどのようなものがありますか?

東京や大阪といった都市圏の企業で平日はオンラインで働きながら、地域の特産品を使ったレストランを和歌山の田舎に出店するものから、流行りのサウナまで様々ですね。


── 和歌山に故郷を持つ身として、どんな形であったとしても和歌山で新しく挑戦する方々が増えていると聞いて嬉しく思います。ちなみに岡さんがそういった支援を始められたのは、どういったきっかけがあってこそでしょうか?

中小企業診断士の資格を取ったことが大きなきっかけですね。大阪で資格保有者の勉強会があって、そこで創業者の支援を体験し、楽しく、やりがいがあるなと感じたんですね。

大阪府中小企業診断協会にてセミナーを担当される岡さん


── やりがい。

世の中にたくさんの中小企業はあるけれども、どの事業も永続するわけではなく廃業することもたくさんある。だからこそ、世の中に健全な新陳代謝を生み出していく、廃業が一つ増えたら創業が一つ生まれるような、そんな社会になれば素敵だなと思ったんです。


── 創業支援をされる際には何を気を付けていらっいますか?

何か新しいものを作りたい人はやっぱり、想いがとっても強いんです。けれども強過ぎるが故に金銭面、事業の持続可能性のポイントが抜け落ちていらっしゃることが多いので、そこの補強をきちんと手掛けたいと思います。

事業継続に向けて金銭面の補強を創業スクールで担当される岡さん


── バランスを取って進められるように、ですね。そんな岡さんが和歌山を中心にStartupWeekend(以下SW)の企画運営を務めていらっしゃるのはどのような背景があるのでしょうか?

私のところに創業相談にいらっしゃるような方は、もうやりたいことが決まってるんです。けれども世の中、実は決まっていなくて、動き出すのを躊躇っている人の方が多い。どうすれば、創業する人の母集団をもっと手前から増やせていけるんだろうって思った時に、偶然にもSWに出合って「これだっ」って思ったんです。


── 創業する人の母集団をもっと手前から。

SWは週末で創業の疑似体験ができることはもちろん、チームでアイデアをカタチにするところが素敵だと思うんです。コーチングを受けてアイデアが白紙になっても折れずにお客様からの声を元に作り上げて、お互い光るところを見つけて役割分担しつつ仕上げていく姿に心打たれます。

岡さんがリードを務められたSW白浜(2019)


── チームで創業に取り組む素晴らしさ。

創業相談にいらっしゃる皆さまの多くは一人でいらっしゃる方が多いんです。けれども実は一人だけではできないことも多い。だからこそ、一人じゃなくてみんなでビジネスを作っていく。そんな文化がSWを通じて広がれば嬉しいです。


── 岡さんは和歌山だけでなく海外のSWにもいらっしゃっていましたが、そこにはどんな想いがありますか?

日本の中にいると、自分たちがやってることが当たり前に思えてきてしまう。もっと改善しようと思ったらもっと違う視点が必要だと思ったんです。だからこそ、海外でSWに参加するチャンスがあれば、これまで飛び込んできました。実際、SW白浜はSW Cebuが参考になっているところが大きいですしね(笑)


── 確かに。白浜のようなリゾート地での開催は海外モデルの逆輸入あってこそですね(笑)そういえば岡さんはお子様も海外のSWに連れてきていらっしゃいましたが、どのようなインパクトを届けられたと考えていますか?

はい、他の参加者さんからは「起業の英才教育!」と言われていました(笑)。おかげで、うちの子供たち、起業に対するアレルギーがないんですね(笑)何かやりたいことや、困ったことをビジネスで解決したいなら起業するのが当たり前、って思ってるんです。SWには多様な人たちがいて、アイデアが認められる環境が当たり前だったからこそ、視野がさらに広がったんじゃないでしょうか。

ご子息を連れて参加されたSW Ho Chi Minh(2017)


── 価値こそあれど中々に過激な英才教育ですね(笑)ちなみに創業支援を手掛けられている岡さんは、アイデアをカタチにする上で大事なポイントはなんだと考えていらっしゃいますか?

柔軟さだと思うんです。やっぱりアイデアって「いい!」と思ったものがよくないことの可能性の方が高い。お客様が思うように見つからないことの方が多い。アイデアは変わっていって当然なんです。だからこそ、何があっても折れず、その時その時の状況に合わせて対応できることが大切ではないでしょうか。


── そんな嵐に満ちたアイデアをカタチにする旅路を支える支援者は何を心掛けるべきだと考えますか?

あくまでアイデアをカタチにするのは本人であるからこそ、支援者である私たちのアドバイスを押し付けることなく、あくまで寄り添うに留めることが大事だと思うんです。


── 寄り添う。

挑戦されている皆さまが、誰かからいつでも応援されていると感じてもらえるようサポートをするイメージです。人って応援されると、もし仮に何かがうまくいっていなくても元気がでますし、もう一回やってみようって踏ん張れるじゃないですか。諦めない限りは大丈夫だと私は信じています。

丁寧に寄り添うことから「和歌山の起業の母」と呼ばれる岡さん


── 諦めることのないよう応援されている空気感をお届けしていく、ですね。そんな風にして応援を受ける人たち、そして支援する人たちが集う企業創業のコミュニティを育てるには何が重要と感じていらっしゃいますか?

関係者を増やすことに尽きるんじゃないでしょうか。いろんな人が、そのコミュニティに関わるきっかけを増やしていくことで、アメーバのように全方位に広がっていくと思うんです。そしてコミュニティのキーパーソンとなる人を見つけて、その人の活躍の場を増やしていくことも大事です。


── キーパーソンはどんな方でしょうか?

続きは下記よりお読みください。


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