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恐怖を我が物として一歩を突き進む勇者道

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は沖縄を中心に企業の経営改善を手掛ける勇者こと本永 敬三さん。故郷熊本県人吉市で球磨川くだりの立て直しやアントレプレナー育成に携わる想いについて伺いました。


── 勇者様の現在の取り組みについてお聞かせください。

一言でお伝えすると、地域の企業で誰も支援しない企業をしっかり支援することですね。


── 具体的には?

資金繰りに困って、銀行にも顧問税理士にも見放されて、経営者と従業員の心もバラバラになって、もうこれは倒産しか道が残されていないんじゃないか、そんな企業の経営改善を手掛けることなんです。気付けば沖縄で経営改善の相談は100件以上、具体的に計画策定支援した30社以上になりました。

計画策定支援の講師として公認会計士協会本部で登壇される勇者様


── どうしてそのお仕事を?

キャリアの中で金融検査官を二年ほど務めたことがあったんですね。それで時々、それなりに名の知れた企業のチェックをするわけです。すると驚いたことにまともに経営できていない、公認会計士も税理士もその状況を改善できていない、という事態に何度も直面したんです。そこで当時の自分は思ったんです。数字に強いけれども、経営に通じた士業の方々が少ないからこそ、ビジネスモデルや付加価値の仮説検証といった事業の本質を支えていこうと。


── 事業の本質。

冗談抜きで公認会計士や税理士、中小企業診断士などの士業、融資を担当している金融機関の方々全員をStartupWeekend(以下SW)に放り込みたいですね(笑)どれだけ数字を眺めていても事業価値や将来性なんて分からないんです。例えば数字を元に原価計算が出来たとしても、実態を把握せず不良資産のことを鑑みずに在庫評価を甘くし過ぎるとか。現地に足を運んで調べたり、人と語り合うことで真実は掴めるにも関わらず。


── 現地に足を運んで語り合う。

やっぱり隠された情報ってあるんですね。例えば銀行に萎縮しちゃって、本当は課題山積なのにそれを伝えれていないとか。だからこそ、そこに飛び込んでわだかまりを解いて、本音を引き出して、実態を理解して課題を全て洗い出してこそ、改善に向けて打ち手が打てるようになっていくんです。


── 先程、SWについて言及されましたが、勇者様は何をきっかけに関わりを持たれましたか?

沖縄の記者さんと何かのイベントで雑談してたんですよ。そしたら「本永さん、SWって知ってます?きっと本永さんにぴったりなので行ってみてください(笑)」って紹介されて、それで面白そうだなと思って飛び込んだんです。

面白そうだなと思って飛び込んだSW沖縄(2013)


── 参加してみてどうでしたか?

そういう話、聞いてない。という驚きでしたね(笑)まさか会場の外に飛び出してお客さんを探しに行くことになるなんて思ってなくって(笑)けれどもその場ではたくさんの素敵な出会いもあって、今では一緒に販路開拓を手掛けている仲間とご縁をいただけたりとか、なんだかんだ面白かったです(笑)


── そんな経験をした勇者様がSWの運営に回ろうと思ったのはどうしてでしょうか?

当時、SW沖縄に関わっていたメンバーの晩ご飯会に呼ばれたんですよ。兼村さんとか、常盤木さんとか、女帝奥田さんとか、今から振り返ってみても相当に面白いメンバーが集まっていて(笑)スタートアップそのものには興味関心はそこまでなかったんですが、この方法論は経営改善にも使えるなと思ったんです。そこから運営を少しずつサポートし始めました。タクトさんと出会ったのも、ちょうどその次の会でしたね。


── そんなSWを勇者様の故郷、熊本人吉にまで持ち込んだのはどういった想いがあってこそでしょうか?

実はコロナ前から考えていたんです。故郷を少しでも元気にするために開こうって。人吉には球磨川くだりがあって、僕にとっての原風景なんです。けれどもとある時に決算書を見る機会があって読み解いてみると立派な債務超過だったんですね。そこでまずいと思ったんです。子供たち、孫たちにも球磨川を降っていく木舟と船頭、お客さんの笑顔の景色を見せてあげたいのに消えていく。だからこそ、故郷にもっと関わって立て直しに関わろうと心に決めたんです。

故郷の球磨川くだりの立て直しに関わり始めた勇者様


── 球磨川の景色を残すために。

当たり前のことですけど、人は死んだら戻って来ない。同じように伝統文化の球磨川くだりも会社が倒産したら戻ってこない。大事な人やものが無くなったら二度と取り戻せなくなる。そう思って支援を始めたんです。よく、「勇者からは儲けの匂いがしませんね」と言われるんですが、それは自分自身の使命として取り組んでいるからかもしれません。


── そんな想いから開かれたSW人吉は如何でしたか?

もう最初は開催できないんじゃないかと思いました(笑)やっぱり初開催ということもあってか地元の人たちは取り敢えず様子見ムードだったんです。ただ最終的には参加してくださる方も増え、また次回開催に向けて一緒に企画運営していこうと立候補をしてくれたんです。故郷に小さいながらも波紋を広げられたんじゃないかと思っています。

故郷人吉に新しい波紋を広げたSW熊本@人吉球磨(2023)


── 無事に仲間が集い今後に続きそうで何よりです。そんな風にして挑戦者を支えていらっしゃる勇者様はどんな心構えを大切にしていらっしゃいますか?

自立のための支援に徹することが大切と考えています。経営難の企業に対して支援者は相手に変化を期待してしまっているからこそ、こうやったらいいんじゃないかと提案をしてしまいがちなんです。けれども経営難に陥っている本人たちが自分事にして、自分自身で課題解決を進めない限り本当の変化は起きないと思っています。だからこそ、企業の方々が具体的に、こういう方法はないだろうか、と本気で動き出した時にこそ手を差し伸べることが大事ですね。


── 相手の本音と本気を引き出すためには、どんな工夫が必要でしょうか?

ふざけた話から始めて、ふっと相手の心に入り込むところからですね。信頼してもらったら自分の弱いところを出してくれるんです。こういうことを本当はやってみたいって伝えて伝えてくれるんです。そこに寄り添って再び抱きしめて大きくするイメージです。あれせんといかん、これせんといかん、と圧迫してはダメですね(笑)


── そんな勇者様のような方々に支えられ、アイデアをカタチにする挑戦者は何を大切にすべきでしょうか?

続きは下記よりお読みください。


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