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"ごちゃまぜ"を軸にした発酵型の継続支援

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は福岡県北九州門司区にて税理士として活躍しつつ、起業創業のコミュニティ運営も担われている相浦圭太さん。人々が集うスペースを運営しつつ、アイデアをカタチにする皆様を支える想いについて伺いました。


── 相浦さんの現在の取り組みについてお聞かせください。

それは難しい質問ですね(笑)


── 見事に出鼻を挫かれました(笑)

基本的には税理士事務所の代表を務めています。沖縄がベースで福岡の門司港と半々で、時々東京にも赴きます。門司港でZATTA ZISSEという施設の運営もやってます。


── 「基本的には」という言葉が引っ掛かりました(笑)どうして施設の運用を始められたのでしょうか?

うちの会社って相続支援だけでなく非営利団体支援、そして創業支援も手掛けていて、本社移転を検討した際にふと思ったんです。税理士が隣にいるコワーキングスペースを作ろうって。アイデアがカタチになり易いような、面白いことが起こるような、そんな楽しい場所を折角だから門司港に作ろうって。

税理士法人のオフィスを兼ねた施設 ZATTA ZISSE 壁面前の相浦さん


── 何か新しいことを始めたい人にとっては嬉しい場所ですね!どんな風にして準備を進められましたか?

実は場作りは初めての取り組みだったので、先人から学ぶことにしたんです。まず全国のコワーキングスペースの行脚から。そうする中で、もっと本場を学ばなきゃいけないなという気になり、サンフランシスコやシリコンバレーにも足を運びました。英語も出来ないけど肌で感じたくて(笑)


── 徹底的な調査をされたんですね(笑)本場は如何でしたでしょうか?

本当に行って良かったです。特に「ごちゃまぜになっているところ」に感銘を受けました。国籍が違う人、肌の色が違う人、宗教が違う人、そんな風にして考え方や生き方の前提がまるで異なる人たちがスペースに集って議論していたんです。例えば豚を食べちゃダメな人とWELCOMEな人が畜産業について語り合うとか(笑)


── ごちゃまぜ感が大事。

自分たちの頭の外側にあること、自分がこれまで生きる中で見て聞いてきたものの外にあるもの。それらが触れ合うことで化学反応が起きて、面白いものが生まれてきていると現地で感じて、それをテーマにして場作りをしようと決めたんです。


── テーマを決め日本に戻られてからは、どうでしたか?

当時、日本で流行っていたコワーキングスペースが洗練さを追求しているように見受けられて不安になったんです。あまりにもカッコイイデザインだと、ITを仕事にしている皆様だけしか、多様な方々とのごちゃまぜを実現できないんじゃないかと。


── 違った方向に行くことにしたと。

そこで考えたんです。いろんな人が自然に集まってくる場所ってどんなところがあるだろう、集いやすさってどんなだろうとデザインしていったんです。図書館があって体育館があって給食室があって職員室があって老若男女誰もが気軽に訪れる教室もあって、自然にそうやって仕上げたデザインは小学校の各コンテンツが混ざったようなものでした。小学校って集いやすいんだ!って新たな発見でしたよ(笑)ヒトやモノやコトが雑多に混じり合い、多様な実践が生まれる場所に、こんな感じで辿り着きました。

スタートアップから落語まで様々なヒトモノコトが集う場に


── そして出来上がったのが、ZATTA ZISSE。雑多な実践。というわけなんですね。そういえば、混ぜ合わせるというコンセプトでいうと、相浦さんが指揮するStartupWeekend関門(以下SW)もその想いがあってこそでしょうか?

もちろんです(笑)最初はSWに北九州に出会って、関門エリアに持ち帰りたいって思ったんです。ただその時にやっぱり混ぜたくなっちゃって。会場を門司港と下関の二か所にしたり、船に乗ってあの海峡の激流を感じたり、地元の方々と接してもらったり、そんな風に混ぜることを大事にしているんです。


── 実際にそうやって混ぜる場を何度も手掛けてみて、何を感じていらっしゃいますか?

やっぱり、回を重ねる毎に混ぜる要素が増え、それに伴って変化も増えてきたと感じています。北九州と下関の市長が来たり、コーチジャッジの皆様も両都市から呼んだり、小学生も参加するようになり、つい先日は商店街まで混ざるように。アイデアも弾けるようになってきて、よいスパイスが加わっていると感じています。

商店街まで混じるようになったSW関門


── そういえば、ZATTA ZISSEに限らず、SWに限らず、先日は九州全県のフルーツを混ぜ合わせてお酒も造られていたような?

バレましたか(笑)私にとって「混ぜる」ということはキーワードになっているんです。自分でえり好みせずに、好き嫌いせずに、何もかもを中に入れていく。大鍋にトカゲの尻尾や蝙蝠とかを入れてグツグツ煮込んでいるイメージです(笑)


── 毒リンゴが出来上がりそうですね(笑)

特に施設には目標の設定はしていなんです。実験をずっと無期限で繰り返すことが大切なので。例えばZATTA ZISSE、月曜日と火曜日はフリースクールもやってるんですね。すると面白いんですよ。スタートアップの資金調達の打ち合わせの横で小学生が鬼ごっこしてるんです。そんなわいわいがやがやのごちゃごちゃ感から、何かが生まれそうな予感がしているんです(笑)

わいわいがやがやのごちゃごちゃ感が当たり前のZATTA ZISSE


── そんな相浦さんが北九州から沖縄へ進出されたのは、どういった想いや背景がありますか?

実は始まりは小さなことで、沖縄で相続に困っている方がいらしゃって、来てくれないかとお誘いをいただいたんです。無事に一つ相続を仕上げて北九州に戻ったところ、その仕事ぶりを沖縄の皆様が気に入ってくださって、他のお客様を紹介してくださったんです。


── ご縁が繋がったんですね。

気付けば半年に一度、三カ月に一度、毎月に一度呼ばれるようになって、自分一人で回らなくなってきたところ、相続でお世話した方が「テナントビルを建てるので、そこに出店してくれないか」と提案をしてくれて、なりゆきで沖縄支店が始まったんです。


── 沖縄に進出されて良かったことをお伝えいただけますか?

やっぱり、混ぜ合わせですね(笑)沖縄と門司港の拠点を持つことで架け橋になれたんです。それぞれの地域のお客様が繋がってビジネスが生まれたこともありますし、お互いの地域が持つ特色を分かち合うことで思いもよらない発見があって、笑顔になれると感じています。

沖縄のお客様のところでも笑顔の相浦さん


── そんな風にして「混ぜる」をキーワードにご活躍の相浦さんは今後、何を成し遂げたいと思いますか?

今までは税理士法人の代表として、組織を大きくするところに取り組んできました。けれどもやっぱり、私の場合、職人気質のところがあって、少数精鋭で新しいことに取り組みたい気持ちがあるんです。


── 少数精鋭。

組織が大きくなると法律が絡んできちゃいます。根詰めたいのに、また追求したいのに、今の世の中残業も容易に出来なくなります(笑)けれどもやっぱり、案件によっては本気でめちゃくちゃ力を入れなきゃ事を成せないシーンがあると思うんです。なので「ここの会社、応援したいよね!」といった企業様を見つけたら、少人数のチームで1~2年かけて次の夢のステージに行くまで徹底サポートをやる。その会社や個人のやってみたいに寄り添うプロ集団をつくりたいんです。


── 相浦さんはマネージャーよりはプレイヤーが合っていらっしゃるんですね。

企業様毎に色々なパターンがあると思うんです。スタートアップもあれば地域社会課題解決まで、そのパターン毎にプロメンバーでチームを組み直して、その中で一人の税理士として関わっていきたいですね。気付けばこの業界に踏み入れて20年。これまで自分が培ってきたものを全部混ぜ合わせて、尖ったことを血を吐きながらやりたいです(笑)


── 血を吐きながら(笑)

肌感覚ですが、それを惜しまないと次のステージには行けない気がするんです。それが終わった後こそ、美味しいお酒を飲めると思うんです。海賊みたいですが(笑)

SW関門で美味しい海峡レモンソーダを振る舞われる相浦さん


── パイレーツ相浦さんと今後はお呼びさせていただきますね(笑)ちなみに事を成すには血を吐く以外にも何か大切な要素があるかと思うのですが、他には何が大切とお考えでしょうか?

「優しさ」ですね。


── 全国で初めて耳にしました。具体的にはどのようなものでしょうか?

続きは下記よりお読みください。


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