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隠れた東欧の美しき都 リュブリャナ

 バス停から15分ほど歩いたところで、ようやく街の中心部にたどり着いた。

 ピンク色に塗装された教会がとても目を引く。町の中心、コングレスニ広場の周りを美しいウィーン様式の建物が並んでいる。僕は大急ぎでバッグパックの中にしまい込んでいたミラーレス一眼を取り出して、夢中で町を撮影していた。

 正直、リュブリャナがこんなに美しいとは思ってもいなかった。スロベニアを最初の渡航先に選んだのは、ドイツからバルカン半島諸国へ陸路で旅行する時の、最初の国がスロベニアだったからだ。それだけの理由で、後は現地でいろいろ探してみれば良いと思っていたんだ。

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 ホステルのチェックインは午後の14時くらいからだったので、とりあえず町中を写真を取りながら練り歩く。

。。。暑い。。。この時めちゃくちゃ汗をかきながら歩いていた覚えがある。

とにかく日差しが強かった。ドイツは8月でも全然暑くないので、ヨーロッパの夏はこんなもんかなんて思っていたら、スロベニアは日本人の僕でもとても辛かった。

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↑暑すぎるのでクールダウンできるスポットも用意されている

 しかしバルカン半島諸国は、水資源が豊富なのか、町中に給水できる場所がある。そして水が冷たくておいしい。この旅の最中、常に給水できる場所があったおかげで、なんとか生き延びることができた。

 適当に昼飯を食べた後、とりあえずホステルへ向かう。Google マップで調べながら、徒歩で向かう。

 その途中、とても印象的な建物が見えてきた。ヨーロッパの歴史的な建物や、お洒落なデザイナーズビルみたいなものではなく、ただのビルである。しかしとても違和感と、なんとも言えぬ威圧感。それをずっと眺めていると、恐怖感すら湧いてきた。「なんなんだこの変な感じ...」

中心部にあったのはまさに欧州って感じの街並み。でもここにあるのは社会主義時代の遺物。左右にそびえ立つ巨大な建造物は、まるで街の人々を上から見下ろしているようにも見えた。きっとそういう意味も込めて、社会主義時代の建築家はこのようなモノトーンで巨大な建築物を設計していったのだろうか。

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 ビルの方へ歩みを進めると、見慣れた国旗があった。日の丸。

日本食レストランでもあるのかな?と思って、近づいてみるとそこには「Veleposlaništvo Japonske v Sloveniji」と書かれていた。在スロベニア日本大使館である。

他国の大使館も複数あったので、これはかなり格式高いビルなんだなと気付かされた。変って言ってごめんな、でもてっぺんに乗っかってるやつ、よくわかんないよ。

 歩き始めて30分ほど。なかなかホステルに着かない。しばらくすると閑静な住宅街のど真ん中を歩いていた。こんなとこに、本当にホステルなんかあるのかなと不安になった。

 しばらくすると団地の敷地内に入った。Google マップによれば、ホステルはこの中の一棟の中にあるという。

看板が見えてきた。「Students Residence 2」その名の通り、学生寮を夏休みの間、観光客に安価で貸し出すというタイプのホステルである。団地だと思っていたのは全部学生寮だ。

受付を済まして部屋に入る。部屋の中には共同キッチンが一つに部屋が二つ。それぞれの部屋にベッドが2つ置いてある。

僕が到着した時には、もう片方のベッドの上に着替えなどが散乱していた。もうすでに誰かいるのだろう。「どんな人なんだろうか」「どこの国から来ているんだろうか」と気になりつつ、休憩してからまた街へ向かう。

 中心部に戻ると、大きな傘を持った人たちが2、3人立っていた。どうやら彼らはリュブリャナで「Free Walking Tour」を行っているらしい。

僕はどの国へ行っても、ほぼ必ずこのような無料の街歩きツアーを探して参加する。この方がより街について深く学ぶことができるからだ。

 今回のガイドは僕と同い年くらいの青年。通常ツアーガイドはマイクなしで町の要所について詳しく、時には面白おかしく伝えてくれるのだが、今回の彼はおどおどしていて、どうもまだ慣れていないのかなという感じだった。

 そんな彼の話の中で、一番印象に残ったのは、「肉屋の橋」と呼ばれる橋にかけてある南京錠について。ヨーロッパの鉄橋などを見ると、恋人たちが縁結びの願いを込めた南京錠がワケわならないくらいの量かかっている。彼はこの南京錠を橋にかけるという風習の起源について語っていた。

 一説にはその昔、あるセルビア人将校と女性が恋に落ちた。しかし彼は間もなくギリシャへ出征することになる。彼女は彼が無事に帰ってくることを願っていたが、彼が出征先の女性と恋に落ちたことが発覚する。悲痛のうちに彼女は川にみを投げてしまう。。。その後地元の女性たちが、彼らが逢引に使っていた橋に、恋人との愛の証明として南京錠をかけるようになったと言われている。

 へえ、やたらと欧州人が南京錠を橋にかけるのはそういう風習から来ているのか。いや、この話リュブリャナと関係なくね?

 2時間のツアーが終わった後はお腹が空いたので夕飯へ。せっかくなのでスロベニア料理を食べてみることにした。

 中心部にあるレストランに行くことにした。中は洞窟のような感じでいい雰囲気がある。メニューを見ても何がなんだかよくわからなかったので、店員さんに「スロベニアの典型的な料理は何?」と聞いてそれを注文した。

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 出てきたのは東欧諸国でよく食べられている肉料理「チェバプチチ」。それをパンで挟んだものに、、、生の玉ねぎが添えてあった。シンプルな料理だけど肉の味付けがうまくて、かなりボリュームがあったけど全部平らげることができた。

 食後にちょっと街を散歩した後は、すぐにホステルに帰ることにした。リュブリャナは本当に小さい街なので、4時間もあれば街全体を周ることができる。明日はどうしようかな、と考えながら帰路につく。

 ホステルの部屋に着くと、自分の部屋にはすでにもう一人の旅人が帰ってきていた。アルゼンチンからきたアーティストのエゼキエル。年齢までは聞かなかったけど、見た目は大体30後半だろう。今は自由気ままにヨーロッパ中を旅しているらしい。

まだ自分は大学生だったから、旅できるのは大学生のうちと、定年してから期間だけだと思っていた。けれども海外で旅しているうちに、様々な方法で長期の旅行をする人たちと何度も出会った。

自分が知っている常識だけが、全員の常識ではないんだ。

 エゼキエルにリュブリャナ付近のおすすめを聞いたら、「ポストイナ鍾乳洞」か「ブレド湖」がいいよとお勧めされた。でも次の日は雨の予報だったので、鍾乳洞の方に行くことにした。かなり混み合うので早めに行った方が良いというので、その日は早めに練ることにした。旅の最中は特に、ベッドに寝転がった瞬間に眠ってしまう。。。その日も例外なく、深い眠りについた。


ポストイナ鍾乳洞への旅は次回の記事で

また!


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