弁護士 橋本拓朗

2007年弁護士登録。2018年4月から2021年3月まで消費者庁に勤務し、情報公開に…

弁護士 橋本拓朗

2007年弁護士登録。2018年4月から2021年3月まで消費者庁に勤務し、情報公開に関する事務や行政不服審査法に基づく審理員としての業務などを担当。2021年4月に弁護士再登録。千葉県弁護士会所属。 ※業務の都合等により新規の個人の方のご相談等はお受けしておりません。

最近の記事

番外編 Interview with 弁護士 竹下 博將 PART1 (「ヘドバンギャー’s Journey」(自由と正義2023年10月号掲載)の「仕事環境」・リモートワークなどについて)

まえがき  「自由と正義」2023年10月号巻頭の「ひと筆」(以下「ひと筆」)。のタイトルは、「ヘドバンギャー’s Journey」で執筆者は竹下博將先生(以下「竹下先生」。)でした。(竹下先生のX(旧Twitter)のプロフィールに「「養育費・婚姻費用の新算定表マニュアル」代表執筆者」とあるように、こちらの分野でもご活躍されています。こちらのリンクもご覧ください。)  タイトルだけでBABYMETALとA HEADBANGER'S JOURNEYにちなんでいることが分かり

    • 番外編 Interview with Shinta@Take This to Heart Part2 (バンド活動のこと)

      Part2まえがき(略語はPart1と同じ)  Part1では、ShintaさんのCLS在籍時の勉強方法などについてうかがいました。  Part2は、私がShintaさんを知るきっかけになったTTtHについてうかがいます。なお、Shintaさんにうかがったところ、TTtHの1stアルバムである「Hypernova」についてのインタビューは、この記事が初のようです。  法クラ(筆者注:広い意味での法曹関係者のこと。)かどうかを問わず、メタルヘッズ(筆者注:HR/HM愛好家のこ

      • 番外編 Interview with Shinta@Take This to Heart Part1 (77期司法修習生に聞く司法試験や受験生活のことなど)

        まえがき  私は中高生のころからハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)を愛聴しており、現在も色々なバンドを聴いています。  一昨年の末ころから昨年頭にかけて、Take This to Heart(以下「TTtH」と記載します。)という日本のメタルコア(ヘヴィメタルの1ジャンルです。後でインタビュイーに語っていただきます。)バンドを知り、CDを購入して聴いていたのですが、TTtHのX(旧Twitter)を見ていたら、同バンドのギタリストのShintaさんが司法試験に合格した

        • 閑話休題 弁護士法に基づく懲戒処分、これに対する審査請求と裁決、裁決の取消訴訟の関係の検討

          弁護士法に基づく懲戒処分は講学上の行政処分  弁護士法56条2項は「懲戒は、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会が、これを行う。」と定めているところ、同法59条2項は「前項の審査請求については、行政不服審査法第9条、(略)の規定は、適用しない。」としていますから、弁護士法に定める懲戒処分は、行政不服審査法1条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当することを前提としていると読むことになります。  行政法の行政処分の定義については諸説あるところですが、最高

        番外編 Interview with 弁護士 竹下 博將 PART1 (「ヘドバンギャー’s Journey」(自由と正義2023年10月号掲載)の「仕事環境」・リモートワークなどについて)

          閑話休題 国の機関における審査請求について その2(審査請求について学んだこと)

          国の機関の場合の行政不服審査法に基づく手続(情報公開関係)について  前回の記事で、審査請求書の記載内容と期間制限などの形式的なチェックについてご説明したので、その続きになります。  審査請求書の補正などが終わると、請求書を受け付けた審査庁は、不適法却下の場合及び審査請求を全部認容して当該審査請求に係る行政文書の全部を開示する場合以外、つまり、審査請求の審理を行った上で請求の全部又は一部を棄却すべきと判断した場合は、必要書類を準備して、総務省に設置されている情報公開・個人

          閑話休題 国の機関における審査請求について その2(審査請求について学んだこと)

          閑話休題 国の機関における審査請求について その1 (審査請求に関して学んだこと)

          国の機関の場合の行政不服審査法に基づく手続の流れについて  行政不服審査法に基づく手続のうち、行政機関情報公開法に基づく不利益処分に対する審査請求の流れをおさらいしたいと思います。  まず、行政不服審査法4条に基づいて審査庁となる行政庁に、審査請求書を提出します(同法19条1項)。法律に口頭ですることができる旨の定めがある場合は、口頭でも審査請求は可能ではあるのですが、口頭で行う場合も同法20条によって同法19条2項から5項までに規定する事項を陳述しなければならず、これら

          閑話休題 国の機関における審査請求について その1 (審査請求に関して学んだこと)

          閑話休題 行政不服審査法に基づく審査請求関連業務について(審査請求書作成の注意点)

          行政不服審査法に基づく審査請求対応の業務  消費者庁の情報公開・個人情報保護担当の課長補佐であったとき、業務の一つとして、開示・不開示決定に対する審査請求が申し立てられたときの事務対応がありました。    行政不服審査法に基づく審査請求についての解説はここでは行いませんが、消費者庁長官が処分庁等(行政不服審査法4条1号)である場合については消費者庁長官に対して審査請求をすることになります。  ちょっとだけテクニカルな話をしますと、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(行

          閑話休題 行政不服審査法に基づく審査請求関連業務について(審査請求書作成の注意点)

          「公にする」の意味など (情報公開請求等の受付窓口担当だったときに考えていたこと その6)

          不開示情報を定める規定にある「公にする」とは  これまでの記事で、国の機関や地方自治体に対する情報公開請求の場合、請求者の属性は開示の判断に影響しない、というご説明をしてきました。 その中において、行政機関情報公開法でも各地の情報公開条例でもおおよそ請求者に限定はなく「何人も」(「なんぴとも」と読みます。「誰でも」という意味です。)となっているということ(報道によれば「町民に限る」と規定していた地方自治体もあるようですが)、行政機関による平等取扱いの原則(法適用の平等)と関

          「公にする」の意味など (情報公開請求等の受付窓口担当だったときに考えていたこと その6)

          閑話休題 行政文書管理担当になって勉強したこと(行政文書の管理等について) その4

          公文書管理に関する悩み(ガイドライン等を実物にあてはめるときなど)  公文書管理の考え方の一般的なものはガイドラインを含めて示されているものの、個々の行政文書の取扱については、どれが当てはまるのかが明確でなく、実務担当者としては困るケースもあったように思います。  例えば、国又は行政機関を当事者とする訴訟に関する文書を行政文書ファイルにまとめるときに、ガイドライン別表第1の11(6)や12(6)は「訴訟が終結する日に係る特定日以降」としているので、保存期間の始期は訴訟が終結

          閑話休題 行政文書管理担当になって勉強したこと(行政文書の管理等について) その4

          情報公開請求の決定の際の注意点等(情報公開請求等の受付窓口担当だったときに考えていたこと その5)

          開示(不開示)決定通知の書き方  情報公開請求に対する開示決定において、全部または一部不開示とする場合には、不開示部分が文書のどこ(例えば何ページの何行目)か、それがどの不開示理由に該当するのか、どのような理由でその不開示理由に該当するのかを示す必要があります。ただ、不開示とした部分にどのような記述があるかをはっきり書いてしまうと、その部分を開示したのと変わらなくなってしまうので、「特定の事業者の製品の製造に関する情報」など具体的な内容にわたらない程度で記載する必要がありま

          情報公開請求の決定の際の注意点等(情報公開請求等の受付窓口担当だったときに考えていたこと その5)

          閑話休題 行政機関の対応に不満がある場合(公益通報窓口担当であったときに学んだこと)

          公益通報した先の行政機関の対応に不満があるとの申出は思ったより多い  消費者庁の公益通報窓口担当であったとき、電話してきた方の中には、公益通報をしたが、受け付けた行政機関がきちんと対応してくれないとか、その後の説明がないなど、行政機関の対応に不満があり、公益通報者保護法を所管する消費者庁に、それらの行政機関にきちんと対応するように働きかけてほしいということを話される方が、そこそこの割合でいらっしゃいました。  消費者庁は、公益通報者保護法を所管しているのですが(同法19条で

          閑話休題 行政機関の対応に不満がある場合(公益通報窓口担当であったときに学んだこと)

          閑話休題 公益通報窓口担当として考えていたこと

          消費者庁は公益通報者保護法の所管行政庁だけど、消費者庁が受け付ける公益通報は消費者庁の所管する法令に関するものだけ  平成30年に消費者庁で特定任期付公務員として任用された際の私の役職は、情報公開・個人情報保護・公益通報担当課長補佐でした。  平成31年(令和元年)になって、公文書監理官室室員、消費者庁全体の公文書管理担当も業務に加わり、公文書管理について業務を行いながら考えていたことについては、これまで記事で書いてきたとおりです。  任用直後に、それまでの弁護士としての

          閑話休題 公益通報窓口担当として考えていたこと

          情報公開請求における請求者の属性と情報公開請求と個人情報開示請求の違い(情報公開請求等の受付窓口担当だったときに考えていたこと その4)

          不開示情報の検討の前提のお話  続きは次回と書いておきながら、話は若干遡り、「その3」で書いた『(請求者が誰であるかによって行政庁は対応を変えるわけにはいかない以上、行政庁としては誰であっても同じ対応をしなければならないわけです。)』というところについて、もう少し説明したいと思います。  行政機関に情報公開請求をされる方の中には、請求そのもの(とそれに対する行政機関の対応)に意味があると考えていて、開示不開示自体はあまり気にしていないように見えるケースがありました。  例

          情報公開請求における請求者の属性と情報公開請求と個人情報開示請求の違い(情報公開請求等の受付窓口担当だったときに考えていたこと その4)

          閑話休題 行政文書管理担当になって勉強したこと(行政文書の管理等について) その3

          行政文書の保存と利活用  行政文書の保存自体は、紙媒体のものであれば、各府省の定める行政文書管理規則以下のルールに従ったラベリング等を行って(ここの部分は、前回の行政文書の整理に該当します。)、鍵のかかるロッカーに入れて、ラベルに記載された保存期間満了まで間違いなくロッカーで保管すればよいわけです。  デジタルデータの場合、行政文書管理システムに登録するときに、システムにアップロードするようになっていれば、システム上で保存されていることになるわけですが、行政文書管理システム

          閑話休題 行政文書管理担当になって勉強したこと(行政文書の管理等について) その3

          閑話休題 行政文書管理担当になって勉強したこと(行政文書の管理等について) その2

          行政文書の一生の始まり(作成・取得)  公文書管理法、行政機関情報公開法の行政文書の定義は、基本的に同じで、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(略)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」をいう(公文書管理法2条4項、行政機関情報公開法2条2項)わけで、行政文書(公文書)であるためには、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得するということが必要になるわけです。  行政文書の作成といっても、ア

          閑話休題 行政文書管理担当になって勉強したこと(行政文書の管理等について) その2

          閑話休題 行政文書管理担当になって勉強したこと(行政文書の管理等について)

          情報3法って?  ここまで、情報公開に関する事柄を書いてきましたが、ちょっと横道に逸れて、公文書(行政文書とも呼ばれます。以下では文脈に合わせて両方の語を使いますが、基本的に同じ意味です。)管理のお話をします。  消費者庁の総務課で情報公開・個人情報保護担当と公益通報担当の課長補佐を拝命していた平成31年4月に消費者庁の公文書監理官室が消費者庁全体の公文書管理を担うことになり、私は総務課の課長補佐と公文書監理官室の兼務となり、公文書管理も担うことになりました。 (参考 

          閑話休題 行政文書管理担当になって勉強したこと(行政文書の管理等について)