番外編 Interview with Shinta@Take This to Heart Part1 (77期司法修習生に聞く司法試験や受験生活のことなど)

まえがき

 私は中高生のころからハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)を愛聴しており、現在も色々なバンドを聴いています。
 一昨年の末ころから昨年頭にかけて、Take This to Heart(以下「TTtH」と記載します。)という日本のメタルコア(ヘヴィメタルの1ジャンルです。後でインタビュイーに語っていただきます。)バンドを知り、CDを購入して聴いていたのですが、TTtHのX(旧Twitter)を見ていたら、同バンドのギタリストのShintaさんが司法試験に合格したこと、CLS(中央大学ロースクール(Chuo university Law School)の略)の首席が確定したことをポストしていたことに気付き、これはお話を聞いてみたいと思い、厚かましくもShintaさんにチャットでのインタビューをお願いしたところ、快諾いただいたというのが、この記事の経緯です。(読みやすくなるように、チャットでの質問と答えを並べ替えたり、修文したりしています。全ての文責は私にあります。)
 Shintaさんには、司法試験合格のこと、ロースクールでの勉強のことをお伺いして、現在勉強中の方、これから目指そうとされる方への参考になればと思っています。
 また、個人的な趣味の部分として、日本の音楽シーンではメインストリームには位置していないメタルコアというジャンルでバンド活動をしていることや、TTtHのアルバム「HYPERNOVA」についてもお伺いしました。こちらはPart2に掲載予定です。
 以下、インタビューです。

司法試験合格と勉強方法について

橋本(以下「」) まず最初にお聞きしたいのは、いつごろから司法試験を目指したかというところです。CLS入学前から、予備試験や司法試験に向けての勉強をしていましたか?

Shinta@TTtH(以下「Shinta」) もともと、中央大学法学部出身なのですが、大学時代はお恥ずかしながら授業に出たのは数えるほどで、法律の勉強をしたことは皆無といってよいほどです。

 そういう状態だった方が、CLSへの入学を決めたのはどうしてですか?CLSに入学するというのは司法試験を意識しての行動だと思われるところ、私の中央大法学部時代の友人たちを見ても、法曹志望の人ばかりではありませんでしたから、進学を決めた理由が気になります。

Shinta 将来こういった法曹になりたいといった明確なビジョンがあり入学を志した訳ではありませんでした。大学生当時は就職活動等を一切しておらず、将来の進路等を特に明確に決めていたわけではなかったです。強いて理由を挙げるとすれば、学生(いわゆるモラトリアム期間)をもう少し延長したい程度の軽い気持ちで未修コースに入学したという経緯になります。

 ShintaさんのX(旧Twitter)のポストを拝見すると、2022年に予備試験に合格され、2023年の司法試験に合格した、ということなのですが、CLSの未修コースの2年次に予備試験を受験し、3年次在学中に司法試験合格ということでしょうか?

Shinta そうです。ただ、CLSの合格者数に貢献したいと考えたので、司法試験は予備試験合格者の資格ではなく、在学中受験の資格で受験しました。

 1年次から翌年の予備試験を受験するということで準備されていたわけですね?

Shinta 司法試験を受験するのは最短でも3年次ということで中期的な目標を設定したいと思い、未修1年次の後期頃から予備試験を意識するようになったと記憶しております。とはいえ、入学時は予備試験という制度の存在もよくわかっていませんでした(笑)。本格的に予備試験の勉強に乗り出したのは2年次からで、予備試験の論文式試験受験までの4月~7月については、TTtHのアルバムのレコーディング等の制作に追われていて、土日に勉強をする時間はほとんど確保できませんでした。平日は1日14~15時間ほど勉強していました。

 予備試験、司法試験に合格しただけでなく、CLSの首席にもなったわけですが、勉強方法で工夫したところはありますか?

Shinta 勉強と息抜き(バンド活動や飲み会)との区別をはっきりつけていました。具体的には、土日には勉強をほぼせず、バンド活動等に充てていました。また、何か効率的な勉強スタイルをもっていたわけではなく、基本書や判例を読むことしかしていなかったため、効率というよりは完全に勉強量で予備試験、期末試験を乗り切ったと記憶しています。とにかく勉強量を確保した結果として主席を獲得することができたように思います。具体的な勉強方法は、インプットが99%で、基本書や判例等を読み込むだけでした。アウトプットに関していえば、司法試験の起案は1度しかしたことがありません。よく再現性がない勉強法だと周りの友人や先生から言われてしまうので参考になるかわかりませんが、なぜ論点が生起し、いかなる論理、解決がありうるかといった点さえ理解できれば、アウトプットを困難に感じることはそうそうないように感じます。ぜひ受験生にはインプット重視をお勧めします。

 自分の受験時代や受験指導をしていたときを思い出すと、自分では理屈が通っているつもりの文であっても、他の人が読むと整合性を欠いたり、論理に飛躍があったりなど、文の意図を正しく理解してもらえないということは起こりがちで、論文試験が苦手という人はそういう点にひっかかっていることもあったように思います。アウトプットを困難に感じないということは、書いた文を意図したとおりに読み手に理解してもらえているということだと思いますが、文を書くときに意識していることがあったら教えてください。

Shinta 司法試験等の起案でいうと特段意識していたことは3段論法ぐらいですかね(場合によって敢えて崩すこともありますが)。最も大事なことは法律の専門家が書いた基本書や判決文等からの学習をすることだと思います。何周も愚直に繰り返し基本書等を読むことで自分の血肉として一流の文章を吸収することができるため、起案等のアウトプットの質も向上すると思います。私は決して予備校アンチではありませんが、論証パターンや過度に単純化された文章のみからインプットをするのでは得られないものが基本書等にはあると思っています。

 ロースクール在学中に予備試験を受験するメリット又はデメリットを教えてください。

Shinta メリットとしては、予備試験合格者の司法試験合格率の高さ(法務省のデータによれば令和以降は少なくとも80%以上です。)を踏まえると、予備試験に合格した場合、司法試験までのメンタルの安定を保つことができることが大きいと思います。他には、予備試験合格者を対象としたインターン(当時の呼称はウィンタークラーク)に参加することで、就職の幅が広がるということもいえるかと思います。デメリットとしては、期末試験の科目にはないような科目の勉強をする必要が生じるため、両立を図ることができない場合、ロースクールの成績が下がってしまう可能性があることですかね。

 修習終了後の所属先法律事務所から内定を貰っているとうかがいましたが、内定先は予備試験合格後のウィンタークラークに行った先でしょうか?

Shinta 予備試験合格後のインターンは3つほど事務所を訪問しました。内定先の事務所はインターン等で訪問した事務所ではなく、司法試験後に就職活動をする中で出会った事務所でした。

 最近の就職事情を聞きかじったところでは、いわゆる売り手市場になっているということのようですが、予備試験合格は内定を貰うのに役立ったと感じますか?

Shinta 私もそのような噂(いわゆる売り手市場になっていること)を耳にしたことはありますが、実際に売り手市場であることを体感したということはなかったですね。予備試験合格者が就職市場で有利だということは間違いないと思います。予備試験に合格しているということは、ある程度の学力と司法試験合格率が担保されているということになるため、採用側からすると一つの大きな指標になっていることは間違いないと思います。

 将来はどういう分野の業務をしたいと考えていますか?

Shinta 将来は破産、事業再生や、音楽等のエンタメ関連(著作権)の仕事に関心があります。

Shintaさんの音楽遍歴やTTtHのこと、TTtHのアルバム「HYPERNOVA」については、Part2で。