閑話休題 国の機関における審査請求について その1 (審査請求に関して学んだこと)

国の機関の場合の行政不服審査法に基づく手続の流れについて

 行政不服審査法に基づく手続のうち、行政機関情報公開法に基づく不利益処分に対する審査請求の流れをおさらいしたいと思います。

 まず、行政不服審査法4条に基づいて審査庁となる行政庁に、審査請求書を提出します(同法19条1項)。法律に口頭ですることができる旨の定めがある場合は、口頭でも審査請求は可能ではあるのですが、口頭で行う場合も同法20条によって同法19条2項から5項までに規定する事項を陳述しなければならず、これらの事項を正確に陳述するための準備をしていくのであれば、審査請求書を作成したほうが良いように思います。

 行政不服審査法19条2項3号や5号についての注意点、同条4項の代表者の住所又は居所の記載については、一つ前の記事で記載していますので、ご確認いただければと思います。

 ちなみに、同法4条の審査庁ではなく、処分庁に審査請求書を提出してしまった場合には、処分庁から審査庁となる行政庁に送ってもらうということもできます(同法21条1項及び2項)。もっとも、処分書には、どの行政庁に対して審査請求ができるかの記載がありますから、その記載を確認していただくほうが良いとは思います。

 審査請求書の提出を受けた審査庁は、行政不服審査法19条の規定に違反していないかを確認し、不備がある場合には期間を定めて補正を求めます。この期間内に補正がされない場合には、審理手続を行わずに却下される(同法24条1項)ことになります。
 このときに、審査請求の期間制限(行政不服審査法18条1項及び2項)に引っかかっていないかも確認しますし、審査請求の利益を欠くことが明らかという状態でないかも確認します。期間制限に引っかかっていたり、審査請求の利益を欠くことが明らかという場合には、審査請求が不適法であって補正することができないことが明らかですから、先の場合と同様に、審理手続を行わずに却下(同法24条2項)となります。

 審査請求の利益については、条文上明記されていないのですが、行政不服審査法に基づく不服申立ての制度が「国民の権利利益の救済を図る」という目的のために設けられていることから、審査請求の利益を欠く者からの審査請求は不適法となると解されています。
 法を所管する総務省のQ&Aでは、

『処分について審査請求をする法律上の利益がある者、すなわち、その処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害されたまたは必然的に侵害されるおそれのある者であれば、処分の相手方でなくとも、審査請求をすることができる』

 と説明されていて、これを逆の側から説明したのが「審査請求の利益を欠く者による審査請求は不適法」という意味になります。

 審査請求をすることができる期間に制限が設けられている(行政不服審査法18条1項及び2項)関係で、審査請求書には、審査請求に係る処分があったことを知った年月日(同法19条2項3号)を記載することになっており、また、通常は、処分の内容(同項2号)を記載する際に処分日を記載しますので、受け付けた審査庁は、これらを元に期間制限に違反していないかを検討します。
 審査請求した日については、同法18条3項の関係で、審査請求書を郵送した場合には郵送した日(通常は消印の日付でしょう)となりますが、審査請求した日が同条1項本文及び2項本文の期間を形式的に越えているときには、これらの但書の「正当な理由」がなければ不適法却下となりますから、審査請求書には同条1項但書又は2項但書にいう「正当な理由」を記載し、それを裏付ける資料を添付しておくほうがベターといえます。
 受け付けた審査庁としては、形式的に期間制限を徒過している場合には、審査請求人に正当な理由についての補正を求めることになり、補正を求めたにも関わらず、補正がされないということになれば、同法24条1項によって却下するということになります。

 丁寧に書いていくと、思ったより分量があったので、続きは次回以降に。