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スコセッシの新作映画を記念して、過去の名作をポスターで振り返る(2009年〜)

映画のポスターには
作品に対するリスペクトが
しみじみと込められている。

マーティン・スコセッシ監督の新作
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』が
現在公開されています。

ここにきて
デ・ニーロとレオ様のタッグが
見られるなんて、もう、最高です。

監督とその二人の優雅な歩みを記すべく、
過去の名作を振り返ってきました。

ポスターには
当時の熱気を閉じ込められています。

今回は
最新作に繋がる直近の名作を
ポスターで振り返ります。

今年でなんと、81歳になるスコセッシ監督。

その長年の歩みを
ご一緒に堪能できたらと思います。

クリエイターの方々に感謝を申し上げて。
※比較的ポスターが多く描かれた作品より
取り上げています。


▼シャッターアイランド(2009年)

連邦保安官のレオ様は
孤島にある精神病院を訪れる。

正面の顔には絆創膏。
細かい布石ですね。

はりぼてでできた世界。
灯台がキーになります。

光で導くための灯台が

秘密を暴く現場になる。

禍々しく。

海に浮かぶ死体。

脳と小さな火も
象徴的に使われます。

マッチの火に浮かぶ面影。
想像が広がる。

まさに脳内での
葛藤が始まる。

保安官として操作を進めるなか
信じられない事実に突き当たる。

このあたりの表情・・
抜群に絶品です。

監督が、彼を主人公にする理由は

このあたりに強く感じられてきます。

戸惑い、驚愕、あせり、不安、

怒り、憎しみ、復讐。

このあたりの豊かな感情が

絶妙に現れてきます。

そんな表情が最期には

暗く沈む。

▼ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年)


監督とレオ様のタッグが続きます。

まずは前作との凄まじいギャップを
味わいましょう(笑

ほんとに同じ役者?
ってくらいに

あけすけで活力に満ちた表情。

ドラッグをキメながら
金稼ぎまくってドンチャン騒ぎする。
ストーリーは以上です。

描かれたポスターの数は
本作がダントツに多いです。

名人級の顔芸はこのあたりにして

ポスターの数が多すぎるので
シンプルで象徴的に描かれたものに
絞ります。

狼がウォール・ストリートで
猛威をふるう。


変動する為替相場は
「白い粉」で描かれる。

アメリカの象徴すらも。

レモン社のクエイルードは
格別の効き目だ。

あの滑稽すぎるお仕置き。
最高でした。

社員を焚きつける道具。
スピーチの歯切れ良さも絶品。

放たれた高級時計。

丸呑みされる金魚。

ランボルギーニを
足で開ける(しかできない)。

これ1枚だけで
なんだか笑けてくるのは
僕だけしょうか?

あとは金。

金。ヤク。

金。


今まで「武器」だった電話が
二人の首元に絡みつく。

私にペンを売り込んで。

多くの人生を激変させた一言が
悲しく響く。


▼沈黙 -サイレンス-(2016年)

遠藤周作の小説を原作にして
舞台は日本。江戸の初期。

キリストの教えを広めようと
海を渡ってきた宣教師のお話。

意外にも、描かれたポスターは
ごくわずかでした。

弾圧されるキリシタン。
匿う覚悟。

諦念のにじむ表情と
鉛色の空。

肚にずしりとくるような
重厚なストーリーが
迫真の演技で表されます。

日本の役者も含め、
鬼気迫る芝居が見ものです。

ラストに明かされるある事実は
痛烈です。


▼アイリッシュマン(2019年)


「グッドフェローズ」、「カジノ」の
興奮が再来です。マフィアもの。

デ・ニーロとのタッグも復活。
激シブのおじさんになって帰ってきた。

その豪華なキャストに目を見張ります。
アル・パチーノ、ジョー・ペシ、
ハーヴェイ・カイテル。

もうオールスター頂上決戦やん。

その興奮は、
↓のハイクオリティなオマージュからも
伺えます。

大興奮のキャストで
繰り広げられるのは、
ある殺し屋の半生。

若いデ・ニーロまで見られるなんて。

並んでいるだけで
絵になるというか。

3人の掛け合う
ブラックのユーモアも健在で
もう、楽しい。

銃のシリンダーには
アイルランドの国花。

アイルランド人という微妙な立場が
殺し屋の孤独を引き立てます。

弾丸と、シャムロック。

赤く染まり始める。

手、指輪、に誓われた絆が。

ほころぶ。

関係が変わっていくときに見せる
後半のデ・ニーロの悲しい顔が
絶妙です。

電話である命令を
伝えられたときの顔。

この表情をフォーカスしたポスター、
多かったです。

その目の行き着く先は。

いつもの撃ち方ではなかった。

葛藤を残しつつ、強い意志を持って。
独特な余韻がありました。


まとめ


いかがだったでしょうか?

ここまで長距離のスクロールを
ありがとうございました><

多くのポスターが描かれた、
12作品を取り上げて参りました。

生きる伝説としか思えないですね。

とくに印象的なのは、
「顔」のアップが非常に多かったこと。

デ・ニーロとレオ様の
豊か過ぎる表情が
監督の指揮のもと強調されて
作中で生き生きと迫ってくる。

クリエイターの方々が
ポスターに描いたのは、
そのあたりの魅力がとても多かった。

もちろん、言葉で表せないような
監督の凄さ、素晴らしさも
ポスターのおかげでご一緒に
感じて頂けたのではないかと思います。

最新作
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』では、
その歴代の最高な二つの「顔」が
なんと一つの作品に収められています。

引用元:https://asm.asahi.com/article/15004484

素晴らしいポスターが
また新たに生まれることでしょう。

僕もこれから興奮しながら
観に行きます。

クリエイターの方々へ
感謝と敬意を込めつつ。

ご覧頂きありがとうございました。


↓前回までのポスターはこちら。



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