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日本での月経周期追跡アプリを利用したmRNA based COVID-19ワクチン接種後の生理の異常の検討

日本において、2021年4月から、mRNA based COVID-19ワクチン[BNT162b2 (Pfizer/BioNTech) and mRNA-1273 (Moderna)]接種が開始して以降、不正出血、月経痛や生理不順を主訴として受診する方が増えてきました。

既に、諸外国では、mRNA based COVID-19ワクチンの副反応の1つとして生理の異常(月経不順や不正出血など)が、報告されている。1しかし、日本において、現在までにmRNA based COVID-19ワクチン接種と月経の異常について調査した研究報告はない。そのため、mRNA based COVID-19ワクチン接種された全女性のどれくらいの頻度で、生理の異常が生じるのか、生理の異常の期間、さらに、どのような女性に生理異常が生じやすいのか、は明らかにされていません。そこで、私達の臨床研究では、女性ヘルスケアに関わるビッグデータ活用の知見を有するエムティーアイが開発した月経周期追跡アプリを利用して、mRNA based COVID-19ワクチン接種後の生理の異常の詳細が検討された。月経周期追跡アプリは、リアルタイムで生理に関するデータを収集することが出来て、さらに、本臨床研究の被験者が、周期の変化を正確に報告することが可能である。

アプリのデータを用いた臨床研究では、生理周期中にmRNA based COVID-19ワクチンを1回接種された女性では、次の生理が約半日遅れることが明らかにされた。さらに、同じ生理期間内にmRNA based COVID-19ワクチンを2回接種された女性では、次の生理が約3日遅れることが明らかになった。重要なポイントとして、1生理周期内にmRNA based COVID-19ワクチンを2回目を接種された女性でも、2生理周期以内に生理時期が正常に戻ることが明らかとされた。

さらに、mRNA based COVID-19ワクチンの接種後、全被験者の約4%の人が、通常より生理が酷くなるが、次の生理周期では、正常の生理になることが認められた。つまり、mRNA based COVID-19ワクチンの接種によって、生理の周期が一時的に不順になることが明らかとされた。

現在まで、mRNA based COVID-19ワクチンの接種がどのようなメカニズムで生理の異常を起こすのかは明らかにされていない。仮説として、mRNA based COVID-19ワクチンの接種が子宮内膜組織の修復を助ける免疫細胞への影響することが考えられている。高齢者では、mRNA based COVID-19ワクチンの接種により、子宮内膜組織の修復が遅くなるため、通常より重篤な生理が起こりやすいと考えられている。mRNA based COVID-19ワクチンの接種後の生理の異常を詳細に解析するため、更なる臨床研究が行わなければならない。

I do not have potential conflicts of interest.

Published in JAMA on May 26, 2023 by Kyoto@takumaH

がん医療専門ドクター・新興感染症専門ドクター


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