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【まんがと図解でわかる統計学】統計学の超入門編、だけど…

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆

〜レベル的には統計学の超入門〜

統計学はちょこちょこ勉強しており入門レベルはちゃんと理解している、という人にとっては物足りない1冊である。
僕は正直物足りなかった。

まぁ統計学の手法を解説するというよりかは、「統計学って何やってるの?」というのをイメージでつかむことを目的としているような印象。

そういう意味では、レベル的には超入門編と言え、はじめて統計学の本を手にとる人にとっては良いだろうと思う。


〜入門書はいろいろ読んだ方がいい〜

とはいえ、僕も本書で得るものが全く無かったわけではない。
どんな分野においても入門書というのは非常に有益である。

みなさんも、同じ話を別の人から聞いたら理解出来た、という経験はあるだろう。入門書にも同じような効果があると思う。
他の本でわかったような気になっていたことが、別の本の説明でクリアになることは往々にしてある。
基礎の基礎から解説してくれる入門書は、勉強中であればいつ読み返しても必ず得るものがある。

僕にとっては、本書も例外ではなく、正規分布やt分布、カイ2乗分布に関する統計学で多様される代表的な分布についての理解は少し進んだ。


〜僕の好みの問題ですが…〜

ここからは、僕の個人的な好みの問題ですが…
僕はこの著者があんまり好きではないと思う。

というのも、僕がこれまで読んだ統計学の本には、いずれも「分析結果をどう解釈すべきか」という注意点が書かれている。
代表的なのは「相関関係」に関する話だ。2つのデータに相関関係(どちらか一方が増える時にはもう一方が増えるまたは減る関係)か見られたとしても、その因果関係については不明なのだ、という話。
例えば、ある地域において、男性の人口が増えるとその地域でのスーツの総売上も増える、という相関が得られたとしよう。しかし、それはあくまで相関があることを示しているだけで、因果関係までは説明できていないのだ。要するに「男性の人口が増えたからスーツの売上が増えた」のか「スーツをたくさん売ってる地域だから男性の人口が増えた」のかはわからないのだ。因果関係には向きがあるのである。

このように、たいていの統計学の本には得られた分析結果に対する注意をうながしているのだが、本書の著者はあまり気にしていないようだった。
「○○を原因するのは明らかに間違ってますから…」とか「この平均の取り方は明らかに間違ってますから…」なんて具体的なことを平気で書いてしまう。
分析結果をどう解釈するか、も統計学においては重要なはずなのに、この著者はその点をかなり蔑ろにしているように感じた。

というわけで、僕は統計学をはじめて学ぶという人にこの本をオススメしたくない。
イメージで統計学の概要をつかむ、という内容なのに、そのイメージをつかむための中立的な立場が著者の文章からは見えないからだ。

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