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【だれもわかってくれない 傷つかないための心理学】「自分を分かってもらう」は難しい

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜他人に理解してもらうのは難しい〜

生きてる上で1番大きな悩みとなるのが「人間関係」だと思う。
その悩みの発端は「自分のことを他人に理解してもらえない」ということなのではないだろうか。

本書では、内容の大部分を使って「他人があなたを見る目は歪んでいる」ということを教えてくれる。
「だれもわかってくれない」事に悩んでしまう人は、まずこの本で「だれもわかってくれない」事は当たり前のことなんだ、と気づくことが出来るかもしれない。

もちろん、本の終盤には「人から正しく理解されるため」の解決法を示してくれるが、「だれもわかってくれない」事は当たり前のことなんだ、という事実を科学的に示してくれることが救いになる人もいるだろう。


〜人を見るときの歪んだレンズ〜

「自分は人に対して偏見などない」「自分は公平な人間だ」と思っている人でも、他人を見る目は歪んでしまう。
なぜなら、人の脳は生活の中で多くのことを処理しているため、省略出来る処理は省略しようとする働きがあるからなのだ。

特に、人に対する印象は(一人の人間を完璧に理解しようとすると、あまりに多くの処理が脳内で必要となってしまうため)、「その人がどういう人か」という認識のためにレッテルやステレオタイプに当てはめて、処理をショートカットするのである。

さらに、相手に対する見方は様々なレンズを通して歪んでいく。相手が自分の脅威にならないかどうかをチェックする「信用メガネ」、権力などのパワーを持つ人がパワーを持たない人をキチンと認識できなくなる「パワーレンズ」、自分を優位に感じ相手を実際よりも低く見たり視野から締め出してしまう「エゴレンズ」などなど、人は様々なメガネをかけて相手を歪めて見る。

そして、これらは無意識に(本文では「フェーズ1」と呼ばれている)行われているため、かなり意識しないと、常に相手を歪んだレンズを通して見ることとなる。

本書の大半を読めば、「他人に理解されないなんて当たり前じゃん!」と思うに違いない。そして、他人はもちろん、自分も誰かを見るときにこのような無意識のメガネをかけているかもしれない、と気付かされることになるだろう。


〜じゃあ、正しい自分とは?〜

本書を読み終えて「他人に自分を正しく理解してもらうのは困難である」「自分も他人を見る目が歪んでいる」という事はよく分かった。

しかし、そうなると、次の疑問が湧いてきた。
「自分を正しく見てもらう事が難しいのはわかったが、じゃあ、『正しい自分』とは何なのだろう?

人に誤解されている、と感じる事はある。しかし、その誤解された自分が多くの人にとっては「正しい自分」であることもある。
マジメになんでもやっているつもりでも、他人から見ればふざけた人間だと思われていることもある。そうなったとき「マジメにやっている自分」が「自分」なのか、他人の目から見て「ふざけている自分」が「自分」なのか、わからなくなる事もある。自分としては「マジメな自分」を認識してもらいたいが、本当に自分が「マジメな自分」なのか自信がなくなってくる。

「正しく理解された自分」と「こう思われたい自分」とでは何が違うのだろう。

面白い一冊ではあるが、個人的には本書の大筋とは違うところでわからなくなってしまった。
まぁ、自分のことがわからないんだから、誰もわかってくれないのは当然だ。

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