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【スマホ脳】信じるか信じないかはあなた次第

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜スマホは人をバカにするのか?〜

現代では誰もが持っているスマホやiPad。
そのスマホは、どんな情報にも即座にアクセス出来て、SNSで世界中の人と繋がることが出来て、暇な時間にはすぐにエンタメにアクセス出来て、などなど、社会のあり方を大きく変えてしまった。

しかし、何の疑問も持たずにスマホを使っている人とは別に、「スマホが長期的に何か悪い影響を与えていないだろうか?」と不安に思う人もいるだろう。

SNSで現実(リアル)の人間関係が希薄になっているのでは?
スマホが原因で思考力や集中力が低下するのでは?
幼い頃からスマホを使わせると、子どもに何か影響があるのでは?
そもそも、スマホばかり見ていてバカになるのでは?
本書はそんな疑問に真っ向から立ち向かっている。


〜調査・実験から明らかになったスマホの影響〜

本書の大筋はスマホが人間に与える悪影響を訴えるものだ。
しかし、様々な調査からスマホが人に悪影響を与える結果は出ているが、そのメカニズムはわからない、という事例が多く出てくる。
著者も書いているが、調査や実験には企画から結論を出すまで4〜5年かかる。しかし、デジタル化はものすごいスピードで発展しているので、調査・実験が追いついていない、という現実があるのである。
つまりは、今のデジタル社会を調査した結果はおよそ4〜5年後の事になる。そして、その頃にはデジタル社会はさらに様相を変えている。デジタル化の発展に科学は追いついていないのである。

しかし、様々な調査はスマホが人間にとって悪影響である、という結果を示している。
例えば、SNSを頻繁に使う人の方が鬱になりやすい、という調査結果が出ているが、これに対しては「SNSが鬱の原因なのか、鬱になりやすい人がSNSにハマるのか」という事が不明確と言えば不明確である。
また、大学生500人の記憶力と集中力を調査すると、スマホを教室の外に置いた学生の方がポケットにしまった学生よりも良い結果が出た。これに対して「スマホの存在がわずかにでもあれば認知能力の容量が減る」という結論が出せるものの、そのメカニズムについては具体的なことはわかっていない。
実際、スティーブ・ジョブズなどのIT企業のトップはデジタルの悪影響を感覚的にわかっており、子どもにスマホを与えない、という事が様々なインタビューで明らかになっている。

スマホを使うと様々な面で悪影響が出る、という結論が出た調査・実験が本書では数多く示される。具体的なメカニズムこそわからなくても、一通り読めばスマホの影響に恐れを感じる事は間違いないだろう。


〜「スマホやめますか?人間やめますか?」は言い過ぎか?〜

スマホはドラッグだ、というのは流石に言い過ぎかもしれないが、自分の生活を思い浮かべてみるとスマホに依存してる事がよくわかる。

スマホが手元にないとパニックに近い焦りが生まれるし、本や映画に集中していても意識のどこかでスマホの事を考えているし、誰かと会話していても視界にスマホが入ればつい手に取って開いてしまう。

僕らの生活はいつの間にかスマホ無しでは成り立たなくなってしまった、というより、スマホ無しでは普通でいられなくなってしまった。
電車に乗ればみんなスマホを見ているし、レジや窓口でも客は職員の話をろくに聞かずスマホをいじっているし、字も書けず会話もまともに出来なさそうな幼児がスマホをじっと見つめている。
十数年前には考えられなかった光景だ。こんなにもデジタル化は一挙に加速してしまったのだ。そんな急速な発展に人間の進化は本当についていけているのか?

本書を読めば見出しの「スマホやめますか?人間やめますか?」というのが、あながち言い過ぎでもないと思ってもらえるだろう。

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