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【インヴェンション・オブ・サウンド】いわゆる、人を選ぶ作品。僕はハマった。

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜カルト的人気の作家 チャック・パラニューク〜

ミッツィ・アイヴズは音響効果技師だ。彼女が作り出す恐怖の映画音声はまるで本当に人間を拷問しているかのような迫力を持っている。
ゲイツ・フォスターは行方不明になった娘を探す父親だ。手がかりを求めて、ダークウェブをめぐりら、児童ポルノへの憎悪をたぎらせている。
二人の物語が交錯する時、ハリウッドに史上最悪の惨事が訪れる…。

表紙裏のあらすじから引用


あらすじを見れば刺激的なノワール小説のようである。著者のチャック・パラニュークは「ファイト・クラブ」をきっかけにカルト的な人気作家となった人。原作は読んだことはないが、映画の「ファイト・クラブ」はすごく好きである。
パラニューク作品は日本では久しぶりの新刊の邦訳、そして、僕好みのダークさを期待するあらすじ、しかもあの「ファイト・クラブ」の作者。

この作品の存在を知った時には、とにかくすぐに読んでみたくて仕方がなかった。
すぐに購入し、自宅の積み本を無視してさっそく読み始めたわけである。


〜複雑に入り組んだ世界観に魅了される〜

さて、読み終えた直後の率直な感想は、「期待していたような小説ではなかったけど、刺激的で面白かった」である。

ダークなサイコサスペンス、ディープなノワール、そんな小説を期待していた。しかし、かなりダークでディープなのだが、なんとなく幻想小説に近いような気がした。

高速で切り替わる場面転換、繰り返される言葉、現実と虚構と時には妄想が入り組み、時系列も入り組んでいて、自分が今、物語のどこにいて何に向かっているのかがわからなくなってしまう。
読んでる間は物語がよくわからないのだが、本から離れてもふとした時に物語の光景が蘇ってきて、「早く続きを読みたい」と思ってしまう。脳にタトゥーを入れたような中毒性だ。読み終えた後も同じような感覚で「話はよくわかんなかったけど、もう一回読んでみたい」と、時折本棚から出してパラパラと適当なページを目で追うようになってしまった。

こんな感覚になる小説は初めてである。酔っ払って書かれた訳ではないだろうが、そんな風にも思える。緻密に計算されたプロットの基で書かれたものなのだろう、パラニュークという作家は恐ろしい。カルト的な人気を得たのも納得である。
僕は完全に魅了されている。

内容も暴力的な描写が多く、ハマる人はハマるだろうが、受け付けられない人には受け付けられない。
いわゆる、人を選ぶ作品、だろう。
僕はすっかりハマってしまった。今でもこの本を目に見える場所に置いて、たまに見返している。
「この物語は○○だ」と考察するのも無粋な気がして、よくわからないまま何度も読み返しているのが今は楽しい。なんか、危ないハマり方をしているような気がする一作である。

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