見出し画像

【世にも美しき数学者たちの日常】数学が苦手な人へ、そして、数学を諦めた人へ

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜憧れの数学の国の住人たち〜

このnoteにおいて何度かお話したことがあるのだが、僕は大学院生の時に理系をドロップアウトした人間である。

というのも、大学入学まで僕は大の数学好きだった。単純に得意だったというのもあるし、何よりも他の教科と比べて曖昧さや都合の良い例外が無い科目として、数学という世界に誠実さと美しさすら感じていた。

しかし、大学数学のレベルに僕は追いつくことが出来ず、数学で生きる道をやめてしまったのだ。それ以来、あんなに好きだった数学には10年近く触れていない。

本書は、僕が進むことができなかった数学の道を歩み続けた数学者たちのインタビュー集である。

本書でインタビューに答える方々は皆、目に浮かぶように数学の面白さや楽しさを生き生きと語る。かつての僕がたどり着けなかった数学の世界に住んでいる人々の姿を思い浮かべるだけで、羨ましい気持ちになってしまった。


〜数学の世界にもう一度足を踏み入れたい〜

僕が思い描いていた数学のイメージは
「数学は嘘をつかない」
「数学は都合の良く誤魔化したりしない」
「あらゆるものは数学で表現出来る」
「数学は自然科学ではなく人の精神世界で創造された科学だ」
といったところである。

大学入学までは、僕はある意味数学信奉者だったとも言えるだろう。
数学こそが最上の学問で全ての学問を覆っている人の思考の土台・源となっているものだ、と割と本気に考えていた。
(ここまで数学に信奉していた僕が数学をドロップアウトした時の絶望感は、ご理解いただけるだろうか?笑)

流石にここまで言っている数学者は本書にはいらっしゃらなかったが、それでもかつての僕と同じような事を考えている事が非常に嬉しかったのだ。

もう一度数学を手に取ってみようか。
数学者たちの言葉は、数学の楽しみを思い出させてくれて、僕にまた数学と向き合うための勇気をくれた。


〜数学って面白いかも、と思える良書〜

本書は、数学者へのインタビュー集であり、複雑な数式や関数が出てきたりはしない。

本書の著者もそうであるように、数学に苦手意識のある人にこそ「数学の面白さ」「数学のエッセンス」を感じとってもらえるように書かれている。

この本を機に数学を勉強し始める人がいてもおかしくないくらいの良書である。何よりも、「数学」というものの陰気で冷たいイメージをこの本で払拭出来るだろう。

「数学」が身近に感じられて、数学者という人々に親近感が湧くこと間違いなし、である。

この記事が参加している募集

#読書感想文

187,975件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?