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【「静かな人」の戦略書】内向的な性格に悩む人の強い味方になる本

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜まずは自分のタイプを知る〜

突然だが、自分は外向型の人間が内向型の人間かわかるだろうか?
外向型の人はあっという間に友達を作れる。たやすく信頼を勝ち取り、頭の回転も早く、行動も迅速、性格も朗らかで魅力に溢れている。そして、組織の中でもごく自然にリーダーシップを発揮する。
一方、内向型の人は人付き合いが苦手だ。友達も少なく、大人しくて、恥ずかしがり屋。注目を集めるのは苦手だし、新しい環境では緊張で身体が硬くなってしまう。何をするにも優柔不断で、あらゆることが心配になってしまう。

自分がどちらかわからない人は、以下の項目にいくつ当てはまるか確認してみよう。本書を参考にした質問である。

・大勢よりも一対一で話す方が好き
・疲れた時はとにかく家に帰りたい
・早口の人との会話は疲れやすい
・出来るだけ人混みは避けたい
・人混みに長くいると、疲れるだけでなく不愉快にすらなる
・長い会話や騒がしい会話の後は、クタクタになる。
・友人については、数よりも信頼できる友情を重視する
・予想外のことが起きると、とても疲れる
・おとなしい人、退屈な人、壁のある人、あるいは恥ずかしがり屋だと思われている
・観察が好きで、細かい部分を重視する
・物事を決める前には経緯をしっかり把握する
・口実をつけて、イベントや社交の場に出ないことがある
・物事について熱考し、細部まで分析するのが好きだ
・大勢の前での発言は全力で避ける
・人からの期待を大きなストレスに感じる

半分以上(8つ以上)当てはまった人は、内向型寄りの人だと考えられる。本書があなたの強い味方となるだろう。
なお、僕はこれらの項目に12個当てはまった。かなりの内向型人間である。

(もし、もっと自分の性格を知りたいという人は、本書で紹介されていたMBTI《マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標》という性格診断を受けてみよう。検索すればネットで無料診断が可能だ。)


〜外向型の人間になろうとしなくてもいい〜

ちなみに、外向型・内向型のどちらか両端に該当する人はほとんどおらず、大抵の人がその両方の性質を持っていて、どちらかに寄っているというだけである。

僕はかなりの内向型人間であり、割と最近まで苦労していた自負がある。
本書の著者もかなり内向型人間であるそうだが、彼女の実体験の話を読むたびに「ああ、わかるわかる」と共感したものだ。

内向型人間は、とにかく「社会において活発な外向型の人間の方が、スター性があるしリーダーシップをとるのが上手い」という世の中の考え方に悩まされてきた。
そして、自分も「外向型の人間にならなくてはいけない!」という強迫観念に襲われて、無理をしてしまい身体や心に大きなダメージを負う事となる。

しかし、本書のメッセージは、「無理に外向型になろうとせず(「他人」になろうとせず)、内向型の強みを用いて戦略を練れば、内向型の人間でも輝けるし、リーダーシップを発揮することができる」というものなのだ。


〜内向型の強み〜

では、内向型人間の強みとは何なのか?

本書では、内向型人間の強みをいくつも紹介しているが、とりわけ僕の中で強く印象に残ったものをいくつか挙げてみる。

①細かいところまで深く考える

内向型の人は基本的に心配性である。加えて、黙々と集中することが得意である。それゆえに、資料の誤字脱字を見つけたり、誰も気にしていなかったような計画の抜け穴などを見つけるのが非常に得意である。
また、外向型人間の閃いたアイデアに対するクリティカル・シンキング(批判的思考)も得意であり、誰かのアイデアをじっくりと形にするのも得意である。

②しっかりと準備をする

内向型の人は、しっかりと考え抜いたうえでないと発言したり意見を言ったり出来ないため、咄嗟の返答が必要な会議などには不向きだ。しかし、考え抜かれた意見や発言は非常に洗練されたものである。
したがって、会議などにはしっかりと準備をして挑むことだ。
逆に、人前に立つのは苦手な内向型人間でも、プレゼンやスピーチなどの「自分でコントロールできる場」では意外とめっぽう強い事が多い。


③傾聴力が高い

内向型の人は、思慮深く優しく人が多く、相手の気持ちに共感する能力も高い。それゆえ、相手の話をよく聞き理解する傾聴力が優れている。
発言を求められる会議の場では内向型人間は萎縮してしまうが、一対一の対話であれば相手の話をよく聞き理解することが得意であるので、相手からの信頼を得やすい。
どうにか少人数での対話や話し合いに持ち込む事が出来れば、内向型人間の強みを活かす事が出来る。


〜外向型と内向型の良いところを補い合う〜

さて、本書は「内向型人間が戦略的に外向型人間を打ち負かそう!」というような内容では無い。

外向型人間が職場や社会において重要な能力を持っている事に疑問の余地は無いし、著者はその人たちをこき下ろすような事は書いていない。
外向型人間が得意なことを内向型人間が出来ないのと同じように、外向型人間が出来ないことが内向型人間にとって得意なことだ、ということが往々にしてある。

著者は、最後には「外向型と内向型が混じった組織は素晴らしいパフォーマンスを発揮する」としている。
外向型人間は内向型の人が苦手だし、内向型人間は外向型の人が苦手だ、という事はよくある。
しかし、両者が手を取り互いに補い合うチームは成果をあげる、と著者は述べている。

冒頭に、本書は内向型の人にとって強い味方になる本だ、と書いたが、外向型の人にとっても「内向型の人はこんなことが出来るのか」と知れる一冊となるだろう。
そういう意味で、外向型・内向型関係なく読んで意義のある一冊だ。

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