まくら

1995年生まれ。仙台市在住。枯木枕という名前で小説を書いています。第28回ゆきのまち…

まくら

1995年生まれ。仙台市在住。枯木枕という名前で小説を書いています。第28回ゆきのまち幻想文学賞入選。第2回かぐやSFコンテスト読者賞。 Twitter;https://twitter.com/takojizoo mail;takojizoo108@gmail.com

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  • 小説

    小説とかです。

  • 偽・日記

    日記です。偽の場合もあるし、半分偽の場合もあるし、偽じゃないのに偽ということにするために偽ということにした場合もあるかもしれません。うかつに創作物に自己を入れないためのデトックス、みたいなもの。

  • その他

    小説賞の際にこしらえた雑文や、本の感想など。

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プロフィールとか、読めるやつとか

【プロフィール、来歴】なまえ: 枯木枕(かれきまくら) ひととなり: 1995年生まれ。 ひだり肩の関節だけ柔らかい。 やっていること: 小説を書いています。 好きな作家: ドノソ、オコナー、トム・ジョーンズ、サマンタ・シュウェブリン、アンナ・カヴァン、ジーン・リース、韓江、残雪、オルガ・トカルチュク、ミハル・アイヴァス、エメーリャエンコ・モロゾフ、坂口安吾、小川未明、多和田葉子、町屋良平、井戸川射子、佐藤友哉 など 来歴: ■1995年 ・うまれる。 ■2015年

    • つっこんでなかを撫でるね(偽日記 縺薙l縺ッ縺ゥ縺ョ譎らゥコ縺ァ繧りヲ壹∴縺ヲ縺?k縺薙→)

      海中のなかでも波の動きはわかる。無形の手が私のからだを包んでいるような心地。海は触る。私は海の腕をみる。その肩が揺れ、肘まで伝わり、手のひらに、指さきに、波動する力で、私が見た数秒後に私のからだは持ち上げられる、重力をすこしだけ無視して、私の内臓がふわわと体内で踊る。撫でられながら砕けるよう、体内のあちこちに散り積もった埃はバラバラと振り落とされ、海水に溶けていく。もうどこにもない。この時間のあいだはほんとうになにもない。なにもない。私もない。あなたもない。世もない。海面から

      • 人間どもの領土(偽日記80)

        雨の予報だったから期待していたが、晴れやがった。 昼夜逆転して気づいたのだが、本当に眠れないまま無意に過ごしたあとの、朝の光ほど容赦のないものはない。雨の日ならまだマシだろうなとおもっていたのだが天気予報を裏切ってなんとも暴力的な形で陽光がカーテンの隙間からもれてきていた。それなら朝っぱらから外に出てやろうか、とサンダルを履いて少し歩いてコンビニに行った。ビールを二缶買った。外にでたら小雨が降ってきやがった。どこかから舌打ちがきこえた。雨脚はすぐにつよくなった。熱された地面に

        • 流し台の写真(偽日記78)

          さいきん人と話して喜び、飯つくって喜び、風を切って喜び、みたいなのをわりとしっかり矜持でき、寝起きのタイミングとうっすらしている時間の軽さ(朝に寝て、昼に起き、たまに働く)以外は、まあまあ調子がよく、小説だって読めるやつは読める。けっこう私は読めないものは本当に読めない、本当はそういう偏食系なのだが、それもまた体調に左右されがちなので、少なくとも理性でまじで読みたいと肉体でまじで読みたいがある程度は噛み合っていれば必ず読めるようにはなっている。嬉しい。井戸川射子の小説が、さい

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          3本

        記事

          レ/クリエーション(偽日記76)

          晴れていてよかった、とすこし嘘みたいにいったそばから熱気が背骨を撫で、私たちは同じ温度の空気を肺にいれた。深々と、確実に、肺にそれがまわったあと、なごり惜しく吐き出して、あと少ししたらいこう、といったのはもう誰かも覚えていない。急ぎはしないのは、ゆるされていると錯覚できる時間はあたりまえにすぐ終わるので、すぐ終わるからこそ急いで台無しにしたくないからだ、と全員がおもっていた。いま私は、全員が”おもっていた”と書いてしまえる。信じているからではなくて、裏切ってもいいし裏切られて

          レ/クリエーション(偽日記76)

          次の次の次の朝へ(偽日記70)

          あきらかに朝で、痙攣する思考にしじみの味噌汁を注ぎ込んでなんとか自立していられる、無責任さが迸るいまだから日記を書こうとおもった。偽物とめいうっても日記を書くのは難しい。そこで書かれた文章が私に直結しているかのように語る嘘を嘘としない契約を前提として書かれるのが日記であるはずで、そのくせ私は私を書くほど私っぽい飾り立てられた私を生んでしまうのがあまり好きでなく、形式のせいなのか自意識のせいなのかどうなのかもいまだよくわからないままで試走するしかないから書くのは修練的でもダルい

          次の次の次の朝へ(偽日記70)

          「となりあう呼吸」とシェアード・ワールド公募の所感とか感想とか

          経緯 SFメディアVG+のKaguya Planetさんに という小説を書いて、 なる自作のシェアード・ワールド(二次創作/共通世界創作)公募が行われました。 このかなり特殊な依頼が来た際の、承諾までの経緯や私の心境などは誰も興味がないとおもうでひとことで済ましますが、ひたすら「やべ〜」とおもっていました。 せっかくなので色々所感を書いていこうとおもいます。 ※後日編集の井上さん・岡野さんと振り返り配信を行うので、全体的に簡単に書きます。詳しくは配信をきいてくれると良!

          「となりあう呼吸」とシェアード・ワールド公募の所感とか感想とか

          または最後の楽器について(偽日記57)

          生活のこと。仙台の春はすこし遅れてくる、とおもうのは、そうじゃない春を知っているからで、去年のいまごろ私は京都にいた。そのときはなにかを終えて、なにかを始めると決めたときで、そのなにかがなにだったかはもう思い出せないくらい遠く、もしいまの春と去年の春が重なったら、私と私のそれぞれはみでた輪郭の、違いのぶんだけ記憶もずれていく。散歩ばかりしている。あるいているとくちびるに触れる空気が、空気のなかに保存された暖気が嬉しい。 数日まえに「ダンサーインザダーク」を映画館でみた。もう

          または最後の楽器について(偽日記57)

          どうでもいい音楽(偽日記52)

          わりかし簡単な手続きでエモくなって、乱暴な情緒で踊りだしかねない邪悪の人間なので、好きな曲こそあまり容易にきくことができず、だからしょうじきどうでもいい音楽をきくことのほうがおおい。なんかのアニメ曲(ゲーム?)のカバー(歌ってみた?)とかlofi-hiphopの曲名もわからないまま纏まった動画とか好きでない作曲家のクラッシックのまとめアルバムとか下手くそな素人のジャムセッションとかもしくはほんとうに唾を吐いてもゆるされそうな悲惨なjpop(つまりjpopですらない)とか……で

          どうでもいい音楽(偽日記52)

          それなら幽霊の練習(偽日記44)

          散歩をする。 なんとなくドライマンゴーをコンビニで買い、公園でたべた。 ちょうどいい歯応えがくちのなかで甘く壊れていく。ざらつかないなめらかな果肉で、ファミマのマンゴーはいつもすばらしかった。 それだけで1日が終わりうる。 とくだん生活が生活の様相を示さない時間がいまで、時間への扱いの荒さがあらわれている生活リズムは、よくないことはわかりつつ、なかなか矯正できない怠慢に甘えつつさいなまれている。 ふと小説を書くのをやめようか、とおもう。 理由もなく。 こうしたなにかを切除して

          それなら幽霊の練習(偽日記44)

          眠気で踏む空気(偽日記32)

          文フリにいった。 人がたくさんだった。 それ以外のすべてを、「文フリにいった。」と「人がたくさんだった。」の間に押し込めてしまう自由がここではあるし、基本的に行使するけれど、でも、ぼんやりと像が結べそうで結びたいが結べないひとたちに予想外に会えてよかったし、あたらしく視界に飛び込んできたひとも像が強くてよかった。私は基本は箱男でいようかな、とおもっていたけど、徹底しないと無理だ(と学んだ)し、ダンボールを被らないほうがいい場合のほうが多いのかもしれなかった。どちらでもいいのか

          眠気で踏む空気(偽日記32)

          記憶の編集法(偽日記 縺ゥ縺ョ譎らゥコ縺ォ繧ゅリ繝ウ繝舌Μ繝ウ繧ー縺ォ繧ょア槭&縺ェ縺)

          私は生きている。 上記の「私は生きている。」と書かれた文章は、嘘ではなく、虚偽ではなく、偽物の日記のなかで唯一正しい記述。 偽物であると、すべてが偽である可能性を孕むと申告されたテキスト内で、正しいと表明された記述。 現実であると担保された文章。 例外的にフィクションの手から免れようとしてる。 しかし、この表明でさえフィクションの手から逃れられないのだから、 偽物の日記という空間内で正しいことを述べるのは不可能であり、 偽物を書くと、虚偽を行うと宣言した瞬間から、私はあなたに

          記憶の編集法(偽日記 縺ゥ縺ョ譎らゥコ縺ォ繧ゅリ繝ウ繝舌Μ繝ウ繧ー縺ォ繧ょア槭&縺ェ縺)

          みえない臓器になる(偽日記25)

          深夜にカップラーメンを食べた。ゆず塩味。寝る前に、ああきょうなにも食べてないと気づいて、そうおもうと、なんだか妙に腹が減って、いろんな欲望がきゅうに立体的になって、磨りガラスみたいだった視界が短期的にぴんと澄みわたり、だから、からだを起こしてコンビニで買ってきて食べた。太るかも、とおもいながら啜る。深夜にカップラーメンなんて、いつぶりなんだろう。太ってみようか、とおもう。太ってみたらいい。じぶんの骨のかたちが、芯のようなものが、ぼやけてわからなくなるまで太ってみたらいい。いま

          みえない臓器になる(偽日記25)

          部屋のくらがりがキーパーグローブを嵌めて(偽日記23)

          なんか小説の賞とった、友達のLINEでいうと、じゃあドンキと万代いくか、とかえってきて、いくいくとなって乗り込む。全体が灰皿みたいな車。ぐるぐるだ、とおもう。景色。書く気にもならない景色。口笛がきこえる。友達は口笛がうまい。とてもうまいので不快にならない。「WTAPSの秋服が欲しい、スウェット」といわれる。へえ、という。私は馬鹿なので、スウェットにロゴだけ入っている数万の服の意味がよくわからない。よくわからないので、なんか手のこんでそうなそうな服ばかり買ってしまう。百虎が次出

          部屋のくらがりがキーパーグローブを嵌めて(偽日記23)

          第二回かぐやSFコンテストの所感とか

          以下文は、いちおう、作者名と結果発表前に書いています。 私はふつうにどうかしているので、一万文字程度あります。 どうかしている方は、どうかお付き合いください。 ----------------------------------------------------------------------------- 「まえがき」「かぐやSFコンテスト」(https://virtualgorillaplus.com/kaguya-sf-contest/2nd-kaguya-s

          第二回かぐやSFコンテストの所感とか

          歯を光らせて、厳粛かつ潔く涎を垂らして(偽•日記21)

          繁華街にいた。午前1時とかだった。腹の中ではキムチ鍋がやさしく蠢いていた。私は平置きのコインパーキングで時間を潰していた。すこしばかり、人を待っていなければならなかったのだ。タバコも吸い飽き、もってきた文庫本も読み終わってしまい、繁華街を散歩することにした。通りはさすがにコロナ前と比べると閑散とはしていたが、まあそれでもまだ人通りがあった。活気はないが。光が少ない。欲望たぎらせて歩む悪そうな大人がいない。暇そうなキャッチと、おのれの寿命が尽きかけていることをよく知っている若者

          歯を光らせて、厳粛かつ潔く涎を垂らして(偽•日記21)