記事一覧
つっこんでなかを撫でるね(偽日記 縺薙l縺ッ縺ゥ縺ョ譎らゥコ縺ァ繧りヲ壹∴縺ヲ縺?k縺薙→)
海中のなかでも波の動きはわかる。無形の手が私のからだを包んでいるような心地。海は触る。私は海の腕をみる。その肩が揺れ、肘まで伝わり、手のひらに、指さきに、波動する力で、私が見た数秒後に私のからだは持ち上げられる、重力をすこしだけ無視して、私の内臓がふわわと体内で踊る。撫でられながら砕けるよう、体内のあちこちに散り積もった埃はバラバラと振り落とされ、海水に溶けていく。もうどこにもない。この時間のあい
もっとみる人間どもの領土(偽日記80)
雨の予報だったから期待していたが、晴れやがった。
昼夜逆転して気づいたのだが、本当に眠れないまま無意に過ごしたあとの、朝の光ほど容赦のないものはない。雨の日ならまだマシだろうなとおもっていたのだが天気予報を裏切ってなんとも暴力的な形で陽光がカーテンの隙間からもれてきていた。それなら朝っぱらから外に出てやろうか、とサンダルを履いて少し歩いてコンビニに行った。ビールを二缶買った。外にでたら小雨が降って
流し台の写真(偽日記78)
さいきん人と話して喜び、飯つくって喜び、風を切って喜び、みたいなのをわりとしっかり矜持でき、寝起きのタイミングとうっすらしている時間の軽さ(朝に寝て、昼に起き、たまに働く)以外は、まあまあ調子がよく、小説だって読めるやつは読める。けっこう私は読めないものは本当に読めない、本当はそういう偏食系なのだが、それもまた体調に左右されがちなので、少なくとも理性でまじで読みたいと肉体でまじで読みたいがある程度
もっとみるレ/クリエーション(偽日記76)
晴れていてよかった、とすこし嘘みたいにいったそばから熱気が背骨を撫で、私たちは同じ温度の空気を肺にいれた。深々と、確実に、肺にそれがまわったあと、なごり惜しく吐き出して、あと少ししたらいこう、といったのはもう誰かも覚えていない。急ぎはしないのは、ゆるされていると錯覚できる時間はあたりまえにすぐ終わるので、すぐ終わるからこそ急いで台無しにしたくないからだ、と全員がおもっていた。いま私は、全員が”おも
もっとみる次の次の次の朝へ(偽日記70)
あきらかに朝で、痙攣する思考にしじみの味噌汁を注ぎ込んでなんとか自立していられる、無責任さが迸るいまだから日記を書こうとおもった。偽物とめいうっても日記を書くのは難しい。そこで書かれた文章が私に直結しているかのように語る嘘を嘘としない契約を前提として書かれるのが日記であるはずで、そのくせ私は私を書くほど私っぽい飾り立てられた私を生んでしまうのがあまり好きでなく、形式のせいなのか自意識のせいなのかど
もっとみる「となりあう呼吸」とシェアード・ワールド公募の所感とか感想とか
経緯
SFメディアVG+のKaguya Planetさんに
という小説を書いて、
なる自作のシェアード・ワールド(二次創作/共通世界創作)公募が行われました。
このかなり特殊な依頼が来た際の、承諾までの経緯や私の心境などは誰も興味がないとおもうでひとことで済ましますが、ひたすら「やべ〜」とおもっていました。
せっかくなので色々所感を書いていこうとおもいます。
※後日編集の井上さん・岡野さんと
眠気で踏む空気(偽日記32)
文フリにいった。
人がたくさんだった。
それ以外のすべてを、「文フリにいった。」と「人がたくさんだった。」の間に押し込めてしまう自由がここではあるし、基本的に行使するけれど、でも、ぼんやりと像が結べそうで結びたいが結べないひとたちに予想外に会えてよかったし、あたらしく視界に飛び込んできたひとも像が強くてよかった。私は基本は箱男でいようかな、とおもっていたけど、徹底しないと無理だ(と学んだ)し、ダン
記憶の編集法(偽日記 縺ゥ縺ョ譎らゥコ縺ォ繧ゅリ繝ウ繝舌Μ繝ウ繧ー縺ォ繧ょア槭&縺ェ縺)
私は生きている。
上記の「私は生きている。」と書かれた文章は、嘘ではなく、虚偽ではなく、偽物の日記のなかで唯一正しい記述。
偽物であると、すべてが偽である可能性を孕むと申告されたテキスト内で、正しいと表明された記述。
現実であると担保された文章。
例外的にフィクションの手から免れようとしてる。
しかし、この表明でさえフィクションの手から逃れられないのだから、
偽物の日記という空間内で正しいことを述
第二回かぐやSFコンテストの所感とか
以下文は、いちおう、作者名と結果発表前に書いています。
私はふつうにどうかしているので、一万文字程度あります。
どうかしている方は、どうかお付き合いください。
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「まえがき」「かぐやSFコンテスト」(https://virtualgorill
歯を光らせて、厳粛かつ潔く涎を垂らして(偽•日記21)
繁華街にいた。午前1時とかだった。腹の中ではキムチ鍋がやさしく蠢いていた。私は平置きのコインパーキングで時間を潰していた。すこしばかり、人を待っていなければならなかったのだ。タバコも吸い飽き、もってきた文庫本も読み終わってしまい、繁華街を散歩することにした。通りはさすがにコロナ前と比べると閑散とはしていたが、まあそれでもまだ人通りがあった。活気はないが。光が少ない。欲望たぎらせて歩む悪そうな大人が
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