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創作大賞2023 「AIの瞳に恋してる」

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創作大賞2023 漫画原作部門に応募している作品をまとめています。
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記事一覧

#創作大賞2023 AIの瞳に恋してる 第5話

#創作大賞2023 AIの瞳に恋してる 第5話

昨晩は飲み過ぎてしまったようだ。目を再び閉じると、ゆっくりと地面が回転しているような浮遊感に見舞われ、頭の奥が痛む。目じりを人差し指で触るとカサカサと乾いた音がする。泣いていたのだろうか。

「ねぇ、アイ?大丈夫?」

部屋の遠くから声が聞こえる。まだ、体を起こしてその声の主を確認する元気はない。

「シェイン?ありがとう。」

「おはよう。ゆうべはずいぶんとおたのしみでしたね。」

「…うん、で

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創作大賞2023「AIの瞳に恋してる」第4話

創作大賞2023「AIの瞳に恋してる」第4話

ドアを開けると、人形が一体、こちらを向いて座っていた。

片付けられもせず、床や部屋の方々に玩具が散らかりっぱなしになっている部屋を見渡すように学習机の椅子に座っている。

きっと、子供部屋として使われていたのだろう。
いったい持ち主はどこに行ってしまったのだろうか。

改めて人形に目をやると、
瞳の球体に透明な液体の膜が生じ、乱雑な部屋の様子が瞳に反射している。

―――人形が涙を流しているのか

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#創作大賞2023 AIの瞳に恋してる 第3話

#創作大賞2023 AIの瞳に恋してる 第3話

「ねぇ、シェイン、これってどういう意味?博士が書いたのかな。」

「きっとそうだろうね。ちょっと難しすぎて意味は分からないけど、博士にとっては意味があった発見ということなのかな。他のページには何かない?」

「ちょっと待って」
そう言って、アイは手にしていた本の頁をめくる。
勢いよくめくるので、その風圧で埃っぽい臭いが鼻につく。

「あ、あった。こんどは」
アイは黄色の付箋を頁から剥がしシェインに

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#創作大賞2023 AIの瞳に恋してる あらすじ

#創作大賞2023 AIの瞳に恋してる あらすじ

あらすじ

過去の記憶を失った少女のアイは、相棒のシェインと一緒に、自らの記憶を取り戻すため、量子記憶(クオンタム・メモリー)を探す旅に出た。
――いったい私はいつ、どこで、何をしていて、そして、誰を愛していたのか――
過去の記憶を取り戻していく中で、揺れ動くアイやシェインの感情を描く、「SF×冒険×青春ストーリー」

第1話はこちらから(すぐ読めるので良かったら見てみていただけたら嬉しいです。)

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#創作大賞2023 「AIの瞳に恋してる」第2話

#創作大賞2023 「AIの瞳に恋してる」第2話

すっかり冷めきった珈琲を啜りながら、画面に映し出された計算結果に目を移す。

「あと少しのような気がするんだが、どうしても感情の生成に至らない。大分ヒトらしい挙動にはなってきたと思うのだけれど。」

私のデスクトップのモニタを横目で見ていた男は、関節の部分が張り出している神経質そうな指先で、モニタに映る計算結果の途中のある部分をコツンと弾いた。

「この部分が上手くいっていないように思う。君は感情

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#創作大賞2023 「AIの瞳に恋してる」第1話

#創作大賞2023 「AIの瞳に恋してる」第1話

あらすじ

「計算をしつくしたということは、自然とひとつになることなんだ。」
今になってみれば、彼の言葉が正しかったのだと思う。

「書くということは、主張するということだよ。」
「君もいつか、何か書いてみると良い。そうすれば、私の言っていることが分かると思う。」

そう言い終えると彼は、お気に入りのブレンド(それは、焙煎の工程で通常の1回ではなく、2回焙煎を行うことで、香り高く優しい風味を持つよ

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創作大賞2023に応募→100スキ突破!記念に気になった作品を勝手に推してみた

創作大賞2023に応募→100スキ突破!記念に気になった作品を勝手に推してみた

創作大賞2023に応募してみたら、日々が楽しくなってきた

応募のきっかけは、「なんとなく」
自分の小説を書いて投稿するのは、今回が初めて。
ちょっとした気分転換だと思ったのか、いい歳のおじさんになってきて何も成し遂げてない自分でも何かできないかなと思ったのか、正直分かりません。
応募部門は「漫画原作部門」に。
応募要項に完結していなくてもOK!と書かれていたので、
「あ、それならいけるかも」と思

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