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【読書感想】東山彰良『流』

2018/11/29 読了。

東山彰良『流』

台湾育ちの17歳、葉秋生が主人公。地の文は、大人になった秋生の語りで、そこが後々効いてくる。とにかくクッソ面白かった。

東山彰良さんの『イッツ・オンリー・ロックンロール』はここ数年読んだ本の中で一番好き。暴力と情けが混沌としていて、でも物語は破綻していなくて笑えて泣ける。『流』はそこに民族としてのアイデンティティやアイロニーが加わってすごく広かった。視野はぐっと広がるんだけど、ちゃんと個人としての狭さもあって、そこがたまらん好き。

東山さんの言葉の選びがとにかく最高で、なんでこの文章と文章の間にこの文章入れて構成が崩れないんだろうと感動しながら笑ったな。ファイヤーバードとベンツの戦いのとこが一番笑った。思い出しても笑えてくる。

とはいえ、面白いだけではなく、可笑しさと同等以上に侘しさもある。その混沌具合が絶妙なんだよなぁ。

これは変な言い方かもしれないんだけど、私は日本人で日本人として『流』を読んだので、蚊帳の外感があるというか、よく分からないところもたくさんあった。でも俯瞰から読めるから余計に家族や血の繋がりを尊ぶ民族に憧憬を抱いた。厳密には日本も関わっているんだけれど、私はその頃の日本軍の動きがよく分からないし、あんまり分かろうと言う気がないんです、すみません。だからこそ、葉秋生に憧れるのかもしれないな。魂の熱さに憧れる。

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