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映画解釈・考察

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#不条理

【映画解釈/考察】『寝ても覚めても』/『ドライブ・マイ・カー』「不条理な世界の存在として、それでも言葉の世界で生きようとする者たち」

【映画解釈/考察】『寝ても覚めても』/『ドライブ・マイ・カー』「不条理な世界の存在として、それでも言葉の世界で生きようとする者たち」

『寝ても覚めても』(2018)濱口竜介監督
『ドライブ・マイ・カー』(2021)濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』を扱った以前の記事で、『ドライブ・マイ・カー』は、不条理な世界を認めざるを得ない一方で、それでも言葉による新たな物語を創出して生きていく人々を描いた物語であるという解釈をしました。

 そして、『ドライブ・マイ・カー』を見た後、再度、『寝ても覚めても』を見返してみると、非常に多くの共

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【映画解釈/考察】『ドライブ・マイ・カー』『ロスト・ドーター』「不条理演劇と記号的他者を通した物語的自己同一性による癒し」

【映画解釈/考察】『ドライブ・マイ・カー』『ロスト・ドーター』「不条理演劇と記号的他者を通した物語的自己同一性による癒し」

『ロスト・ドーター』(2021)マギー・ギレンホール監督
『ドライブ・マイ・カー』(2021)濱口竜介監督


今回は、アカデミー賞2022脚色賞にノミネートされた2作品について考察を行います。

1 不条理演劇と実存主義『ロスト・ドーター』は、エスリンの不条理演劇の言葉がはっきりと映画の中に出てきますが、『ロスト・ドーター』のストーリーの構成自体が、不条理演劇そのものになっています。突然安ら

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