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映画解釈・考察

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【映画解釈/考察】スティーブン・ソダーバーグ監督『セックスと嘘とビデオテープ』「女の虚像に囚われた男と、視線の反転による開放」

【映画解釈/考察】スティーブン・ソダーバーグ監督『セックスと嘘とビデオテープ』「女の虚像に囚われた男と、視線の反転による開放」

『セックスと嘘とビデオテープ』(1989)

1.スティーブン・ソダーバーグ監督の映画作家としての凄み スティーブン・ソダーバーグ監督の長編映画デビュー作にしてカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作でもある『セックスと嘘とビデオテープ』は、刺激的で挑発的なタイトルとは対照的に、男女関係を哲学的に捉えた、論理的なストーリーが展開されるプラトニックで、精神分析的な作品です。

 そして、この作品だけで、

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【映画解釈/考察】『ブラック・スワン』(2010)「ダーレン・アロノフスキー監督の方程式」(『π』『マザー!』との共通点)

【映画解釈/考察】『ブラック・スワン』(2010)「ダーレン・アロノフスキー監督の方程式」(『π』『マザー!』との共通点)

『ブラック・スワン』(2010)
『π』(1998)
『マザー!』(2017)
『ブラック・スワン』は、ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞の『レスラー』(2008)に続くダーレン・アロノフスキー監督作として2010年(日本では、2011年)に公開された作品です。ナタリー・ポートマンが、本作で、アカデミー主演女優賞を獲得しています。

 また、『π』や『レクイエム・フォー・ドリーム』から続くダーレン・

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【映画解釈/考察】『幸福なラザロ』/『夏をゆく人々』「イタリア人女性監督アリーチェ・ロルヴァケルと現代社会(狼)と失われつつある世界(羊)の間に漂う映像美」

【映画解釈/考察】『幸福なラザロ』/『夏をゆく人々』「イタリア人女性監督アリーチェ・ロルヴァケルと現代社会(狼)と失われつつある世界(羊)の間に漂う映像美」

『幸福なラザロ』 (2018)『夏をゆく人々』 (2014) アリーチェ・ロルヴァケル監督
『幸福なラザロ』は、『夏をゆく人々』のアリーチェ・ロルヴァケル監督の実在の事件をモチーフにした2018年のイタリア映画です。ロルヴァケル監督が、本作でも、脚本を書いており、カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞しています。

『幸福なラザロ』でも、姉で、今のイタリアを代表する女優の一人であるアルバ・ロルヴァケ

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