📖気た・見た・つかった【報告27】📖　まいに知・あらび基・おもいつ記（2024年3月19日）

（東南アジアで生活していて、「気（になっ）た」「見た」「『つ』かった」外国語について、カエサルの有名な報告に「劣るとも勝らない」レポートをしていきます）

【記事累積：1979本目、連続投稿：912日目】
＜探究対象…言語、表示、思い込み＞

今日の言葉は、「ຄໍາເຕືອນ」です。この文字は、家からNAGAパクソンやビエンチャンセンターに向かうときにショートカットで通る脇道で見かける表示です。さてこの文字は一体どのような意味を持っているのでしょうか。

この脇道を通るときいつも目にしていながら、何となく気にはなっていたものの、今度調べてみようかなと思うだけで、問題を先送りしていました。しかしそうやって後回しにしていると、結局行動に移さないまま終わってしまいそうなので、一念発起（大げさですが）して調べてみることにしました。

この表示の真ん中には大きめの文字で「SANG-A ZONE」と書かれています。ZONEは「区域」などの意味だとすぐ分かりましたが、「SANG-A」はよく分かりませんでした。そして、それらの文字の下には今日の言葉の「ຄໍາເຕືອນ」があります。

ここを通りかかるとき、私は真ん中の「SANG-A」の途中にある「－（ハイフン）」を気にせずに「サンガ」と発音できるなあと思っていました。そしてその音とラオスという国の特徴を強引に結びつけて勝手に納得していたのでした。ラオスは上座部仏教がさかんな国です。そして仏教用語の一つとしてカタカナ表記すると「サンガ」という音になる言葉を高校倫理の授業で扱ったことがあった私は、この表示が仏教用語の「サンガ」を示しているのではないかと思い込んでしまっていたのです。

この「サンガ」というのは、もともとは集団とか共同体という意味を持つ言葉で、仏教では修行者の集まりとして使われます。そしてラオスは至る所に仏教寺院があり、上座部仏教を信仰するラオスの人々は修行に打ち込んでいる僧侶を敬いながら生活をしています。そのため、この「SANG-A ZONE」というのは、そのような仏教の修行者の活動に関わる区域なのではないかと勝手な解釈をしてしまったのです。

これが勝手な解釈と分かったのは、今日の言葉である「ຄໍາເຕືອນ」がラオ語で何を表しているか調べる前段階として、この「サンガ」について改めて確認をしたところ、この言葉のアルファベット表記は「SANG-A」ではなく「saṃgha」だったからです。そしてこの「SANG-A」は、検索してみると韓国系の企業の名称として使われていることが多く、ラオスに多くの韓国資本が進出していることを考えると、仏教用語の「サンガ」とは無関係で、おそらく韓国系企業に関わるものと考えられます。確かに表示の上の方にはハングルも書かれているので、その可能性が高いと思われます。

では下の方の「ຄໍາເຕືອນ」というラオ語はどんな意味なのでしょうか。翻訳サイトで、文字を打ち込んでみると途中の「ຄໍາເ」で「言葉」という日本語訳が検出されました。そして後ろ側の「ຕືອນ」まで打ち込むと「警告」という日本語訳になりました。ただこの言葉を色々途中で分けてみましたが「ຄໍາ」だと「金」という日本語が出てきたりしましたが、「ເຕືອນ」や「ຕືອນ」の部分は一貫して「警告」という意味でした。

これらを踏まえると「ຄໍາເຕືອນ」という言葉は、カタカナ表記で「カムトゥアン」という音になることが分かりました。色々なサイトで「ຄໍາ」の意味を確認すると、確かに「金（GOLD）」という意味もありますが、他には「単語」や「口」という意味を持っていることも分かりました。そして「ຄໍາເຕືອນ」という言葉は「警告」という意味だったのです。

結局、この表示は私の最初の思い込みのような仏教関係の区域に関わるものではありませんでした。しかし仏教関係の厳かな空間ではないとしても、私的な空間として勝手に立ち入ってはいけない場所のため、警告表示があるのだと思います。それにしても、思い込みというのは恐ろしいですね。一度思い込むと、それを前提に推論が勝手に進んでいき、もっともらしい結論に達してしまう典型例でした。デカルトが、演繹法の展開において、確実な真理から推論を始めなければならないことにこだわったのも頷けます。

なおラオ語の「ຄໍາເຕືອນ（カムトゥアン）」は、タイ語では「คำเตือน（カムトゥアン）」になります。

#この街がすき 　 #旅のフォトアルバム
#ラオス 　 #ビエンチャン
#探究 　 #探究学習