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❖ビエンチャンを見てんじゃん(72)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2023年9月21日)

【記事累積:1734本目、連続投稿:732日目】
<探究対象…ラオス、ビエンチャン、文房具、デザイン、差別化>

♪サバイディー(ສະບາຍດີ、こんにちは)
去年と今年は授業のとき、板書を行う場所は黒板ではありません。ホワイトボードです。教員ごとの好みもあるとは思いますが、チョークは書きやすいメーカーのものと書きにくいメーカーのものがあるのと同様に、マーカーについても同じ状況があります。【情報の収集】

去年のタイではそこまでマーカーについて気になることはなかったのですが、ラオスではそもそも安定して字を書き続けられるマーカーを探すのが一苦労です。ペン先がすぐにつぶれて細い字が書きにくくなるものもあれば、すぐに乾いてしまい色が薄くなるものもあります。どんな保存状態なのか謎ですが、ビニールに包まれていてまだ一度も使われたことがないものにも関わらず、書いてみると乾ききっていて全く字が書けないものもあり、マーカー選びはいつもギャンブル感覚です。【情報の収集】

悩みはそれだけではありません。色がしっかり出て、ペン先も固いからといって安心してはならないのです。授業が終わった後、字を消そうとするとホワイトボードマーカ―のはずなのに、こびりついてなかなか消えないタイプもあるのです。消えにくいのはまだ良い方で、なぜか粘り気があって、消していると薄く広がっていき、ホワイトボードが黒っぽくなったり赤っぽくなったりする厄介者もあります。【情報の収集】

そんな中、色にしても、ペン先の固さにしても、消えやすさにしてもバランスが良いと思われるものを何とか発見できました。しかしそんなマーカーにも気になる点があったのです。それはマーカーの品質とは全く無関係ではありますが、書かれている文字を見たときの違和感でした。【課題の設定】

ペンに書いてある文字を見ると「HITE BOARD marker」。英語圏ではない場所で製造されてスペルを間違えているのではと最初は思っていました。シンガポールやタイに住んでいたときも、日本製の商品かと思ったら別の国で作られたもので、日本語の表記がちょっと変なものと出会った経験はあるので、これも同じようなミスだろうと思っていたのです。【情報の収集】

しかし文字をよく見てみると、「H」の左隣に変わったデザインがあります。見方によっては「W」を横に倒したようにも見えます。同じように「marker」の「k」も周囲のラインとつながったデザインになっています。おそらく文字に変化を加えてデザインっぽくした結果、「W」については分かりにくくなってしまったのではないでしょうか。【整理・分析】

文字は本来、書かれているメッセージを他者に分かりやすく伝えるための道具なので、メールや手紙などで自分の考えを伝える場合ならば、そのままの文字で十分だと思います。しかしホワイトボードマーカ―に書かれている文字は、単にこれがホワイトボードマーカ―であることが分かれば、それで十分に役割を果たしたことになりません。ホワイトボードマーカ―は商品なので、その商品が「何であるか」と伝えると同時に、その商品を「買いたい」と思わせる工夫が求められます。そこで消費者の目を引くような色使いやデザインが必要になります。【整理・分析】

しかしマーカーの表面積はそれほど広くはなく、文字とは別にマークやイラストをたくさん描こうとすると、文字を小さくせざるを得なくなります。すると、文字として伝えようとしていたメッセージが受けとりにくくなるので、「目を引く工夫」と「文字の大きさの維持」を両立させるために、文字のデザイン化を選んだと考えられます。【整理・分析】

そのアイデア自体は悪いものではないのですが、文字としての伝わりやすさは、シンプルな方が適切です。それに対して、デザインは手を加えれば加えるほどに特徴的になります。もちろんシンプルであっても特徴的なデザインがないわけではありませんが、シンプルだとパターンが限られてしまうので、差別化が難しくなります。そのため文字とデザインという2つの表現方法を同居させることは決して簡単なことではありません。つまりここには「伝わりやすさと差別化のバランス」という難しさがあるわけです。【整理・分析】

このマーカーの文字は、アルファベットの形や方向に必要以上の手を加えてしまったため、結果として、文字としての分かりやすさが失われてしまったのです。これは「過ぎたるは猶及ばざるが如し」とか「蛇足」という言葉が当てはまる事例だと思います。スペースがもっと広ければ、他にも色々な工夫ができたと思いますが、限られた空間内で多くの目的を達成しようとするのは難しいということですね。しかも、文字の分かりやすさを犠牲にしているわりには、そこまで目を引くデザインの工夫にもなっているとはいえないので、これは「共倒れ」と言えます。どうせ文字が分かりにくくなるのなら、中世の書物のように、文字を絵画の一部と見立てて遊び倒してしまった方が良かったのではないでしょうか。まあそうすると、今度はそのデザインのために余計な製造工程が増えすぎて、コスト高になってしまいますから、「工夫と手間とのバランス」も合わせて考えなければなりませんね。こういった商品開発のアイデアも面白い探究課題なので、別の機会に考察しようと思います。【まとめ・表現】

ちなみに、「デザイン(する)」はラオ語で「ອອກແບບ(オーク ベープ)」といいます。同じくタイ語では「ออกแบบ(オーク ベープ)」になります。

それでは今日はここまで。
♪ポップ・カン・マイ(ພົບກັນໃໜ່、また会いましょう)

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