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❖ビエンチャンを見てんじゃん(94)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2023年11月16日)

【記事累積:1843本目、連続投稿:788日目】
<探究対象…ラオス、ビエンチャン、異文化理解、多文化共生、伝統とステレオタイプの関係>

♪サバイディー(ສະບາຍດີ、こんにちは)
昨日は、私の勤務校が教室を借りているインターナショナルスクール(Vientiane International School、VIS)で「OneWorldDay」というイベントがありました。このイベントはVISに通っている児童・生徒たちや教員などとゆかりのある国の文化を紹介・共有し合うものです。昨日は授業日ではなかったのですが、社会科教員としてはこのような異文化理解・多文化共生についての学びを得る貴重な機会を逃す手はないと考え、朝からVISへ。

午前中は様々な国の衣装をまとった児童・生徒・教員がグラウンドを練り歩くパレードから始まりました。私はパレードの終わりにくらいに到着し、そのあとのステージ発表はしっかりと見学することができました。ステージ発表では各国のイメージと結びつきの強い歌や踊りが披露されました。

このようなイベントは異文化理解・多文化共生に関わる貴重な機会ではありますが、私の中には違和感のようなものが渦巻いていました。なぜ私は違和感を抱いたのでしょうか。

パレードが行われたグラウンドには、始まる前にそれぞれの国の児童・生徒・教員が集まる場所が分かるようにプラカードが地面に指してあり、それはパレード終了後もそのままでした。近づいてみると50くらいのプラカートが並んでいて、その光景はなかなかの迫力でした。

ステージでは順番に歌や踊りが披露されていきます。最初の発表はラオスで、伝統的な衣装や被り物をしながら踊っていました。他にはブラジルは陽気な音楽に合わせペアで手を繋いだ踊り、インドはよくインド映画見るような軽快なステップ、中国は真っ赤な衣装をまとい真っ赤な扇子を使った舞踊、日本は法被を着てのソーラン節、韓国はテコンドーの演武というように、それぞれ特徴を活かした発表が続きます。

中には児童・生徒が一人だけ在籍している国もいくつかあり、そういった国は家族で登場し、国歌やその国の代表的な歌を流しながら、旗を振るという形でした。私にとっての第二の故郷と言えるシンガポールもそのグループで、懐かしさよりも寂しさの方を強く感じましたね。

こうして各国の発表が行われたわけですが、中国の舞踊、日本のソーラン節、韓国のテコンドーのように、確かにその国といえばイメージしやすい期待通りの文化の紹介だと思います。しかしそういった自分のルーツになっている国の歌や踊りについて、全ての児童・生徒にとって馴染みがあるとは言えません。幼少期から海外で生活していれば、そういった伝統的な歌や踊りと関わったことが全くない可能性もあります。すると自分たちのルーツの文化として関わったことがあるから、それを他の国の人に伝えよう紹介しようという意識はないことになります。ややもすると、インドといえばカレー、ブラジルといえばサッカーのように、他の国の人が抱いてしまいがちなステレオタイプのイメージの刷り込みと変わらないものになってしまうかもしれません。

それぞれの児童・生徒が自分たちのルーツの伝統的な文化を知っていく機会として、こうした取り組みはもちろん大切なことだと思います。しかしイベントに合わせて関わるだけでは、表面的なもので終わってしまい、もったいないですし、彼ら自身がステレオタイプの負の影響を受けかねません。私の中に生まれた違和感の正体は、そのような伝統的な文化を知ることの大切さと、それを知る際に起こりかねないステレオタイプの負の側面の重なり合いだったわけです。入口はステレオタイプだとしても、そこから「なぜそういった歌や踊りがあるのか」「歌や踊りに込められている意味は何なのか」「どうしてそれらが受け継がれ大切にされているのか」など、個々の文化の背景・内容にとどまらず、伝統的な文化という大枠で捉えたときの意味や価値も含めて、学びを深め・広げることができれば、異文化理解・多文化共生が理想的なものになっていく土台としての「自文化理解」になると思います。

現在、私が担当している学年の国語の教材は「和紙」の単元を扱っています。そこではユネスコによって日本の和紙の技術が無形文化遺産に登録されたこと、和紙が持っている魅力や歴史などが書かれています。昨日のイベントとは関係なく、私はこの単元に入ってから、様々な無形文化遺産や世界遺産(自然遺産・文化遺産・複合遺産)について、画像や動画を用いて紹介するようにしていました。しかしこうして「異文化理解・多文化共生・自文化理解」についてインパクトのあるイベントがあったのですから、このタイミングも上手く利用して、日本の伝統的な文化についての背景・歴史・意味・価値などについて知ったり考えたりする機会を提供したいと思います。現在進行中の仕掛けの様子や、これからアップグレードをどのようにするかの試行錯誤については「アンラーン💣リラーン📚ためらわん♫」シリーズで綴っていこうと思います。それから「OneWorldDay」の他の気づき・学びについては、細かく分けながら引き続きこちらのシリーズで綴っていこうと思います。

ちなみに、「文化」はラオ語で「ວັດທະນະທໍາ(ワッタナタム)」といいます。同じくタイ語では「วัฒนธรรม(ワッタナタム)」となります。

それでは今日はここまで。
♪ポップ・カン・マイ(ພົບກັນໃໜ່、また会いましょう)

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