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❖見タイ!知りタイ!伝えタイ(号外23)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2024年2月19日)

【記事累積:1950本目、連続投稿:883日目】
<探究対象…タイ、比較政治、王室、不敬罪、国民感情>

♪サワディー(こんにちは)
昨日の朝にタクシン氏の仮釈放の報道があったタイですが、その日の午後には気になる他の動きがあり、慌ただしい1日となりました。さて、その他の動きとはどのようなものだったのでしょうか。

昨日の午後に在タイ日本国大使館から一通のメール届きました。メールのタイトルは「バンコクにおける抗議集会(2月18日17時)」で、バンコク市内戦勝記念塔付近において、不敬罪に関する反政府活動家の抗議集会が行われる情報があるため、不測の事態に備えて周辺には近づかないようにという注意喚起の内容でした。

このメールの集会は、不敬罪の変更に対して否定的な政府に抗議をするものと考えられます。タイでは、タイ王室へ批判的な活動をした場合に刑法第112条の「不敬罪」に基づき、最高15年の禁錮刑が科されることになっています。

最近では2023年12月13日に、前進党のラッチャノク・シノーク氏に「不敬罪」が適用されて、禁錮6年の有罪判決が言い渡されています。この方はSNSを通じて政府の政策を批判したのですが、それに王室批判の内容が関わっていたとのことです。ラッチャノク・シノーク氏は判決に対して控訴をしているようです。

昨日のメールの集会は、不敬罪の変更が認められない流れに対する抗議集会であるため、大別するならば王室の位置づけについてネガティブな感情を持っている人たちの集まりと考えられます。この不敬罪の変更や王室改革など公約に掲げ、2023年5月の下院選挙で議席を大きく伸ばし第一党となったのが「前進党」でした。その結果には、当時の親軍的な政権に対するアレルギーという側面もあったので、前進党を支持した人全てが王室改革についても積極的であったかというと、そこまで断定できないものの、そこまで王室の位置づけをポジティブに捕えているわけではないことは言えそうです。

そして昨日、仮釈放されたタクシン氏に恩赦を与え刑期を8年から1年に短縮することを最終的に決めたのは王室で、現首相のセター氏やタクシン氏の次女ペートンタン氏などが所属するタイ貢献党は王室に対して寛容な態度ととっていることから、現政権は王室擁護と見られても仕方がないと思います。そのため、王室改革などを公約に掲げた前進党を支持した多くの国民にとっては納得がいかない部分があるのでしょう。

また前進党については、不敬罪の公約が憲法違反であると2024年1月31日に憲法裁判所から判断されていますし、翌日には他の政党から解党すべきという申し立てが出るなど、風当たりが強くなっていました。そこで解党を避けるためなのか、2月13日頃になって政党の公式サイトの主要政策一覧から不敬罪に関する項目を削除しているようです。

他方で、王室を支持する集会が2月15日にバンコクで開かれたようです。同日の日経新聞デジタル版によると、チュラロンコン大学の敷地内で行われたようです。記事では集会が全国的に広がっていると書かれていますが、2023年5月の下院選挙では積極的な王室支持を掲げていた「忠実なタイ人」党(The Thai Pakdee Party)は議席を獲得することができていませんし、最近のタクシン氏に対する王室の対応を合わせて考えると、王室の位置づけをポジティブに捉えている人が増えるような状況にはなっていないと思います。

このように年明けから、タイではタクシン氏への対応、前進党に対する憲法裁判所の判決、王室の位置づけに関するポジティブ・ネガティブ両面の集会など、現政権や王室などの話が絡み合った動きが慌ただしくなっているように見えます。それは2024年5月に任期満了を迎える上院を任命し直す流れへの影響を考えてのことだと思います。これからもタイの政治は落ち着かなさそうですね。リサーチし甲斐があるので、引き続き楽しめそうです。

ちなみに、「王族」はタイ語で「ราชวงศ์(ラーチャウォン)」といいます。ラオ語では「ລາຊະວົງ(ラーサウォン)」になります。

それでは本日はここまで。
♪ジューガンマイ(また会いましょう)

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