見出し画像

❖見タイ!知りタイ!伝えタイ(号外22)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2024年2月18日)

【記事累積:1949本目、連続投稿:882日目】
<探究対象…タイ、比較政治、タクシン元・首相、国民感情>

♪サワディー(こんにちは)
いつも気になってリサーチしてしまうタイの政治のニュースですが、国民の反発が強まりそうな動きが進んでいます。さて、その国民の反発を招く動きとはどのようなものであり、私が特に注目したのはどんな点だったのでしょうか。

2024年の2月13日のBloombergの記事などでは、タイのタクシン元・首相の早期釈放が決まったことが書かれていました。タクシン氏は在任時の汚職で実刑判決を受けていますが、先日の記事を読むと、法務省は執行猶予の候補者リストにタクシン氏を加えたという発表をしたというのです。

そして昨日の17日になるとBloombergの記事で、翌日(18日)に早期釈放される方向であることをセター首相が示したと報じられました。そして日本時間の18日朝になって、日本だとNHKや日経新聞など様々なメディアが、タクシン氏が仮釈放されたことを報じています。

今回の仮釈放の理由としては、高齢と慢性疾患だとされています。法務省の説明によると、仮釈放の条件にタクシン氏の年齢や健康状態が合致したとのことです。

この部分だけみると、致し方ないかなと思えなくもないかもしれません。しかしタクシン氏が2008年に亡命してから久しぶりにタイに帰国した2023年8月22日からの一連の動きを見てみると、今回の判断は当初からの筋書き通りで、国民の中にはこのようなタクシン氏への優遇を快く思っていない人も一定数いるのではないかと感じます。

タクシン氏が、2006年のクーデターで失脚しその後の2008年に亡命してから、久しぶりに帰国した2023年8月22日以降の一連の動きについて、主要なものを列挙してみると以下のようになります。

2023年8月22日…タクシン氏がタイに帰国、一瞬だけバンコクの刑務所に収監されたものの、胸の痛みと高血圧から、数時間後には警察病院へ移送
2023年8月31日…タクシン氏が恩赦を申請
2023年9月1日…タイ王室、タクシン氏の刑期を「8年」から「1年」に短縮する恩赦を決定したと発表
2024年1月中旬…法務省の声明、タクシン氏は現在刑務所ではなく病院にいるので「囚人」と呼ばないようにというもの
2024年2月13日頃…法務省の発表、執行猶予の候補者リストにタクシン氏を加えたとのこと
2024年2月17日頃…セター首相が、タクシン氏の早期釈放の方向性を示唆
2024年2月18日朝…タクシン氏が仮釈放され、警察病院から自宅に戻る

このように、タクシン氏は2023年8月22日に帰国して、一瞬刑務所に入っただけで、すぐに警察病院に移され、10日もしないうちに恩赦で刑期が1年に短縮されるという異例の扱いを受けています。さらには、タクシン氏を囚人と呼ばない声明が出て、それから1か月も経たないうちに仮釈放されています。一応、扱いとしては仮釈放なのですが、「刑期と場所」に注目すると、「8年:刑務所」が一瞬にして「8年:警察病院」となり、それが恩赦で「1年:警察病院」へ、そして「6か月:警察病院」という生活を経て、これからは「残り6か月:自宅」という状態なのです。

このようなタクシン氏の扱いを「特別待遇」として否定的に捉える国民は少なくないと私は思います。そしてセター首相を輩出し、連立政権の中核を担っているタイ貢献党には、タクシン氏の次女であるペートンタン氏も所属しています。また連立政権は、2023年5月の下院選挙で議席を大幅に減らした親軍派の政党を取り込んでいたり、下院選挙で最も支持された前進党を連立から外したりと、国民の思いに逆行するような動きでスタートしています。こういった動きが積み重なっていくと、国民の反発が今後高まっていくように感じます。

タクシン氏としては自宅の方がリラックスできるのでしょうが、警察病院は医療体制などが整っていると思うので、国民感情を逆撫でするような仮釈放というものを、無理に進めなくても良かったのではないかと思ってしまいます。例えば、病院の食事が美味しくなくて、嫌だったのかもしれませんね。

ちなみに、「病院」はタイ語で「โรงพยาบาล(ローンパヤバーン)」といいます。ラオ語では「ໂຮງໝໍ、ໂຮງຫມໍ(ホーンモー)」になります。

それでは本日はここまで。
♪ジューガンマイ(また会いましょう)

#この街がすき   #旅のフォトアルバム
#探究    #探究学習
#タイ   #バンコク

この記事が参加している募集

#旅のフォトアルバム

39,166件

#この街がすき

43,854件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?