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❖見タイ!知りタイ!伝えタイ(号外9)❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2023年8月4日)

【記事累積:1637本目、連続投稿:684日目】

<探究対象…タイ、議会、比較政治、民意、連立政権>

♪サワディー(こんにちは)
延期が続いているタイの新しい首相を指名する2度目の投票ですが、次の機会は8月4日という報道がありました。しかし7月下旬の段階で、下院議長であるワンムハマドノー(Wan Muhamad Noor)氏が記者団に向けて無期限延期のニュアンスも含んだ発表をしていました。そして昨日(8月3日)の報道では、一応、本日(8月4日)予定されていた2度目の投票の延期が正式に発表されました。下院議長ワンムハマドノー(Wan Muhamad Noor)氏は、タイの憲法裁判所の判断(第一党となった前進党党首のピタ氏の2度目の指名投票立候補を認めなかった議会の妥当性について)を待つ必要があると述べているため、延期となった2度目の投票が次はいつの予定であるかも明確になっていません(別の報道ではタイの憲法裁判所の判断が8月16日に下されるので、17日以降になるだろうとのこと)。【情報の収集】

ただ1度目では、前進党党首のピタ氏のみが立候補したにも関わらず、過半数を得ることができませんでした。そこから現在までピタ氏に票がさらに集まる肯定的な材料ははっきり出てきていないため、仮に前進党党首のピタ氏が2度目の指名投票に立候補できたとしても、過半数に達しないという結果になる可能性が高いと思います。【整理・分析】

では、新たな首相の指名投票の今後の動きは一体どうなっていくのでしょうか。【課題の設定】

8月2日夕方の報道の中に気になるものがありました。それは5月の下院選挙で第二党となった「タイ貢献党」が、第一党である「前進党」との連立を解消し、現政権と繋がりが強い親軍派の政党などとの新たな連立構想を示すというものです。【情報の収集】

タイ貢献党は前回の下院選挙では第一党でありながら、他の親軍派政党による連立で野党になっています。今回は第二党に後退したものの、第一党との差が10議席で存在感は十分にあります。そして両党は1度目の指名投票に向け、他の野党とも手を組んで8党連合を構成していました。しかし、第一党の前進党が王室改革を始めとした急進的な政策を掲げていることで、保守的な立場の議員が多いと考えられる上院議員からの支持がほとんど得られずに、ピタ氏は過半数の指名を受けることができませんでした。タイ貢献党からすると、このまま上院からの支持が得られにくい前進党と手を組み続ければ、両党以外の下院議員を親軍派の政党が引き寄せる形で、前回と同様に野党へ転落する可能性も出てきます。【整理・分析】

1度目の指名投票で、前進党とタイ貢献党が手を組んだのは、前進党の勢いに乗ることが得策と考えたからかもしれませんが、もともと両党の政策には温度差があります。そこで前進党ほどの急進的な政策を掲げずに、タイ貢献党が主軸として連立を持ち掛ければ、保守的な議員を取り込むことができると考えるのも理解できる部分ではあります。【整理・分析】

現在タイの議会は、新たな首相の指名投票をめぐって多数派工作が渦巻いています。そして、第二党のタイ貢献党が、第一党の前進党を外した異なる連立構想で主軸となり、新たな首相が選出された場合、最も民意を得ている政党が野党であるという、かつてタイ貢献党が苦い経験を、今度は前進党にさせることになります。そして前進党に集まっていた民意を蔑ろにしてしまう可能性も高まります。【まとめ・表現】

第一党以外で連立政権を作ることは、そのような民意が正しく反映されにくくなるという問題だけでなく、第一党であった自民党以外の8党派連立によって誕生した細川内閣がそうであったように、連立構成の政党の多さによる政策協議の難しさや短命政権になりやすいという問題もあります。このまま前進党中心で政権を作ろうとするのは簡単ではありませんが、前進党を外した場合にも難しい問題を抱えることになります。「進むも地獄退くも地獄」とはまさにこのような状況かもしれません。【まとめ・表現】

ちなみに、「地獄」はタイ語で「นรก(ナロック)」といいます。同じくラオ語では「ນະລົກ(ナロック)」になります。

それでは本日はここまで。
♪ジューガンマイ(また会いましょう)

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