【小説】 特殊雨予報 【ショートショート】
三月すらまだやって来ていないというのに、日中の気温は二十度を上回っていた。
蒸し暑いとさえ感じる部屋で昼頃に起き、カーテンの隙間から見た曇り空。
その重たさに、私はふと違和感を覚えた。なんというか、雲に粘り気があるように思えたのだ。
これはもしや、と思いテレビを点けてみる。
やはり、予想通りだった。
『本日夕方頃から関東を中心に雨予報となっておりますが、今回の雨は実に九年ぶりの特殊雨予報となっております』
あぁ、やはり滑り雨になってしまうのか。すると、しばら