「離島で保健師をやってみた」第10回 〜離島の診療所 その2〜
平日は家庭訪問もあり、阿嘉島に行き、診療所でもご挨拶するのですが、夜間帯や休日は、役場や宿舎のある座間味島にいることが多く、お会いできないため、なかなか親しくお話しできるまでは時間がかかりました。阿嘉島&慶留間島エリアのみなさまには共通して、オフでお会いする機会が少ないです。それゆえのアンバランスな感じは島の人間関係にも大きな影響を与えていきます。
それぞれの医師は(少し大げさな表現ですが)基本的に24時間ひとりでひとつの島を守る必要がありますので、ほとんどの時間を島で過ごします。月に1日くらい、出張や研修で島を脱出できるときはありますが、代替の医師が派遣されるか、夜間帯の急患はもうひとつの島の診療所医師が対応したりします。
ちょうど夜間の急患の話がでましたので、少し解説いたしますが、日中の急患はそれぞれの島の診療所が対応します。重症な場合は、必要時、沖縄本島のドクターヘリを要請して搬送します。基本的、船での急患の搬送はありません。(ちょうど船便が来るタイミングの場合は船の救急搬送もあります)
夜間の急患は、診療所が閉まっていますので、まずは役場に連絡が入ります。(よく考えたら急患で役場に電話っておかしいですね(笑))そして、役場の当直(基本的に男性職員は全員ノルマ、保健師の私も当直しました!)がそれぞれの島の診療所医師に連絡をします。
夜間の救急対応は、ここからが重要で、診療所医師の対応で症状が落ち着けばよいのですが、重症患者さんの場合は、沖縄本島に搬送となります。夜間はドクターヘリが飛べませんので、自衛隊のヘリコプターを要請することになります。1年間で2~3ケースくらい夜間の救急搬送があり、自衛隊のヘリコプターの要請がありました。自衛隊のヘリコプターは最終的に「国」の判断や許可が必要なため、要請を依頼してから実際に島に自衛隊のヘリコプターが到着するまでおおよそ2~3時間かかります。本当に緊急を要する患者さんの場合、搬送までにかなり時間がかかりますので、ほとんど助かる見込みはないといってよいかと思います。
島に住むということは、そのような大きなリスクを背負っていくことであり、それなりの覚悟が必要なことはあまり知られていないかと思います。
フライトナースや離島の保健師の経験を還元できるようなバーチャルリアリティ環境の構築およびコンテンツ作成が主な研究分野です。研究のための寄付を募っております。研究の成果はこのnoteで公表していく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。