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こんにちは。堀内猛志です。
前回のnoteでは『「好き」って何?~あなたの中にある「ときめき」を見つける3つの方法~』という内容について書きました。

『好き』の定義についてはご理解いただけたと思いますが、『好き』は実は何種類かあります。そのせいであなたを「自分が本当に好きなものは何かわからない」という状態にさせてしまうのです。今回はその正体について展開します。

あなたの中にある3つの『好き』とは?

英語には「Like」や「Love」だけではなく「favorite」「prefer」「be crazy about ~」「cherish ~」「~aholic」など、様々な好きを表現する言葉があります。それは日本語でも同じです。自分の気持ちを「好き」「愛」「中毒」「お気に入り」などの言葉にキレイに分類できればいいのですが、自分の感情をそんな簡単には言語化できないですよね。だから「好き」という大きな言葉にまとめられ実態をつかむのが難しくなるわけです。このようなぼんやりとした「好き」を分類してみようと思います。

『ムード』:思考レベルの好き

「好き」というワードを使っていますが、厳密には好きではないレベルです。それが『ムード』の「好き」です。表層にある思考が働き、「好きになるべき」「好きになりたい」と無理やり好きになろうとしているのです。
例えば、SDGsのような社会的な流行だったり、自分の友人がめちゃくちゃハマっているアイドルだったりします。サステナブルな活動は大多数の人が素敵と思うことであり「自分も何か貢献すべきだ」と思い込みたくなります。また、周りの友人に合わせてアイドルの話に付き合っている時も「一緒になって盛り上がりたい」と思い込もうとします。しかし、いずれも考えて好きになろうとしています。これは『ときめき』の本質から外れています

前回のnoteで説明したように『ときめき』とは『考えても疲れずに、逆にどんどん元気がでること』です。この定義に当てはめても、意識して好きになろうとしている思考自体が「好き」の定義から外れていることがわかります。本人もおそらく気づいているのでしょうが、周りに合わせ、そうありたいと思う自分がいるために、気づかないようにしているのでしょう。しかし、そうやって意識して好きになろうとして本当に好きになることは滅多にありません。「私の好きはこれではない」と早めに割り切った方が良いと思います。

『ブーム』:感情レベルの好き

「何が好き?」と聞かれて真っ先に出てくるのが『ブーム』の「好き」です。一番最近の記憶のため、一番最初に思い出すことができます。よって、「私は何が好きなんだろう?」と自問自答し、「私は(ブームの好きなモノ)が好きなので、これを仕事にしたい」と考える人が多いです。就活生など、短期間で自分のやりたい仕事を考える場合など、「ブームの好きレベル」のことを面接で伝えてくる人が多いです。

しかし、その名称からもわかる通り、ブームは時の流れとともに過ぎ去ります。一時期はあんなに熱狂的にハマっていたものですら、急に心に響かなくなる日がきます。これが人の脳の敵である『飽き』です。「飽きる」という現象は、脳がそれを記憶してしまった状態のことです。初めて経験することは新鮮でも、何度も繰り返すうちに慣れてしまい、刺激が全くなってしまった時に人は「飽きて」しまいます。

この「ブームの好き」で仕事を選んだとしたらどうなるでしょうか。当然ある日を境に仕事がつまらなくなるでしょう。この経験をしたことで「やはり好きなことでも仕事にすると好きではなくなるんだ」と自分で思ったり、「好きを仕事にしない方がいい」と言う人が現れたりします。しかし、これはあくまでも飽きの問題であり「好き」を仕事にしたことが起因した現象ではありません。覚えておいて欲しいのは、短期的に考えたブームの好きを仕事にするという短絡的な行動は控えましょうということです。

ただし、飽きるから「ブームの好き」がダメだと言っているのではありません。ブームでも何でもいいので「好きを増やすこと」は脳には非常に良いのです。「好きだ!」という感覚を得た時、脳内ではドーパミンが分泌されます。脳は、このときの喜びが忘れられず、ことあるごとにその快感を再現しようとします。そして、もっと効率的にドーパミンを分泌するために、脳内では神経細胞がつながりあって、新しい神経回路が生まれます。つまり、脳が成長するのです。この脳の活動がアンチエイジングに繋がると言われています。恋愛体質になってしまう理由、恋をするとキレイになると言われる理由は、まさに上記のような現象が脳の中で起きているからです。

『ルーツ』:価値観レベルの好き

最後に伝えるのが『ルーツ』の「好き」です。ムードやブームと違い、自分の中にある価値観という深層心理まで深く刻まれている「好き」です。「ルーツ」という名称の通り、自分の中にある原体験によって形作られていることが多いです。幼少期から迷わず、違わず、医者になることが夢だった、みたいな人がいると思いますが、そういう人は漏れなく原体験が存在します。

下記のようなモチベーショングラフを使い、生まれてから今日までの自分史を作ってみてください。

モチベーショングラフ

モチベーショングラフの中で、一番上にある達成経験や一番下にある挫折経験によって価値観が形成されている人が多いです。もし、そこまで特出した経験がないという人がいた場合、真ん中より上にある複数の頂点部分の経験、または真ん中より下にある複数の底点部分の共通点を見つけ、自分の価値観のキーワードを探してみてください。

それでも価値観レベルの好きが見つからない、、、という人もいると思います。ルーツという言葉から想起するように、幼少期にそういう体験をしていないとダメなのか、今から価値観レベルの好きを作るのは無理なのか、、というとそうではありません。しかし、年齢が上の人ほどそれが非常に難しいのも確かです。それは大人になるほど経験が増え、初めての衝撃の回数が減るからです。だからこそ、普段通りの生活を続けているだけではダメなんです。普段の生活の中でドラマチックな体験は滅多に起こりせん。もし大人のあなたが価値観を揺るがすほどの経験をしたいのであれば、やはり「動く」ことが重要です。自分の環境を無理やりでも変化させ、非日常を作りだせば、初めての衝撃を得られるチャンスに出会います。「自分の環境の変え方」については別noteで説明したいと思います。

ここまで読んで疑問がよぎると思います。『ルーツ』の「好き」は飽きないのか?ということですね。結論から言うと、飽きるメカニズムは同じです。ただし、そのメカニズムより、過去から今日までの間、『ルーツ』の「好き」を飽きなかったことが説明できます。

脳内では、「長期的に重要である」と判断した情報は長期で記憶され、「短期的には必要である」と判断した情報は短期で記憶されます。どちらにも属さない情報は、脳の負担を軽減するため、忘れるようになっています。例えば、ルーティンワークと呼ばれる仕事がまさにそれです。最初に覚えるときは初めてなので短期記憶に保存されますが、そのうちにコツや知識を得て行くと、それが長期記憶として保存されます。やがて得られる刺激がなくなってしまったとき、その仕事に飽きてしまいます。

裏返すと、好きなモノをルーティン化せずに、工夫、改善、学習、転用、深耕、活用、等を行うことで、複雑化させていけば飽きはやってこないと言えます。あなたの中にある「価値観レベルで好きなモノ」は無意識にそうなっています。例えば「釣り」。好きな人ほど、単に「釣る」というルーティンで終わらせずに、獲物に合わせて餌や竿を工夫するでしょう。釣る場所や釣る時間にも気を配り、釣り方を改善し、本を読んだりYouTubeを見たりして学習したりするでしょう。そうやっていくとより難易度の高い釣りがしたくなり、より大きな達成欲求を味わうことができるようになります。このような繰り返しが年輪になり、「自分の人生は釣りとともにある」くらいの価値観になっていきます。

これらは釣りやスポーツのようなカテゴリーだけに当てはまることではありません。例えば「プリン」。プリンが好きな場合、プリンを食べているだけではいつか飽きてしまいますが、色んなお店に行って色んな種類を食べる、自分で作ってみる、という工夫と改善をしたり、プリンの歴史や成分を調べて見て、身体に良いプリンを発明してみたり、友人に食べてもらったり、売ってみたり、などをしていると、飽きはやってきません。深く、広く、時に抽象的にプリンを捉え、応用することでもはやプリン博士と呼ばれるレベルになります。それが、別noteでもお伝えする「自分の武器のタグ化、コンテンツ化」にもつながります。

『ブーム』から始まった「好き」でも、このように自分の中で複雑化させていけば、いつしか『ルーツ』の「好き」に変わるモノも生まれています。

3つの『好き』のまとめ

文字が多くなってきたので図解化しますね。

3つの『好き』の図解化

繰り返しになりますが「好き」を増やすことは脳には非常に良い行為です。唯一の好きを見つけようとするから難しくなります。「好き」はたくさんあって良いと思います。ただ、その「好き」が自分の中で、この3つのどのレベルなのか、ということを把握できれば、その「好き」を使って強みを作り、活かせるようになるので、是非、自分の「好き」を整理してみてください。

そしてまだ疑問が残っていますね。「『好き』を仕事に使えるのか」ということですね。なので、次のnoteでは「趣味の好き」と「仕事の好き」の違いについて展開したいと思います。


自分の好きを見つけるのが難しいという人、自分の好きの活かし方を知りたい人は下記よりご連絡ください。

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それでは今日も素敵な一日を!

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