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東京都庁 戦略広報部が推進するデジタル広報改革例(22年〜23年)

少し前ですが、東京都庁の戦略広報担当課長を退職し、キャリアブレイクに入りました!

もともとは民間で10年間以上、デジタルマーケティング・広報といったコミュニケーション分野で仕事をしてきました。

その後、文部科学省 大臣官房 広報戦略アドバイザー&東京都港区 区長室 広報専門職の兼業(国 × 地方の公務員複業)を経て、22年度からは行政広報にフルコミット。

国(中央省庁)・基礎自治体(23区)に続いて、初めての広域自治体(都道府県)ということで、自身にとっても大きなチャレンジでした。

なんと、約2,000件もの応募があったんですね…! 採用を通じて社会課題の解決に挑む「ソーシャルインパクト採用」プロジェクトのプレスリリースで紹介していただきました! 以下コメントは僕がつくったものなので、この投稿にもそのまま掲載します...

Posted by 加藤 たけし on Sunday, December 18, 2022

短い期間ではありましたが、課長級の特定任期付職員(管理職)としてその一員に加えていただき、仕事ができたこと、とても光栄に思っています。


この機会に、東京都庁の広報改革の軌跡を、公開情報をもとにまとめておこうと思います。

人口1,400万人を誇る世界有数の大都市・東京都の戦略広報に少しでも貢献できて、子どもたちが明るい未来を描けるように、少なからず前進したはず…!

そして、日本を代表するテック企業・ヤフー株式会社の代表取締役から、行政のフィールドに2019年に転身された宮坂副知事の2期目も9月から始まりましたし、これまでの改革とともに、これからの東京都庁の広報・デジタルマーケにも、注目いただければ嬉しいです。

(全170ページ以上の大作スライドですが、目次だけでもぜひ)


X(旧Twitter)アカウント再編を生活者視点・組織横断で実施

もともとは組織別・事業別に約130のアカウントがあったところから、それらを生活者視点で19のカテゴリに再編してアカウントを再設計し、組織や事業の枠を超えて、分野ごとに集約した情報発信ができるようになりました。

組織目線ではなく、「生活者視点」のカテゴリに再編したという点が最も重要であることは、間違いありません。

文科省や東京都港区役所もそうでしたが、アカウントが縦割り(=組織目線)で立ち上がってしまう問題は、大きな組織における行動原理を考えると、宿命とも言えるので…

その現実を直視し、風穴を開けるべく取り組んだこのアカウント再編は、広報・情報発信改革の好事例に挙げられるケースも多く、嬉しく思っています。

また「組織の枠を超えた分野別の情報発信」として、どの部署・どの事業においても、投稿内容にふさわしいカテゴリのアカウントに投稿できるようになったのは、縦割りが代名詞となってしまっている行政のような組織において、かなり前向きなチャレンジになったのではないでしょうか。

(外から見たら、その変化はわかりづらいかもしれませんが…頑張りました!笑)

参考▼
東京都カテゴリ別公式X(旧Twitter)アカウント一覧

報道発表▼
東京都公式Twitterを19アカウントに再編

LINE公式アカウントのリニューアルで友だち20万人 → 100万人を達成

上記投稿で紹介している宮坂副知事の「スマホ利用者への直接話法のデジタルチャネルを強化していこう」という方針は、日本において生活浸透度が圧倒的に高いLINEによる情報発信強化でも。

僕が入った22年時点では約20万人だった友だち数も、目標としていた100万人を無事に達成することができました!


また、友だち全員への一律のメッセージではなく、興味関心にあわせた情報発信を進めるべく、セグメント配信を今年から開始。

その際にはX(旧Twitter)アカウント再編のカテゴリとの整合性はもちろん、Lアラートと連携した防災情報の発信や、都民の声を受け付ける公聴機能の拡充など、東京都港区役所でセグメント配信を開始した時とはまた違った難しさも多く、個人的にも非常に勉強になりました。

3つの機能拡充を発表した際の知事記者会見はこちら。

参考▼
東京都公式LINEアカウント

報道発表▼
LINE公式アカウント 機能拡充

行政ではまだまだ珍しい、公式ホームページのパーソナライズ(個別最適化)にチャレンジ

行政ではまだまだ珍しい、公式ホームページのパーソナライズ(個別最適化)も実装されました!

X(旧Twitter)アカウントの再編、LINEのセグメント配信スタートをはじめ、2023年に入って立て続けにリリースした東京都庁からのデジタル広報・情報発信をアップデートする取り組みの第3弾はこちら。

各局サイトの情報を集約し、ユーザーの興味・関心に合わせて都に関する記事を提供するポータルサイト「My TOKYO」のアップデートです。

僕自身、文科省でも東京都港区でも、ホームページ運用やCMSリニューアル等を担当していたのですが、その頃から以下実証実験にも注目していて、意見交換等もさせていただいたりしました。


また渋谷区の以下取り組みも、友人が担当していることもあり、注目&応援しています。


東京都も、ユーザー数含めてまだまだ課題が多いのですが、東京都がこうしたチャレンジで背中を見せていくことがとても重要だと思いますし、これからもいちユーザーとして注目・応援していきたいと思っています。

報道発表▼
あなたにぴったりの東京都の情報を提供するポータルサイト「My TOKYO」

Instagram、Facebook、Google、note…など、デジタルプラットフォーム各社との連携

X(旧Twitter)やLINE以外にも、デジタルプラットフォームの皆さまには、本当にお世話になりました。

たとえば、InstagramやFacebookのMeta社。

Stories of Digital Transformation(行政のデジタルトランスフォーメーション)と題して、Meta社のプラットフォームをどのように行政機関で活用し、「どのように市民体験を変えてきたか」について、Meta社のオフィスで世界各国の政府・自治体が対談する動画が紹介されています。

また、参加自治体として東京都も加わっている「自治体AI活用マガジン」とともに、東京都公式noteアカウント もたくさんあります。


個人的なイチオシは #シン・トセイ 都政の構造改革推進チーム のnote。
以下のように、さまざまな取り組みをnoteでわかりやすく記事化してくれています。


他にもこんな感じで、デジタル広報の前進のため、デジタルプラットフォーム各社の皆さまには本当にお世話になりました。
ありがとうございました!


新型コロナウイルス感染症対策サイトが「オープンソース」「オープンガバメント」を前進

Github上で、台湾デジタル担当大臣オードリー・タン氏からの改善提案があったことで、覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

2020年3月にリリースされた「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」は、ソースコードを Github にオープンソースとして公開することで、多くのプレイヤーとの協働が実現、刻々と変化する状況に対する迅速な対応と、行政サービスのQOS(クオリティ・オブ・サービス)の向上につながりました。

多様化する社会課題の解決には、民間・NPOはもちろん、生活者も含めた多様なプレイヤーと行政とのオープンな共創を進めていくことが欠かせませんが、個人的な思いは以下のとおりです。


先日開催された以下 官民共創イベント「GovTech東京 共創MeetUp-新型コロナウイルス感染症対策サイトを振り返る-」で新田 隼也さんが話している内容の中には、外部向けには初公開の数字も多く、また昨年度から一緒に仕事をしていた僕はもちろん、立ち上げ期からご一緒いただいた Code for Japan の皆さんも初耳だという話もあり、個人的にもとても貴重な振り返りだと感じました。

報道発表▼
「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」がグッドデザイン金賞を受賞


国際的な行政サービスデザインのハブを目指すデジタル庁との連携

東京都庁では以下のとおり、サービスデザインを徹底する取り組みを進めていること、体感いただけていれば嬉しいのですが…(苦笑)、ともかく進めています。


サービスデザインといえば、21年9月の発足当時から行政におけるサービスデザインの実践を続けているデジタル庁!ということで、以下デザインシステムの取り組みをご存知の方も多いかもしれません。

デジタル庁は、広報チームはもちろん、他部署も含めて民間出身の知り合いが個人的にも多く、デザインシステム チームの皆さまと情報交換させていただく機会もかなりあったのですが、以下宮坂副知事の投稿をご覧いただければ、「組織の壁を超えた共同化」をイメージしていただけるのではないでしょうか。

デジタル庁デザインシステムのページ内に以下のような記載があるとおり、

日本には1700を超える地方自治体が存在します。デジタル庁が提供するデザインシステムは府省庁のウェブサイトやウェブサービスへの適用を前提としたものですが、地方自治体の方々も利用できます。これからユーザー視点のデザインを取り入れたい、利用しやすいウェブサイトを作りたいと考えている地方自治体職員の方々が、デザインシステムのデザインデータをご参照・ご活用できるようデータを公開しています。

出典:デジタル庁デザインシステム

地方自治体による活用事例として、先ほど紹介した「MyTOKYO」や GovTech東京のホームページなど、東京都の取り組みが参考になるのであれば、個人的にも嬉しいです。


データドリブンの第一歩はホームページのアクセス解析から

"No Measurement, No Improvement."
(測れないものは改善できない)

これも宮坂副知事が常日頃からおっしゃっていて、僕も常に心がけていることですが、実は東京都において、アクセス解析ツールを導入している公式ホームページ等のアクセス状況の概要は昨年から一般公開しています。


CMS運用はもちろん、UAからGA4(Googleアナリティクス4)への移行等もあって、全庁的な取り組みとしては困難が多かったですが、まさにデータドリブンの第一歩はここから、と今でも思っています。


ちょうどこの記事を書いているタイミングでは、18歳以下のこどもを対象に月額5,000円の支給する「018(ゼロイチハチ)サポート」のページなど、終了間近なものがよく見られていることがわかります。

少し眺めていただくだけでも、結構興味深いのではないでしょうか。

報道発表▼
東京都公式ホームページ等のアクセス解析データを公表


かなり長文になってしまったので、別記事 に続きます。
目次はこちら。

  • 創刊70年以上、発行部数約250万部の広報紙「広報東京都」が大幅リニューアルで漫画家や著名人とのコラボも加速

  • スタートアップ・こども分野をはじめとした組織横断・連携強化への挑戦

  • 事業所管の現場の広報を支援する局支援の取り組み

  • 世界中のスタートアップと世界各都市の首長級が同時に東京に集結!「City-Tech.Tokyo」を初開催

  • 「アジャイル行政」への変革を着実に:四半期ごとに進捗状況を公表、3か月で320か所の改善など

  • 採用・組織基盤強化、そして改革のうねりを区市町村全体へ

世界最大級のオンライン動画学習プラットフォーム「Udemy」で最高評価

そういえば、個人のSNS等では特にお知らせできていなかったのですが、世界最大級のオンライン動画学習プラットフォーム「Udemy」でこんな講座をやったところ…

22年に最高評価をいただくことができました!

(23年に入ってからは、事例等が少し古くなってきてしまったたからか、評価も若干下がってますが)

東京都庁で仕事をする前なので、都庁の事例は「新型コロナウイルス感染症対策サイト」のみですが、よろしければ以下ご覧ください。

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