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自由からの逃走/エーリッヒ・フロム著

■名著「自由からの逃走」を読む

「自由からの逃走/エーリッヒ・フロム著」を読みました。
日高六郎の翻訳もとても読みやすいものでした。
本書は第二次世界大戦のさなか、ヒトラー率いるナチスが
ヨーロッパ全体を支配しようとしていた時期に書かれました。
なぜ大衆がファシズムに傾倒したのか。
なぜ自由を求める代わりに大衆は自らの自由から
逃れる道を探してしまったのか。

その心理が明かされます。

■心に響いた箇所

「~資本主義はたんに人間を伝統的な束縛から解放したばかりでなく、
積極的な自由を大いに増加させ、能動的批判的な責任をもった自我を
成長させるのに貢献した。

しかしこれは、資本主義が発展する自由の過程に及ぼした一つの結果
であり、それは同時に個人をますます孤独な孤立したものにし、
かれ(大衆)に無意味と無力の感情を与えたのである~

確かに構造的にはフロムの言う通りかも知れません。
人間の歴史は個性化の成長の歴史であり、
また自由の増大していく歴史であるから、
このような道(無力感、孤独を感じること)は避けては通れません。
しかしながら、個人が自発的な活動によって自我を実現し、
自分自身を外界に関係づけるならば、
孤立せずにいられると説いています。

■「自発性」と「愛」

第七章「自由とデモクラシー」
においてフロムはこのように述べています。

~自発的な活動は、人間が自我の統一を犠牲にすることなしに、
孤独の恐怖を克服する一つの道である。

というのは、ひとは自我の自発的な実現において、
かれ自身を新しく外界に-人間、自然、自分自身に-結びつけるから。
愛はこのような自発性を構成するもっとも大切なものである」と。

私たちが自由を追求していく上で「愛」は欠かせないものだとフロムは
何度も強調しています。

第7章に「自発性」という言葉も出てきますが、私は社会全体と繋がる意識を持って、創造的に考えていくということだと理解しました。

読むのに何時間もかかりましたが、生きるヒントになりました。