「うちの社長にもSNSとかで発信してほしいな〜」と思っている広報の方へ
僕は経営者の言語化や発信のお手伝いをしているのですが、たまに広報の方や社員の方からこんなお問い合わせをいただくことがあります。
「うちの社長が何考えてるかわかんなくて、言葉にしてほしいなと思っているんですが、なんとかならないでしょうか?」
「もっと社長にも前に出てもらって積極的に発信してほしいと思ってるんですが、どうすれば出てもらえるでしょうか?」
経営者の発信には効果がある。それはわかっている。でも、当の本人がやる気になってくれないーー。
そんな相談にいくつか乗っているうちに、発信に消極的な社長にはいくつかの懸念があることがわかってきました。きっとその懸念を解消してあげれば発信に前向きになってくれるはず。
というわけで今回は「うちの社長にももっと発信してほしい!」と思っている方向けにいくつかアドバイスを書きたいと思います。
発信に消極的な社長のパターン①:「社員が発信すれば十分でしょ」と思っている
発信に消極的な社長のひとつめのパターンは「社員が発信すれば十分だ」と考えているパターンです。
「経営者は経営することが仕事なのであって、前に出るのが仕事ではない。そういうのは広報に任せているし、発信は社員がやればいい」
そこに対しては僕はこう答えています。
「それもわかりますが、トップが発信することの効果は絶大です。一般の人にとっても、社員や関係者、投資家などのステークホルダーにとっても、会社との接点になるのは『経営者』。その「経営者」が発信することの意味は大きいと思うんです」
会社との接点はやっぱり「経営者」
あたりまえですが、会社の代表は経営者です。
「トヨタといえば誰が思い浮かびますか?」と聞けば豊田章男さんの名前を挙げる人がほとんどです。楽天だったら三木谷さん。ソフトバンクなら孫さん。そこで広報部長や社員の名前を出す人はなかなかいません。
特にいまはSNSの時代。
SNSでは「法人」よりも「個人」の声のほうが届きやすいというのも事実です。そんななかで会社との「たったひとつの接点」を作るのであれば、それが「経営者」になるのは必然です。そこでやっぱり経営者自身が発信をすることが理に適っているのかな、と思うのです。
「役員や社員のおかげだから……」
こんな経営者もいらっしゃいます。
「自分が前に出るのは申し訳ない。優秀な役員や社員のおかげで私がいるので、自分が発信するのは気が引ける」
その気持ちはよくわかります。でも僕はこう言いました。
「ならば、そのことを社長自身の口で外部に発信してもらえないでしょうか? それがいちばん遠くに届くし、まわりの社員も喜ぶはずです」
すると「たしかにそうかもね」という話になりました。
発信に消極的な社長のパターン②:「インフルエンサーになりたくない」と思っている
①と似た懸念で「インフルエンサーになるのは嫌だ」と言う方もいます。
SNSでフォロワーを増やしたりYouTubeに出るのは恥ずかしいし、意味があるとは思えない、という方です。
僕はこう答えています。
「インフルエンサーになる必要はありません。そうではなく、スポークスマンになってください。経営者は会社のことを伝える最強のスポークスマンになりえます」
社長はピエロになる必要はありません。タレントになる必要もない。そうではなく、会社のことを伝える「スポークスマン」です。広報の方ももちろんスポークスマンなのですが、SNSで会社を代表する人が自ら発信をすることには大きな効果があると思うのです。
そして、社長の発信はあくまで「手段」です。目的ではない。インフルエンサーになるために発信するわけではありません。
「会社のプレゼンスを高める、ブランドを高める、社員のモチベーションを高める、採用の量と質を上げる……そういった『目的』を果たすために『社長の発信』が効果的なのであればやったほうがいいんじゃないでしょうか?」
そうお伝えするとけっこう納得していただけます。
発信に消極的な社長のパターン③:「発信することなんて、そんなにないよ」と思っている
「いやわかった。でもそんなに俺面白くないよ? 発信することなんてあるかな?」
そうおっしゃる社長もいます。
僕は、
「別に面白いことを言おうとかコンテンツを生み出そうとしなくてもいいんです。社長はぜひ『メディア』になってください。自分というメディアで会社の魅力や社員の活躍を伝える。そういう意識で大丈夫です」
と答えます。
「発信」というより「コミュニケーション」
経営者はコンテンツメーカーでもエンターテイナーでもありません。なのでコンテンツを生み出そうとする必要はありません。
僕は「発信というよりもコミュニケーションする感覚でいいです」とお伝えしています。
社長が発信した言葉を受けて社員が反応する。SNSでリプライが来たり、社内で話題になったりする。それが大事なんだと思います。
WORDSのクライアントからもよく「このあいだのnoteを読んで、社員がこんなことを言ってくれたんですよ」とか「お客さんが見つけてくれて、ひさびさにメールをくださったんですよ」などと言っていただきます。
「発信して終わり」ではなく「コミュニケーション」として使う。
対外的には「発信」に見えても、社内的にはそれが発端やきっかけになりうる。このあたりはけっこう重要かなと思います。
だから発信は「正解」でなくてもいいんだと思います。「社長はこう言ってるけど、はたして本当だろうか?」「うちってそっちを目指してるんだっけ?」といったことが議論になる。
そうやってコミュニケーションが生まれることの価値はけっこう高いように思います。
「アウトプット」が「インプット」を促す
また、発信の副次的効果として会社に刺激が生まれて「新しいことをやろう」という流れができていくといいなーと個人的には思っています。
アウトプットしていると「発信することが少なくなってきたかもな……」ということがわかります。そのときに「ちょっとおもしろいことやってみようか」「新しいプロジェクトを動かそう」という動きにつながれば「発信」以上の価値が出てきます。
アウトプットするからこそ、必然的にインプットを求めるようになる。
こうなってくると「ただの発信」ではなく「アイデアのきっかけ」「イノベーションのきっかけ」にもなりそうです。
発信に消極的な社長のパターン④:「まだ成果を出してないから……」と遠慮している
「発信するのは結果を出してから」「結果を出すまではステルスで行きます」というパターンもあります。
その方針もいいと思いますが、ここは「鶏と卵」じゃないですが「発信をするから結果が出る」ということもあるはずです。
サイバーエージェントの藤田さんは、まだまだ会社が小さいころからブログを書いていました。発信することで、理念を浸透させ、会社を大きくしていきました。
対外的な発信を意識しなくても、まずは「社内向け」に発信してみてもいいと思います。noteでは「オープン社内報」という取り組みも推奨されてますが、社内向けの内容をあえて外部に発信することで、まわりまわってインナーに効く、というケースもよく見かけます。
発信に消極的な社長のパターン⑤:「反響が出なさそうらから」と思っている
「うちはBtoBで、あんまり語っても面白くないから」「そもそも俺なんて知られてないから発信なんてしても意味ないよ」と仰る方もいます。
が、僕は会社の業種やもともとの知名度などは関係ないと思っています。
WORDSのスタンスは「ひとりの人間の話を聞く」というものです。
「〇〇会社の人に話を聞く」というよりは「ひとりの人間に話を聞く」というスタンス。その人がたまたま会社の経営をやってる、という感覚です。
なので質問も「どこのお生まれなんですか?」とか「ご両親は何されてたんですか?」「勉強できましたか?」「モテましたか?」みたいなことまで伺います。
するとその人の人間性や価値観が見えてきて、いろいろと面白い話を伺うことができます。
なので自身で発信するときも「会社の経営者として発信する」というよりも「ひとりの人間として発信する」ことを心がけてみるといいかもしれません。すると反応は変わってくるはずです。
人は、会社というより「人」に興味を持ちます。
なのでひとりの人間として発信すれば、振り向いてくれる人はけっこういるんじゃないのかな、というのが実感としてあります。
「何を書けばいいか」に関しては、以下のnoteにもまとめましたので、よろしければご覧ください!
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