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映画「JUNK HEAD」を2回観て震えた日。こんなに書いたの生まれて初めてレビュー。

先日、アマプラで「JUNK HEAD」を観ました。

※後半からネタバレあります。

この作品について簡単に説明すると、

監督の堀貴秀氏が

【 ほぼ1人 】で

【 7年 】かけて製作した

ストップモーション・アニメーション映画です。

ストップモーション・アニメーションとは?
説明しよう。静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かしカメラで撮影し、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せる映画の撮影技術、技法。アニメーションの一種であり、SFXの一種。コマ撮り(コマどり)ともいう(Wikipediaより抜粋)

JANK HEAD予告
(予告だけ観たら誤解されるかも。是非本編を観て下さい)

えっ?1人で7年?

俺は以前ネットの記事でこの作品を知った時、すごく興味を持ったのを覚えています。

でも同時に「確かに凄そうだけど、作品のクオリティは決して高いわけではなく、1人で作ったことが評価されてるんじゃないの?」なんてことを思っていました。

今思えば何て失礼なことを!と思うのですが、実際に作品を観ていなかったので「たった1人でまともな映画を作るなんて無理でしょ」と考えてしまったのです。

でも非常に興味があったのは確か。

この映画がどれほどスゴいのか、今日はこの俺が確かめてやろうじゃないの!

というわけで、物凄く上から目線で作品を鑑賞しました。

すると・・・!

何か思ってたのと違う。


オープニングから数分後にそう思いました。

この時の「思ってたのと違う」というのは、観る前はもっとこう、実験的な作品というか映像というか「素人が頑張って作りました!」みたいな感じだと思っていたのです。

(実際に監督はフィギュアは全て手作り、作品も映像制作経験がないのに独学で完成させたそうです)

でも今、目の前に流れている映像は、普通に映画。普通に凄い。面白い。

人工生命体のマリガンと怪物達が、画面を所狭しと動く。暴れ回る。

なんて滑らかにキャラが動いているんだ!

こ、これはっ!子供の頃に観た、ロボコップの敵であるED-209より自然に動いている!


もしくはスケルトン姿になった、ターミネーター第1作目のT-800よりも!

これには驚きました。

個人的には途中でちょっと中だるみする感じはしましたけど、最後までストーリーがしっかりしていて、楽しませてくれました。

アクションシーンはカッコイイし、笑うシーンもすごく面白いし、音楽も良かった。

こんなSF超大作を1人で作るなんて、まともじゃない。

映画のレビューや感想で「どうかしている」「変態だ」などと書かれていましたが、褒め言葉として、確かにどうかしています。

こんなことを真似できる人は、世界中探してもいないでしょう。

いやー、これはかなり良かったなぁ。

でもちょっとグロい部分があって好きじゃないから、もう観ることはないかな。

それが鑑賞した時の感想です。

でも翌日になっても、なぜだか「ジャンク ヘッド」のことが頭から離れない。

なぜだ?

なぜあの不気味でキモカワイイ世界が頭に浮かぶんだ?

何となくもう一回、観た方がいい気がする。

ようし、怖いけど行こう、地下の世界へ!

そう思って、もう一度じっくり鑑賞してみたのです。

書き忘れていましたが、JUNK HREADの簡単なあらすじは、「人類滅亡の危機なので、主人公がめっちゃ地底に行く話」です。

ここからネタバレあります。


さて2回目の鑑賞。

観てない人は読んでもさっぱりわからないと思いますが、レビューを続けます。

結論から言うと、2回目は1回目に比べて数倍面白く感じました。

それはなぜかと考えてみましたが、きっと1回目は「これは一体何なんだ?」「マリガン?クノコって何?」「なんかキモイ!」と思いながら観ていたので、ストーリーに集中できていなかったのでしょう。

これってどうやって撮ってるの?

これ本当に1人?声優も?

字幕がついてるけど、これ何語?架空言語?デタラメに喋ってんのかな?

クリーチャーの造形がエイリアンを彷彿とさせる。

監督はエイリアンが好きなんだろうか?

そんなことを色々考えていたので、気が散って楽しめなかったのだと思います。

でも2回目は違った。

最初から最後までずっと面白い。

細かい部分まで見逃さずに、じっくり観れる。

しっかり観ていると、不気味で奇妙な地底には、人間社会とまったく同じような世界が広がっていることに気付きます。

人間が生み出したマリガンが、地球の生物のように進化しているのです。

知的な者もいれば、野生化し、凶暴化したマリガンもいます。

また優しい者もいれば卑しい者、冷たい者もいる。

グロいシーンは、自然界の弱肉強食ルールそのもの。

「JUNK HEAD」は好き嫌いがはっきり分かれる作品だと思いますが、個人的な感想としては、グロい部分もキモキャラも含めて全部良かった。最高でした。

この映画には深いテーマがあるんだと理解できて、ますますJUNK HEADに興味を持ちました。

1回目の転生した主人公が可愛い


正確には転生じゃないですが、1回目のジャンクロボットの姿が可愛い。

最初は可愛いとは思いませんでしたが、2回目観たらやたら可愛く感じたのは不思議です。

3バカ兄弟とのやり取りも笑ったし、何が面白いかって3バカ兄弟の名前ですよ。

「アレクサンドル」
「フランシス」
「ジュリアン」

いや、めっちゃお洒落な感じやん。あの見た目で。

3バカ兄弟は、マリガン種子を3分割して作られたバカ兄弟という設定です。監督さん、素晴らしい設定や。面白い。

2回目の鑑賞では怪物達にも親近感が湧いてきて、最初に登場するドラゴンクリッター(小動物)も可愛く見えてきました。

壁から出てくる怪物「デスワーム」は1回目はキモすぎて「うっ!」ってなったんですけど、2回目は不思議と平気でした。

なぜ何とも思わないんだ?

もしかして、俺自身がこの世界に適応してきたのか?

人間の俺がマリガンに好意を持ち出したということなのだろうか?

それにしても主人公は、任務が終わったらどうやって地上に戻る気なんだろう。

会話できないガラクタロボット


俺はバルブ村で2回目に転生したロボット、ポン太がめっちゃ好きです。

またもや記憶喪失のパートンですが、姿は変わっても心は優しいままです。

ポン太は目がないのに、すごく表情が伝わってくる。

この映画は「こう来る!」と思ったら「来ないんかい!」ってパターンが多くて、俺はそれがツボでした。

ひいっ!襲ってくる!と思ったら襲わない。

効果音がうまく使用されていて、毎回ドキドキしてしまいました。

監督のセンスは最高だと思いましたね。

「監督」で思い出しましたが、この作品はハリウッドで活躍するギレルモ・デル・トロ監督も絶賛していました。

きっとこういう世界観が大好きなんでしょう。

ギレルモ・デル・トロ監督の2004年版「ヘルボーイ」と続編「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」は個人的に超おすすめです。特殊メイクと着ぐるみのキャラが自然すぎて驚きます。パシフィック・リムはよくわかりません。

さて話を戻しますが、ポン太とニコ、ホクロのコンビに出会ってストーリーはますます面白くなります。

初めてポン太とホクロが出会った時、ポン太を追跡して攻撃するかと思いきや、何もしないホクロ。

おののくポン太。

発生機能が無いので会話ができませんが、動きだけでしっかり伝わる感情。

こんなん笑うでしょう。絶対笑うでしょう。

このシーンを何回も観て爆笑したのは俺だけでしょうか。

ホクロはカッコイイので、ニコとコンビでもっと活躍して欲しかったです。

それにしても赤い服のニコが可愛い。

硬質化して不気味なはずなのに、可愛い。

喋り方も照れてるところも、わがまま言うところも、とぼけるところも全部めっちゃ可愛い!

あぁ、俺は変態なのだろうか。

まぁ俺が変態か変人かは置いといて、JUNK HEADで一番声を出してツッコミを入れたのは、何と言っても「地獄の三鬼神」の登場シーンです。

一体どんな猛者がやって来るんだ?

ノリノリのBGMと共に、遂に3人の鬼神が登場するぞ!

と思ったら、

3バカ兄弟やないかーーーい!


さすがです監督。わかってらっしゃる。

素晴らしい演出です。

見事にウケてしまいました。

お笑いのセンスが高いですね。上から目線で申し訳ないですけど、映画の面白い見せ方というか「笑い」に対して、すごくレベルが高い気がしました。

そして、そこからなんやかんやあって、またもや頭部を吹っ飛ばされて姿が変わる主人公。

探していた生殖遺伝子は、なんとトロちゃんの尻尾だったことがわかり、ズコー!となって、クライマックスに突入していきます。

ラスボスのトリムテとの戦闘は、めっちゃ盛り上がりますね。

ジャンクヘッドの真の主人公は3バカ、いや地獄の3鬼神で決まりです。

「逆転写酵素剤」を注射してムキムキになる3バカ兄弟。

アクションもカッコイイ。

でもそこからまさかの3鬼神大ピンチ!

「オレ達 天国に行けるかな?」
「行けるさ だって オレ達
 神様を・・・助けたんだから」

死ぬな3バカのうちの2バカ兄弟ー!


ラストは泣きましたね。こんなん泣くやろ。

って本当は泣いてないですが、笑いあり、涙ありの最高に楽しめるSF映画でした。

この作品を最後まで観た人は、きっと1人になったら「ダンボー!」って叫んでしまうでしょう。

1つ忘れていましたが、このレビューでは関西弁詐欺師のトゥリーキーについては一切触れていません。

そう、クノコを大胆にパクっていくアイツです。

その理由は、行動が俺ソックリで怖くなったからです。

あの子供だましな詐欺師っぷりは俺そのもの。いつの間に俺は映画デビューしたのかと思いましたね。

それに比べて主人公のパートンは、何ていい人なんでしょうか。

ポン太の時のパートンの優しさ、純朴さはニコが惚れるのも無理はありません。

あ、もう1つ忘れていましたが、エレベーター昇降機のバイクの人とかもそうですが、監督さんのアイディアとセンスは本当に素晴らしい。天才だと思います。

「JUNK HEAD」のタイトルの意味


監督の堀さんは「JUNKはガラクタと言う意味だが、自分もガラクタだった。でも自分に才能があるとすれば、あきらめなかったことだけ。こんなガラクタでも、何かを成しとけることができるかもしれないという思いを込めた」とおっしゃっています。

何という深い言葉。

ワイ、マジで感動したわ・・・。

怖い地底に死ぬ覚悟で潜ってみたら、お宝発見した気分やわ・・・。

諦めなければ成功する。継続は力なり。

世界中の成功者、偉人は皆共通して同じことを言っています。

成功した人は、夢を最後まであきらめなかった人です。

でも人間はそのあきらめないこと、継続することが難しい。

わかっていても、なかなかできない。

あきらめずに地道にコツコツと継続できる才能は、本当に素晴らしいと思います。

三日坊主どころか三時間坊主であり、三分坊主の俺にとって、あきらめなかったあなたはポン太だ。いや神だ!

実際に何かを成し遂げた人の言葉は、とても説得力がありますね。

この映画はSF映画として純粋に楽しめただけでなく、あきらめないことの偉大さを学ばせてもらった作品でした。

JANK HEADのエンディングは微妙という声がありましたが、まだ完結していないので、結末はあれで良かったのではないかと思います。

JANK HEADはなんと3部作だそうです。

続編が楽しみですね。

でも続編は一体何年後に公開されるんでしょうか?それがとても気になります。

個人的な要望としては、アクションシーンにジョン・ウー監督テイストをがっつり盛り込んでもらえると、ガンアクションがさらにカッコよくなるというか、ウケるのでは?と思いました。

アクション映画ファン、もとい香港映画ファンは、銃撃戦がカッコよすぎると笑ってしまう習性があるのです。知りませんけど。

最後に

この作品について長々と語ってきましたが、一言にまとめると、

エンドクレジットは、もはやギャグです。

堀貴秀さんは新海誠さんに触発され「一人で映画が作れると思った」と語っていますが、普通の人は、

そんなこと思わんやろ


とツッコミを入れたい。

でもそんなとんでもない発想をしてくれたおかげで、この作品に出会えたので、堀さんにはとても感謝しています。

うーん、こんなに長い映画レビューを書いたのは生まれて初めて。

おまけ
NHKで放送された3バカ兄弟の新作短編がYouTubeで観れますよ。


<<あとがき>>
映画のレビューの記事に「あとがき」って変じゃないかなぁと思いましたけど、どうせいつも変なので気にせず書きたいと思います。

こんなに長いレビュー記事を書いても、ほとんど誰にも読まれないだろうと思ったのですが、つい書いてしまいました。

記事の内容は映画を観た人にしかわからないし、映画を観た人であっても長すぎて読みたくないでしょう。

俺ならきっと面倒くさいので読みません。

じゃあなぜ書いたのか?

それは書きたかったから。

ただそれだけです。

書きたい時に書きたいことを書ける。

それがnoteのいいところですよね。

映画の感想、レビューを書くなら文字数無制限のnoteが最強なのではないだろうか。今さら気付きました。

さて今回俺は、どうしてもこの作品に対する熱い思いを書きたかった。

ものすごく面白かった!感動した!勉強になった!と叫びたかった。

そして書いているうちに、また「JUNK HEAD」を観たくなって、3回目、いや4回目かな?飽きずに何度も鑑賞中です。

さらにJUNK HEADのblu-rayも欲しくなってきたので、買ってしまいそうです。ブルーレイにはメイキング映像が60分も収録されています。

観たい。是非観たい。

そしてDVDにはノーカットバージョンが収録されているので、これも是非観たい。

この作品はなんて中毒性があるのでしょうか。

セミナーに言って帰ってきたら、信者になっていた。みたいなハマリ方。

いや例えがよくないな。

とにかく観れば観るほど発見があり、とても面白い。

3DCGアニメには表現できないであろう、懐かしさや面白さがあります。

先日、「スパイダーマン:スパイダーバース」というハリウッドの3DCGアニメを観ましたが、最先端の映像美で3DCGアニメは素晴らしいと思いました。でも観ていて楽しいのは、ストップモーション・アニメでありコマ撮りじゃないでしょうか。

細かい描写を見ていると、どうやってこんな映像を独学で学んだんだ?と改めて思いますし、監督さんはどこまで丁寧に作ってるんだと驚きの連続です。

ユーモアセンス、ギャグセンスが監督さんと似てるのか、いや似てると言ったら失礼かもしれませんが、爆笑するシーンが何回もあって何度もリピートして観ています。

この映画を観ても、イマイチ、グロい、怖いって人もきっといると思います。

さっきアマゾンプライムで低評価の人のレビューを見たのですが、つまらない。グロいだけ、何を言いたいのかわからない、など俺とは真逆のコメントが・・・。

うーむ、人によってこんなにも評価が違うとは。

批判的なレビューは、ファンの俺としては悲しい。

でも色んな感想があるから面白いのかなとは思うのですが、途中で挫折した人の気持ちもわかります。最初はグロさが気になったので。

でも最終的にはハマリにハマって、ジャンクヘッドジャンキーになりました。

自分の気持ちの変化に驚いています。

今まで観た映画で最高だと思った作品はたくさんありますが、このJUNK HEADも俺の当たり映画の歴史に、深く刻まれることになりました。

監督さんはハリウッドからのオファーも蹴ったそうですが、全部1人で作ったからこそ、良い物が作れたんじゃないかなと思います。

変に制約があったら、きっとここまでの作品にはなっていなかったのではないでしょうか。

そう考えたら、よく途中で挫けずにこの作品を世に出してくれた!と感謝の気持ちでいっぱいであります。

この作品は3部作というのは先ほども書きましたが、次作は「JUNK WORLD」で、「JUNK HEAD」の1,000年くらい前の話になるそうです。

そしてその次が「JUNK END」らしいです。

なんて壮大な物語なのでしょうか。

どんな内容になるかわくわくしますが、ただ残念なのは3バカ兄弟のことです。

ストーリー上、3人揃って登場するのは無理だと思いますが、何とか復活して欲しいものです。

また新たなマリガンから生まれて登場!とかできないものでしょうか。いやでも1000年前の話なのでどっちみち無理ですかね。

3バカの誰かが言う「神は死んだ」というセリフ。

ニーチェの有名な言葉なのに、3バカが言うとギャグになるというあの面白さ。

こんなに面白い作品なら、またハリウッドが飛びついて来るような気がします。

いっそクリストファー・ノーラン監督やジェームズ・キャメロン監督、リドリー・スコット監督などと組んで、とんでもない映像を作ってみてどうでしょうか。

ジェームズ・キャメロン監督にはアバターの続編は諦めてもらって、エイリアン2やタニタニックの頃の熱い気持ちを取り戻してもらいましょう。

いや待てよ?

もしかしたら「第九地区」や「エリジウム」のニール・ブロムカンプ監督の方が話が合うかもしれない。この監督は低予算で映画を作る天才ですからね。

しかも一時は「エイリアン」や「ロボコップ」の新作を撮ろうとしていたんですよ。頓挫しましたけど。

声も次回は有名な声優さんに登場してもらって、そうですね、日本からは内田真礼さん、花澤香菜さん、大塚明夫さん、梶裕貴さん、山寺宏一さんなどはどうでしょう?

個人的な希望としては、花澤香菜さんは「3月のライオン」のひなたの声で、梶裕貴さんは「ワンパンマン」の音速のソニックの声でお願いしたいです。

そしてハリウッドからは、ベネディクト・カンバーバッチ、クリス・ヘムズワースやニコラス・ケイジにお願いしましょう。

渋い声で作品も渋く、カッコよくなること間違いなし。

って勝手なことを長々と書いてしまいましたが、続編が劇場公開されるまでは、1作目をじっくり堪能して待ちたいと思います。

現在視聴4回目です。アマゾンプライムのレビュー数が増えて、一人で勝手に喜んでいます。

”JUNK HEAD”エンディング曲「人類繁盛」

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