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コロナ禍の外国人留学生(2)NHKラジオ(2021年11月25日放送)

みなさん、こんにちは。今回は前回に引き続き、NHKラジオのレギュラー出演番組「マイあさ!/ 三宅民夫のマイあさ!マイBiz」の「マイ!Biz キャリア&ライフスタイル」コーナーで田中孝宜キャスターとお話した内容を、こぼれ話を含めてお伝えしたいと思います。

今回のテーマは「コロナ禍の外国人留学生」です。

コロナ禍での外国人留学生の就職

キャスター:九門さんは、日本で働きたいという外国人の学生も多く指導されていらっしゃいます。やはりこのコロナ禍で、外国人留学生の日本企業への就職はさらに難しくなっていますか。

九門:日本に入国できず自国に滞在している外国人留学生は、海外と異なる日本の就職活動がいつどのように始まるかよくわからないことが多いです。日本で行われているビジネスセミナーやイベントへの参加も限られてしまうので、情報が入りにくく日本で働きたい外国人学生の就職活動などにも影響してきています。
    
キャスター:コロナ禍で、外国人の学生の就職をフォローするために、九門さんが行なっていることはありますか。

九門:外国人留学生が参加しているオンライン授業に、様々な業種の企業の方をゲストに招いています。留学生には日本企業について理解を深めてもらい、外国人と日本人、国籍や年齢の違う人たちが一緒に学んだり、働くことの大切さを知ってもらいたいと思っています。最近は、ビジネスの世界でもダイバーシティ&インクルージョン(D&I)が大事と言われます。国籍や性別、価値観などの違いがあるだけではなく、違いを受け入れ、違うことを面白いと感じる感性が大事になっています。ゲストで来られる企業の方々も、コロナ禍の厳しい環境下にありながらも、国を越えたオンラインの講義から熱心に学ぼうとしている留学生の姿を見て、「刺激を受けた」「自分も頑張ろうと思った」と言われる方が多いです。

グローバルビジネスでオンライン化はどこまで進むのか?

キャスター:コロナ禍を経て、オンラインの活用は広がっていますが、ビジネスでもオンラインを活用してグローバル化は進んでいくとご覧になっていますか。

九門:コロナ禍になって、日本にいながらフランスにある組織で働いているアメリカ人の大学院生がいました。彼女は国を超えたリモートワークとして新しい働き方をしていました。一方で、仕事後の交流会や時間帯によっては会議などに出られないので、ビジネス上のやり取り以外で、同僚や上司との個別の信頼関係を深めたり、新たな人脈やネットワークを広げるのが難しいと話していました。これは日本企業の海外展開でも同様に言えることです。リモートワークのメリットは、社内イベントや打ち合わせをオンラインでできるので他の国からも参加しやすくなり、情報を広げやすいことです。この点では、国境を越えた距離の壁が薄くなったと言えます。しかし、デメリットとして、信頼の積み重ねがしにくいという点があります。オンラインのイベントや会議で会うだけで、実際に出張して対面で雑談を交えて話したり、食事をすることができないためです。

大学での「対面」と「オンライン」は住み分けとブレンドに

キャスター:グローバル間でのオンラインのメリットとデメリット、それぞれがあるということですが、今後大学での教育や授業も、こうしたコロナ禍を経て得た気づきや今後の可能性はありますか。

九門:授業の中身によってオンラインか対面に分かれたり、同じ授業でもオンラインの回と対面の回をブレンドすることが考えられます。「オンライン」では、大教室での講義などで知識を得るような発信型の講義を行い、「対面」では、ゼミなど少人数での双方向型授業、実験などを行うというイメージです。さらに、今後はオンラインと対面の比率をどの程度にするのがより効果的かなどを考える必要があるでしょう。
 最近、学生はオンラインの講義が配信されることも多いので、1.5倍や倍速で聞いていると言います。わかっているところは流し聞きして、わからないところはもう一度止めて何度も聞くことをしているのです。アフターコロナでも、今後は情報を得たり難しい理論を学ぶ授業は「オンライン」で何回も見れる形にして、議論や対話を深くするファシリテーションが必要な授業は「対面」で行う、などの住み分けの方向になると思います。一方、深い思考や議論、お互いの関係性を深めるという意味では「対面」の重要性は大きいと思います。教育は「教える」から「学ぶ」をサポートする形に変わっていかなければなりません。

キャスター:九門さん、ありがとうございました。

九門:ありがとうございました。

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