見出し画像

コロナ禍の外国人留学生(1)NHKラジオ(2021年11月25日放送)

みなさん、こんにちは。今回はNHKラジオのレギュラー出演番組 「マイあさ!/ 三宅民夫のマイあさ!マイBiz」の「マイ!Biz キャリア&ライフスタイル」コーナーで田中孝宜キャスターとお話した内容を、こぼれ話を含めてお伝えしたいと思います。

今回のテーマは「コロナ禍の外国人留学生」です。

日本に入国できない外国人留学生

キャスター:九門さんは、大学で外国人留学生にも授業を行なっていらっしゃいますが、今、外国人留学生はどんな状況でしょうか。

九門:授業には、ヨーロッパ、アジアなど世界中からの留学生が在籍していますがコロナ禍で①日本に残っている学生、②自国に帰った学生がいます。そして、コロナ禍になってから新たに入学した学生の多くは、③来日ができずに一度も日本に来ることなく自国からオンラインで授業に参加しています。
彼らの中には、時差のために、受けたい科目の授業の選択や活動が制限されてしまっていたり、日本に入国できないために受け取れるはずだった奨学金がもらえなくなったり、日本への入国手続きがなかなか進まないなど、いろいろな困りごとも起きています。

キャスター:九門さんは、そうしたコロナ禍の外国人学生に対して、
実際にオンライン授業を進めていて、いかがでしょうか。

九門:今の授業は学生が約20人で、参加学生の国籍は主にイギリス、フランスなどのヨーロッパ、中国、韓国など東アジア、フィリピン、マレーシア、シンガポールなど東南アジアからの学生、そして今期は日本人学生もいます。
私にとっても、オンラインで英語で講義するだけでなく、議論や対話を進めるのはかなり大変でした。対面で会ったことがない外国人留学生と、画面上の切り取られた情報以外ない状態でアイスブレイクして講義を始めなければならないからです。しかも、何割かは日本にまだ入国していない状況なので、日本の雰囲気なども伝えにくいのです。私はオンラインでも双方向型で、対話、ディスカッションやグループワークなどのアクティブラーニングを取り入れようとしています。講義の中で、私は自分の役割を、何かを「教える人」ではなく、「対話する相手」と考えています。その結果、1つでも2つでも学生に気づきがあればよいと思っています。

国境を越えたオンライン授業の様子

キャスター:オンライン積極的に学生に参加してもらうために、九門さんが授業で工夫されていることは何でしょうか。

九門:例えばZOOMのブレイクアウトルーム機能を使って4、5人くらいの少人数で学生が議論する時間を設けています。そこでは外国人留学生にまざって、比較的シャイな日本人学生でも話さざるを得ない状況になり、以前受講していた学生も最終的には「英語で言いたいことを伝えるのは大変でしたが、自信を得ることができました」、「英語で人と繋がることが楽しいという実感を得られたのは大きな収穫でした」などの感想を寄せてくれました。コロナ禍のオンライン授業では、積極的に話せる人とそうでない人がより明確になったと感じます。

キャスター:実際に外国人学生のオンライン授業での様子はいかがでしょうか。

九門:外国人留学生は、オンラインの状態でも発言や質問をする人が多かったと思います。例えば、Zoomには「手を挙げる」ボタンがあって、画面上で見切れないくらい「手が挙がる」こともありました。クラスが終わっても個人的に質問をする人が多く、個別にメールでの質問もあります。日本人学生だけの授業とはかなり雰囲気が違います。彼らの多くは、わからないことがあればすぐに質問していいという教育や環境の中で育っているので、日本人によくあるように「間違えるのがこわい」、「こんな質問をしていいのだろうか」とは思いません。その結果、オンラインで意見を求められてもある程度上手く話せているのではと思います。
 ただし、留学はやはり留学した国の人や文化と直接触れ合うということが大きな意味を持ちます。オンラインでできていることはありますが、早く日本に留学生が入国できるようにしていくことが非常に大事だと思います。(次回に続く)

次回は、コロナ下での留学生の日本での就職状況や今後のグローバル化の中でオンラインがどう使われるかなどをお話しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?