イルミネーション
僕はイルミネーションが好きだ。
寒い夜、ピンと張りつめた空気。その中で、色とりどりの電飾が光り、辺りが温まるような、そんな季節が好きだ。
なんなら、豪華絢爛なものより、クリスマスシーズンになると駅前に飾られる、申し訳程度のイルミネーションに心惹かれる。
今年もこれを飾ろうって決めた人が、どんな気持ちでツリーに電飾を巻いていたのか想像する。
僕みたいな独り者でもきっとこれ見て少しだけ幸せな気持ちになる人が、一人くらいはこの町にいるのではと想像する。
そうすると、恋人たちが寄り添いあう、どうにも肩身の狭い季節が、少しだけ好きになる。
悲しいのは、イルミネーションという”文化”が、日本では恋愛と結び付けられがちであることだ。
恋人同士でイルミネーションを楽しむことそのものには、なんら文句をつける気はない。
だが、男友達と遊びに行く感覚で、もしくは一人で見に行った日には、どうにも冷ややかな目線を向けられているようでならない。
被害妄想と言われればそれまでかもしれないが、もっと気軽にイルミネーションを楽しみたいのにと、冬が来るたびに思う。
僕はイルミネーションが好きだ。
でも、
イルミネーションという文化が嫌いだ。
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