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自分の代わりが務まるのは自分だけ~代わりが効く仕事の是非について考える

昨日から個人の方の確定申告が受付開始。
いよいよ確定申告シーズンの到来である。

渋谷税務署管轄の税理士無料相談会に始まり、前職の関係での確定申告相談会(三日目連続)というように連日のように相談会業務が続いている。

私の場合、普段は法人の税務顧問がメインのため、顔の浮かぶ密な関係性の中で、継続的な信頼関係をもとにやり取りをする仕事を日々行っている。

なので、日々新しい方を相手にする仕事は、このシーズン以外にはほとんどないと言っても良い。

とりわけ、相談会では、私以外にも対応するスタッフが複数人居るわけで、必然的に複数対複数の仕事になるわけである。

つまり、普段の1対1の仕事から、急に複数対複数の仕事になるわけである。
卓球やテニスのシングルスの選手が、大会の仕様でダブルスを組むようなものである。

突如そんな日々が到来すると、どういうスタンスで取り組めば良いのか若干迷う部分も出てくるし、普段隠れている自分自身の得意不得意も見えてくる。

今回は、そんな変わりが効く仕事の是非について考えてみたいと思う。

■代わりが効く仕事と、代わりが効かない仕事

例えば税務署主催の税理士無料相談会では、25名くらいの税理士が各ブースに座っていて、来場者が随時順番に割り当てられる仕組みになっている。

話を聞いて資料をまとめたら、申告書を作って、送信。終わったら、次の人…をひたすら繰り返す感じである。

依頼する側からすれば誰にやってもらうかは重要でないし、受ける側からしても誰のをやるかは重要でない。

お昼休憩で自分が抜けても他の誰かがやってくれるので、滞りなく相談会は続くわけである。その意味では、代わりが効く仕事だと言える。

当たり前といえば当たり前なのだが、私の普段の仕事だとそうはいかない。

社員でも居ればまだ少し違ってくるのかもしれないが、特に個人事務所の場合、私が休む=事務所全体の休業になってしまう。

この『代わりが効かない仕事』というのは、本来的には良いことなのだろうと思う。

言い換えれば、『他の誰かには任せられない仕事』『あなたにしかできない仕事』なわけで、それだけで顧客側からすれば価値を持つものだからである。

■代わりが効かないと、融通も効かない

とはいえ、『代わりが効かない仕事』は、行き過ぎるとそれはそれで弊害があるようにも思える。

先程の相談会の例で言えば、休憩にも出れないような状況にもなり得る、ということである。

極端な例で言えば、日本に一人しか作れない伝統工芸の職人がいたとしたら、その伝統工芸が必要な時はその職人に依頼するしかなくなる。
その職人が仕事に充てられる時間はどう頑張っても24時間がMAXなので、お手伝いさんにすら任せられないような技術となると、極めて融通が効かない状況になる可能性は高いと言える。

つまり、代わりが効かない仕事を極め過ぎると、現場の第一線でプレイヤーとして出続けないと成り立たないジレンマと向き合うことになる。

融通が効かなくなってくると、それはそれで事業としては成長の足かせになってくるわけで、メリット・デメリットが混在する部分だとも言える。

■代わりの見つけ方と、それより大切な渡し方

このジレンマを打ち破るには、やはり分業化・組織化して、代わりを見つけるというのが一般的な対応策なのだろうと思う。

先程の職人で言えば、1人→3人に分業化することで、24時間→72時間に対応可能な時間のパイを増やすことができる。

とはいえ、全てを「はいどうぞ」と渡せないからこそ『代わりが効かない仕事』なわけで、簡単にはいかないのも事実。

なので、多くの場合は、自分の仕事を『代わりが効く仕事』と『代わりが効かない仕事』に分解して、『代わり効く仕事』だけを誰かに任せつつ、『代わりが効かない仕事』に専念する方法を取っている方が多いと思う。

意外とそれなりの規模になってきた中小企業でも、この部分が上手く行っていない会社は多い。

自分が第一線のプレイヤーとして出続けなければ会社が回らないというのは一種の思い込みで、そこまでの組織を作り上げられていないことの裏返しとも言える。

大抵の場合、そのような会社は、この代わりの渡し方に問題があるように思う。

具体的には、その組織で能力の高い人をベンチマークにして、その人と同じ能力を持ったコピーを作ろうとするケースである。

このような自分の代わりを作ろうという発想は、そもそものコミュニケーションのミスを生む原因になっていることが多いように思う。

能力の高い人のコピーがいたとしても、同じようなことを繰り返せるだけであれば、会社全体としての成長の余地はあまりないと私は考える。

他人には他人の目的があって当然だし、同じ業務でもその人に合った方向で進めることで、違いや意思疎通が生まれ、より良い議論が生まれる。
それこそがお客様への価値を生み出し、組織全体の成長に繋がるはずである。

その意味では、「自分の代わりが務まるのは自分だけ」なのだと思う。

少なくとも、そんなスタンスで私はいる。

■おわりに

代わりの効く仕事を繰り返すことで、代わりの効かない仕事の是非について考える良いきっかけになったと思う。

また、徐々に日常に戻っていくので、今回の気付きを踏まえてまた業務を無直してみたいと思う。

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あさがお税理士事務所
代表税理士 伊藤貴文

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