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シェルに学んだシナリオプランニングの奥義②:ワークショップの進め方(4つのSTEP)について

読書ノート(102日目)
さて、本日もこちらの本を
紹介してみます。

シナリオプランニングは
VUCA時代で未来は予測できないものの
想定できるシナリオを複数考えることで
事前に備えておこう
、というそんな手法

今日はシナリオプランニングを
進める際の「プランナー役」の仕事
ワークショップの具体的な進め方
についてです。
※文字で書くと長くなりますので
 この下に図でも紹介しています

・シナリオプランナーの役割
 ①クライアントがより深く考えられる効果的な仕組みを提供すること
  クライアントが自社をビジネス環境の全体システムの中で活動している
  のだ、と認識できる俯瞰的なものの見方、長期的な視点からの発想、
  想定外の事件や展開の仮想体験を得られるようサポートする
 ②クライアントメンバーによるワークショップにファシリテーターとして
  参加して思考プロセスをサポートすること
  
クライアント側の調査を助けるなど、プロジェクトの期間中、
  終始クライアントに伴走する

・コンサルティングファームのレポートように、
 コンサルタントが自分で調べてプレゼンする仕事ではない
主役はあくまでクライアント。プロジェクトを実施する目的の確認や
 クライアントの現状認識、将来への懸念を共有することから、
 プランナーとクライアントの協働は始まる

・もし社長から「今回の10年後を見通す中期経営計画はシナリオ手法を
 取り入れてみてはどうか?」と打診されたら、最初にやるべき勘所
 「それでは一緒に将来のビジネス環境を考えてみましょう!」との返答

・シナリオプランニングのワークショップ
①経営層インタビュー(+補足として社内インタビュー)
・トップマネジメントの方々と、本音の問答をヒアリングできる場
 (各人あたり1時間ずつ)をつくる
・その時の質問例は「今から10年後まで、当社の経営に影響を与えそうな
 内外のリスク事情は何か。何が懸念となるだろうか」
・この問答は、将来のビジネス環境を見渡して、見通しが利きそうな
 事柄と、不確実な事柄に関わる感覚を磨いてもらうための問答
・大抵の場合、トップマネジメントたちはお仕着せの設問には
 素直に答えようとはしないもの
・その中でもいくつかのテーマにまとめ、またトップ層の
 シナリオプランニングに対する期待を掴むことに専念する
 (経営層インタビューでの回答例)
 ー10年では短すぎる。当社は30年後も存続するべきだ
 ー社内の最大の不確実性と関心事は、将来のトップ人事だ
 ー社内でイノベーション運動を複数回実施したが、成果が出ていない
 ー働き方は定型業務のほとんどはAIに置き換わるのか
 ー最近実施したアジアへの大規模投資は10年後に稼いでいるか など
・今回の場合は、シナリオプランニングへの「経営層の期待」
 当初は「10年後を見通す中期経営計画のために~」だったが、
 「我が社が30年後も存続・成長できるビジネス環境を見通すこと」となる

②リスク一覧リストの作成
経営層インタビューに加えて、若手社員などへのヒアリング、
 自分たちが持つ問題意識などを追加し、取捨選択した上で
 リスク一覧リストを作成する

③ワークショップの開催(約5時間:午前2時間+昼休憩+午後3時間)
・ワークショップの目的は、不確実性の高いビジネス環境事象を発見し、
 それを調査項目として経営陣と合意
すること
・事前準備として、リスク一覧リストを全て「疑問文」に読み換えをする
・例:社内でのイノベーション運動が成果をあげていない→
 今後のイノベーション戦略は従来通り内製でいくか?
 それとも他社との協業でのネットワーク型に替えるのか?
・疑問文にすることで呼び水的にその場で議論や問答が活発化される
・リスク一覧をポストイットに書き、横軸に「未来変化の不確実性」を
 縦軸に「経営に与える影響度」の2軸マップを描く

・ワークショップの最初はまず社長から、リスクが書かれたポストイット
 を1枚手に取り、2軸マップのどこかに置いてもらう。
 その際に、なぜ自分がこの位置にこのカードを置いたのかの意図や
 理由を参加者に説明する
・この口火を社長が切ることで、他の参加者たちも自らの考えを
 発言しなければならないと覚悟が決まる
・次第に、ポストイットが追加され議論が白熱したところで、
 1時間の昼休憩に入る。その時間はプランナー側はディスカッションの
 道筋を整理し、一見して掴めるようにカードの配置を整えておく

・午後の時間では、さらに内容を詰めていき、経営層のリスク感覚を
 マップ上で見える化する。特に会社の経営に重大な影響を与え
 しかも将来の展開が読めないリスクを顕在化させる
 例:今回の場合は、最近のアジア大規模投資の成否と、
 パンデミックが繰り返すかどうかの2つのリスクが
 最も右上(影響度大かつ不確実性が高い)に位置された

ワークショップ後の対応事項
・今回の場合、大規模投資の成否についてファシリテーター側で
 追加調査をし次回までにデータを整理する
 また、該当部門の担当役員とその関係者にはワークショップに
 同席してもらうよう働きかける
・さらに、右上2つ以外のポストイットにも注目し、
 ポストイット間の相互で注目すべき連関を探し、
 要素相互の関係性をシステム図にして見える化できるよう整理する

・シナリオプランニングの目的は2つ、
 全ての可能性を開放する「未来探索ツール」
 意思決定に関わる「戦略決定支援ツール」

さて、ここからは僕が
どこまで理解をしているかを
試されそうですが…
本書の図を使わせていただき
要約してみたいと思います。

ワークショップの開催までの
①経営層インタビュー
②リスク一覧リストの作成
は、そのまま実施すれば良さそうです。

では肝心の
③ワークショップの中身についてですが
途中経過と結論の2つに分けて紹介です。

まずは不確実性×影響度の2軸マップと
経営層がリスクが書かれたポストイットを
仮置きした「途中経過」は
以下のイメージとのことです。

続いて、ワークショップが白熱し
ポストイットが追加され、
それぞれの位置も以下の図のように
変わってきました。

ここでワークショップでの議論は終了。
不確実性が高く影響度が大きいリスク2つは
右上に位置している
・アジア域への大規模進出(投資)の成否?
・パンデミックは一過性か繰り返すか?

この2つが自社にとって
優先して対応すべきリスクとして
経営層の中で合意
を取れれば
ワークショップは成功!

その後、④ワークショップ後の対応では、
顕在化したリスクである
「アジア域への大規模進出の成否」を
より詳細に検討するために、該当部署と
打合せをするなどしてデータを整理すること。
また、楕円の点線で囲った、今回は中程度の
不確実性と影響度のリスクについては
その相互の繋がりをシステム図で見える化する

補足ですが、以下は本書で
紹介されたシステム図の一例です

事例として、セント・マシュー島ではそれまで
激増していたトナカイがある時を境に激減した。
その要因をシステム図で整理するというもの

このシステム図では
左側(+)はトナカイが増える仕組みを、
右側(ー)はトナカイが減る仕組みを
図にして表しています。

ここには数値は入っていませんが、
トナカイは2歳~10歳まで毎年1頭を
出産する傾向があるようで、
トナカイの数は1世代で数倍という
加速度的に増える、強い自己強化型の
フィードバックループがあるようです。

一方で右側は天敵が不在のため
トナカイが減る要因が無いことを
示しています。
ただ、島にはトナカイの食料に
限界があり、1963年の冬は
歴史的な厳冬で食料が枯渇して、
一気に食糧不足となってしまった…

(と本書の話はここまで…)
なるほどー、
シナリオプランニングも
システム図も僕にとっては
新しい学びだったので
非常に新鮮でしたし、
本書を読んでいると何だか
少し賢くなった気がします!笑

シナリオプランニングを読んで
気付いたことは、
これってコーチングに近いのでは?
ということです。

楽観・悲観の複数のシナリオを
クライアントに提示するというのは
一見するとティーチングに聞こえます。

でも実際は
シナリオを想定するためのリスク要因の
答えはクライアント側が持っているはずだ
という考えに基づいて、プランナー側は
的確な質問とワークショップを使って
そのクライアントの答えを顕在化し、
さらに追加調査をすることで、
より正確な意思決定をしてもらえるよう
お膳立て(ファシリテート)する。

こんな感じなのかなぁ…と
ぼんやりと思った今日でした。

次回以降は
・プロジェクトの進行手順とポイント
・アプローチとフレームワークの選択
・ファシリテーションの技術
などの章を紹介予定です。

それではまたー!😉
皆さんも良い週末をー!✨

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